乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『イランのむかし話』  マレク=モハンマドの冒険 ほか  井本英一 翻訳

2008-08-23 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真はイランのゴレスレーン宮殿のタイル画。ゴレスレーン宮殿には、一人で訪れ、ゆっくりと半日近くを過ごした。)

 

記録だけ  

 

 2008年度 96冊目  

 

   大人とこどものための 世界のむかし話 9
 
  『イランのむかし話』  マレク=モハンマドの冒険 ほか
  

 

 

 井本 英一 翻訳 

 偕成社 株

 1990年4月 第1版 

 170ページ 1500円+税

 

 

 読みながら、とても幸せな時間を持つことができた。

 タイトルにもある「マレク=モハンマドの冒険」をはじめとして 物語が十編。

 ギリシャの影響を受けたものも多いという。

 参考までに、載せられていたお話を記録しておこう・・・。

 

 うつくしいくつやのむすめ 1

 こじきの親方アッバース 2

 マレク=モハンマドの冒険(前出) 3

 とんまなニワトリ売り 4

 術師としば刈りの若者 5

 がみがみやのファーテメ 6

 おかゆになった大臣 7

 ペムーニーとエスカルダン 8

 はげの男は利口 9

 犬になったむすめ 10

 

 

「とんまなニワトリ売り」はエスファハーンを思い浮かべながら、納得して楽しんだ。物語とはいえ、本当にありそうな話に感じるのはなぜ?

 

「術師としば刈りの若者」は相手がオオカミになって姿を変え・・・若者は一本の針になって地面をもぐる・・・の下りなどは、現在の映画を見てるようで、スケールか大きく楽しい。こういった話は、砂漠などのある中東に多いのだろうか。話は飛ぶが、日本でも『針』とか『箸』といったものには独特の観念があることは、以前宮田登氏の本で読んだことがある。イランでも針に対しては独自の観念があるのだろうか・・・。

 

「おかゆになった大臣」は、かちかち山をさらに これでもかこれでもかと残酷にした感じで、結構残酷。

 

「はげの男は利口」をはじめいくつかの出世話も、欧州話でも読んだことがある。また、「犬になったむすめ」は、グリム童話などの『皮かぶり』の関係のいくつかの話を思い出した。しかしイランの「犬になったむすめ」の方は父娘の親近相姦手前のような内容は含まれない。

 

 好き勝手に記録していますが、『イランのむかし話』  (マレク=モハンマドの冒険 ほか) はとても楽しく、時間がたつのも忘れて読んでしまいました。

 翻訳をなさっている 井本 英一先生が、1~10総ての物語に、わかりやすくて詳しい説明を付けておられます。

 それを読むと、今まで知らなかった発見が多く、楽しみも増します。

 解説を念頭に置きながら、もう一度味わって楽しんでみたいと思います。そうすることによって、民話から、何らかの中東的なフォークロアが感じられることでしょう・・・。そんな気がいたします。

 

 先ほども書きましたように、大人からこどもまでの多くの人が、気軽に楽しめるのですが、内容の濃い昔話の好きな人には魅力的な良書だと思います。

 お話の好きな方は、一度読んでみて下さい。

 きっと楽しい充実した時間をすごすことができると思います。

 昔話の好きな方への、お勧めの一冊です。

 

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『神秘と詩の思想家メヴラーナ―  トルコ・イスラームの心と愛』 西田今日子訳 丸善プランネット株

2008-08-23 | 読書全般(古典など以外の一般書)

 

(写真はイランのテヘラン。モザイクやタイル画の素敵なゴレスレーン宮殿の窓。)

 

記録だけ  

 

 2008年度 95冊目  

 

 
 
   『神秘と詩の思想家メヴラーナ―
           トルコ・イスラームの心と愛』 
  

 

 

 イェニテルズィ、エミネ 著

 西田 今日子 訳

   1971年東京生

   武蔵野美術大学

   宝飾・貴金属加工業に従事

   現在、宝飾品企画・加工「かざりや」主宰

 丸善プランネット 株

 2006年6月20日 第1版 

 385ページ 3150円

 

 

 尊敬しているお一人のT様にお教えいただいて、読むことができました。

 ここに感謝申しあげます。

 ありがとうございます。

 

 

