光
久しぶりの読了。
道尾秀介の最新文庫本『光』
光 (光文社文庫) | |
道尾 秀介 | |
光文社 |
本作、一言で片付けると道尾秀介版の『スタンド・バイ・ミー』。
小学4年生の利一が過ごす毎日は何かしらの冒険が待っている。
大人では想像もつかないことを子供ゆえに思いつき、好奇心とともに追っかける。
冒険の仲間は、無邪気でまっすぐな慎司、裕福な家庭で道尾版スネオ的な宏樹、貧乏で両親がおらずばあちゃんっ子でも芯の強いの清孝、そして慎司の姉で6年生の悦子。
みんなで可愛がっていた野良犬はなぜ急に姿をみせなくなったのかー
近くの湖に語り継がれる人魚伝説と洞窟の秘密はー
アンモナイトの化石が見つからないなら作っちゃえー
体調を崩した清孝のばあちゃんに冬にもかかわらずホタルと花火を見せたいー
引っ越す清孝に良いプレゼントをあげたいー
怖いおじさんと誘拐事件の結末はー
何となく似たような経験をしてきたと思います。
秘密基地をつくってみたり、落とし穴を作って誰かを落としてみたり、隣町で口裂け女が出たらしいから観に行こうぜ、とか。
あの頃に見ていた世界は、確かに今とは違う世界が広がっていて、可能性なんて考える暇もなくとりあえず色々試して冒険していました。
そんな思い出とともに、ではこれからの人生をどう過ごしていこうかな、なんてことをふと考えてしまいます。
先日飲みに行った幼馴染の番長が、酔っ払いながらもずっと私に言っていたこと。
「あの頃の連中と今飲むのが楽しくてしょうがない。
悪かった奴もずるかった奴も真面目だった奴もそれでもめっちゃ遊んでたし。」
なんか、幼いころに一緒に遊んだことが免罪符であるかのように、幼馴染の番長は私に胸襟を開いて笑っていました。
幼馴染たちとは年末年始にもまた集まろうか、と話をしています。
上記の番長とは別に、もう一人番長がいたのですが彼は中学に進学後に返り討ち的にいじめにあってしまったそうなので、そいつを呼ぼう。
あとは昔親父さんが自殺してしまって、その後の行き先を心配していた女の子が、今は国際結婚してロンドンに在住しているですが、彼女が帰省するらしいので、この子も呼ばなきゃ。
もう一人、学校の近くにあったパン屋さんの女の子も呼んであげよう。
40過ぎて少しはゆとりができはじめた頃。
今後老後を愉しむためにも彼らといい関係を続けていきたいです。
そんなこんな全てを考えさせてくれた本作に出会えたことを感謝。
ちなみにいつもの少し盛られる道尾毒は本作では薄め。
道尾ワールドから少しずれているところがむしろ良かったと思いました。
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