さいきん、結構参っている。閉塞感が強く、なかなか抜け出せない。
帰りに本屋に寄って、あてどなくぱらぱらと色々な本を眺めていたら、この本に出会った。新しい本ではない。発行日は5年ほど前だ。
昔は自動車が好きで、良く雑誌も買っていた。徳大寺氏の「間違いだらけ」も、毎年買っていたし、古本屋で過去の年度のものも買いそろえていた。別に車を買おうとしていたわけではないが、毎月熱心に読んでいた。
本書で徳大寺氏も取り上げているが、休刊したNAVIという雑誌は、自動車を文化論的に捉える、とても新鮮な雑誌だった。自動車という商品を肴に、ここまで語ることができるというのが今にして思うとちょっと不思議だ。自動車を、アートや小説を批評するように語り合っていたのだ。
土曜日の深夜に、友達とデニーズで待ち合わせて、朝まで車の話をする、なんてことも良くやっていた。今でも車好きの若者は、そんなことをしているのだろうか?
僕はある時期から車に乗らなくなってしまい、同時に車への興味も薄れてしまった。今ここに友人がいて、さあ現代の車の話をしようと言われても、ちょっと話せるだけの知識がないなあ。
でも、昔の車の話ならできるかも知れない。いちばん車に興味があったのは、本書冒頭で徳大寺氏が「日本車が最大瞬間風速を記録した」と言っている1989年頃だ。あの頃は本当に、毎月わくわくしていた。
そんな、普段忘れていたことを、本書は思い出させてくれた。