空から肉が降ってきたあの日
昭和28年の話です。
新宿の住宅地で、空から大量の肉が降ってきた事件がありました。
その数はなんと300個。
約150グラムの肉塊が、新宿上空から次々と降ってきたという信じられない話です。
当時の新聞の見出しには「牛肉を撒き、都民のドキモを抜く」として報道もされました。
これは近江肉牛協会が行った宣伝で、
まだ東京で馴染みのうすい近江牛を知ってもらうためのキャンペーン。
富士航空機のセスナ機をチャーターして落下傘で肉をばらまくという前代未聞の宣伝だったのです。
戦後まもない頃の話。
もし拾った人は飛びはねて喜んだでしょうね。
子供達が必至に落下傘を追いかけたことでしょう。
そして、運よく拾った子供達の多くが、初めて牛肉の味を知ったのではないでしょうか、、、空想が駆け巡ります。
さて、この計画がいったい誰が思いつき、どのように実行したのかを調べてみました。
しかし、当時を知る近江の人に聞いても、資料を探しても謎です。
仕掛人である近江肉牛協会。
その初代会長は当時の滋賀県知事。
そして、近江出身の西武百貨店の創始者で政治家の堤康次郎など、
有力者の力がなければ実行不可能だったと推測します。
さて、そんな宣伝があってのおかげか、近江牛は最高級ブランドとして君臨し、
日本の三大和牛のひとつとして数えられています。
それが!近年、ライバルの米沢牛が追い上げているのです。
首都圏では、三大和牛に近江牛ではなく米沢牛を挙げる人が増えていると言います。
先人による前代未聞の大キャンペーンによる効果は、少し息切れしているようです。
もしかしたら、この先の未来に、空から肉が降るようなことがあったら、それは近江牛だと思って間違いないです。
築地食べる通信9月号 近江屋牛肉店