記録だけ
『極猫大騒動 ゴクネコ』
8月10日、花組芝居の『極猫大騒動 ゴクネコ』を観た。
何だ ! これは・・・と思うくらいに、大衆演劇の雰囲気を漂わせていて、驚くばかりなり。
歌に音楽、証明、化粧、踊り、衣装の着方、表情や身のこなし方までが、小芝居っぽい。
舞台上からは、ミラーボールまでおりてくるといった、サービスには大笑いした。
わざとだが、音程を外したり、だみ声であったり・・・、粘つくような視線や流し目は、笑える。
おまけに荒削りであり、或意味この下品さが、歌舞伎や能楽に慣れている私にとっては、かえって斬新な感じさえ受ける。
二時間半という物、笑い続けていたといった方が正しいかも知れない。
花組芝居も、何でもとりいれるんだなぁ・・・と感心すること、しきり無し。
最終、
「さぁ、役者たちとふれあって下さい・・・。」
のアナウンスを合図に、役者たちが客席におりてきて、観客は女形役者に花束を渡し、おひねりというらしきご祝儀を胸元に入れる。
初めから最後までが大衆演劇さながらに構成されていた。
初めは見る気満々だった家族ではあったが、劇の途中で何だか分厚い本を取り出して、読みはじめ、劇の騒動にあって それもかなわぬと踏んだ彼は、とうとう本格的に眠ってしまう始末。
『疲れてるんだね・・・かわいそうに・・・。』
というような 理由ということにしておこう。
舞台が終わり、役者名などのテロップが流れて、私は初めて知った。
女形は かって大衆演劇界の玉三郎と呼ばれた 竜小太郎だったらしいのだ。
「それでなの!!」
と妙に勝ち誇った気持ちが生じ、今回の演出・構成に納得した。
竜小太郎といえば、以前テレビで大衆演劇特集を組んでおられたときに、二人の役者(劇団)が各自一時間物の小芝居を組んでおられるのを観たことがある。
竜小太郎の他は確か『お母さんのお弁当箱』を一人で演じ続けている九州出身の役者だったように記憶するが、名前は忘れた。しかしその日の演目は違ったことも付け加えておこう。
テレビ放映が終わり、シアターTVの説明を見ると、
『華麗なる女形対決!竜小太郎 VS 加納幸和花組芝居 』
といった たいそうな説明。
話の展開はしっかりとしていてとても面白かっただけに、女形対決といった陳腐なテーマばかりとは言い難い。
話は分かりやすいが、忠義や人間本来の姿も描き出され、楽しむことができた。
それにしても、大衆演劇界の竜小太郎は、粘つくような美しさだ。
ああいった美しさは、男性が好きなのであろうか。それとも女性が好きなのだろうか・・・。
私には分からない。
いずれにせよ、私の興味とは少しずれてはいる物の、不思議な感覚を受ける役者だった。
シアターTV 『極猫大騒動 ゴクネコ』 説明より ↓
『華麗なる女形対決!竜小太郎 VS 加納幸和花組芝居 』
2005年6月 全労済ホール/スペース・ゼロ/
作:小池竹見(双数姉妹)/
演出・出演:加納幸和/
出演:竜小太郎、桂憲一、八代進一、北沢洋、大井靖彦、松原綾央、水下きよし、秋葉陽司 、磯村智彦、町田光、原川浩明、嶋倉雷象、各務立基、山下禎啓、溝口健二、横道毅、近藤英輝(双数姉妹)、堀越涼、目谷哲朗、美斉津恵友、小林大介
かつての“浪花のチビ玉”、いまや“流し目のスナイパー”と異名を取り、女心を射抜く大衆演劇のスター女形・竜小太郎が「花組芝居」に初見参、座長・加納幸和との女形対決を繰り広げた舞台を放送!
竜の座長公演でも脚本を担当した「双数姉妹」の小池竹見が、この2人のために書き下ろしたのは絢爛豪華な時代劇ミュージカルだ。
35万石の大名・草間家で持ち上がったお家騒動。陰謀の末に嫡男家頼が亡くなり、今では弟頼貴が太守の座についている。
ところが亡き家頼の娘・滝姫の愛猫が化け猫となって災いを起こすとの噂が立ち、罪の無い猫までが忌み嫌われて退治される始末。
多くの仲間を亡くした猫たちはとうとう決起することになり…。
猫の恩返しに仇討ち、正室と側室の世継ぎをめぐる争い、猫の化身の腰元たちの戦いと、美しきゴクネコ対決の幕が上がる。
豪華な衣裳や早替り、そして村治崇光(長唄の六代目杵屋勝四郎)による和調アレンジの多彩な音楽で、楽しいエンターテイメントに仕立てられている。