 私はこれまで メヴラーナ―(ヨーロッパが侵略と覇権争いに明け暮れていた中世期)という名を知らなかった。

 まぁ世間知らずで、何も知らないのだから、当然のことだ。

 教えていただいた『神秘と詩の思想家メヴラーナ―  トルコ・イスラームの心と愛』は、図書館で手に入れようと思えばゆうに一ヶ月はかかりそうだ。

 幸いにして、子供の通う大学にあった。

「付属図書館なのだけれどね、書庫だったよ。 『大学院 AA研究科』のものでね、周りには結構珍しい本が並んでいたよ。中東関係の本が多かったな。」

などと、図書館事情を話してくれる。

『そうなの。』

と、意味もない相づちとともに 礼を言う。

 聞き流してはいたものの、AA研究科っていったい何だろう・・・。アジアアフリカ研究科だろうか・・・。AhouのAtasiには分からない。

 

『神秘と詩の思想家メヴラーナ―  トルコ・イスラームの心と愛』は面白く、深かった。

 馬鹿な私がどこまで分かっているかは別問題として、兎に角一言一言が心にしみこんでくる。

 言葉も日本語訳とはいえ、美しく、美味く工夫されているせいか、鳴り響く。

 

 第5章のメヴラーナの影響には特に興味を感じた。

 メヴラーナ教団について詳しく書かれていた。

 一度は見たいと思っていたセマーはここから始まったらしい。

 イラン人も身につけるカリグラフィーは個々で学問として習得されていたんだな。

 メヴラーナ学舎は

  イルム(学問的知識)

  イルファーン(直感視)

  アダブ(教養・礼儀作法)

  神秘学、宗教、文学、音楽、カリグラフィー他、学問を修得する場として機能したと記されている。

 

 中でも私の心をとらえたのは、優美な比喩的伝統的言い回しの部分。

 これには、心を奪われてしまった。

 例えば、

  「炎(蝋燭)を消して」 → 「炎(蝋燭)を楽にしてあげて」

  「明かりをつけて」 → 「明かりに目をさますように伝えて」

                「明かりに告げて」

  「死者を埋没する」 → 「死者に磨きを輝かせる」

  「私」 → 「この貧しきもの」

   もし、私と行ってしまった場合 → 「呪われよ、この自我よ」

という具合。

 

 トルコで息づいたメヴラーナ―の言葉の数々は、実はペルシャ語で記されていたという。

 ペルシャ語が一番格調高いためだという。

 

 ペルシャ語で表現されたメヴラーナ―の言葉は、物語の部分を省いて、やがて詩の部分が一人歩きした傾向にあるという。

 去年 一人でバーバーターヘル廟に訪れた。

 イランの誇る詩人である バーバーターヘルも、メヴラーナ―を尊敬して影響を受けていたという。

 今では イラン人はメヴラーナ―にかなりの影響を与えられているという。

 

 メヴラーナ―は我が家の書棚にも二種類 十数冊並んでいた。

 ただし、ペルシャ語のものと英訳のもので、分厚くてかなりの冊数。

 本当はこんなにも長い内容なんだと思うと、教えの深さに驚くばかりだ。

 日本人の宗教観は、中東のそれとはかなりずれている。

 しかし宗教はともかく、人間の指針に触れる部分や、芸術、教養、品の部分では、今一度しっかりと見つめ直す必要を感じる。

 イランでは、ハーフェズ廟やバーバーターヘル廟、サーディ廟に行くと、一般のイラン人が声高らかに、まるで歌でも歌うかのように、詩を読み始める。

 優雅な調べが廟の中でこだまし、響きあう中で、中央に置かれた詩人の棺は、自分の創造した言葉の調べを聴き、眠りについているのである。

 メヴラーナ―はイランのそういった時間の流れの手助けの一部をしたのかも知れない。読み終えて、そんな風に感じるのである。

 

 最後になりますが、間違った内容や不愉快な表現などがございましたら、お教え下さいましたら嬉しいです。

 皆様、最後までお読み下さいまして、ありがとうございました。

 

 

  第1章 メヴラーナの生涯

 第2章 メヴラーナという人物―彼にまつわる逸話から

 第3章 メヴラーナの作品

 第4章 メヴラーナの思想

 第5章 メヴラーナの影響

 第6章 総論

 第7章 メヴラーナの言葉

コメント (3)
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