読了しました。
『夜の国のクーパー』。
伊坂幸太郎です。
久しぶりの長編書き下ろし。
猫の会話から話が始まる。
以下Amazonより。
この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。
はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負 けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。
人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない――。
これは猫と戦争と、そ して何より、世界の理のおはなし。
どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。
ジャンル分け不要不可、渾身 の傑作。伊坂幸太郎が放つ、10作目の書き下ろし長編。
私の好きな作家なので、彼の作品は『PK』以外は全ての単行本を読んでいます。
伊坂幸太郎作品の特徴は、前半にばら撒いた様々な伏線を、後半で一気に巻き取っていくこと。
その巻き取り加減が絶妙だとすごく爽快ですっきりするし、中途半端だとムズムズ感が残ります。
一般的に(ネット等)伊坂幸太郎の評価は、初期作品は爽快感・エンターテイメント性が高く、最近の作品は低くなっているとされてます。
私としては、割と最近の作品でも違うテイストとして味わってるのでなんら問題ないんですけどね・・・。
『夜の国のクーパー』は、『オーデュボンの祈り』や『死神の精度』の雰囲気を持っています。
かなり読みやすく、分かりやすい内容です。
だからと言って、中身が薄っぺらいとかそういうことではありません。
伊坂作品でも難解な『魔王』『モダンタイムス』のような国家観や権力観も持たせつつ、冒険活劇的要素でストーリーを単純に楽しませる、そんな作品だと思います。
伊坂幸太郎は作品発表順に読むのが良し、のようなことを書かれていたりもしますが、この作品から入ってもいいんじゃないでしょうか。