(写真はイランのゴレスレーン宮殿のタイル画。ゴレスレーン宮殿には、一人で訪れ、ゆっくりと半日近くを過ごした。)
記録だけ
2008年度 96冊目
井本 英一 翻訳
偕成社 株
1990年4月 第1版
170ページ 1500円+税
読みながら、とても幸せな時間を持つことができた。
タイトルにもある「マレク=モハンマドの冒険」をはじめとして 物語が十編。
ギリシャの影響を受けたものも多いという。
参考までに、載せられていたお話を記録しておこう・・・。
うつくしいくつやのむすめ 1
こじきの親方アッバース 2
マレク=モハンマドの冒険(前出) 3
とんまなニワトリ売り 4
術師としば刈りの若者 5
がみがみやのファーテメ 6
おかゆになった大臣 7
ペムーニーとエスカルダン 8
はげの男は利口 9
犬になったむすめ 10
「とんまなニワトリ売り」はエスファハーンを思い浮かべながら、納得して楽しんだ。物語とはいえ、本当にありそうな話に感じるのはなぜ?
「術師としば刈りの若者」は相手がオオカミになって姿を変え・・・若者は一本の針になって地面をもぐる・・・の下りなどは、現在の映画を見てるようで、スケールか大きく楽しい。こういった話は、砂漠などのある中東に多いのだろうか。話は飛ぶが、日本でも『針』とか『箸』といったものには独特の観念があることは、以前宮田登氏の本で読んだことがある。イランでも針に対しては独自の観念があるのだろうか・・・。
「おかゆになった大臣」は、かちかち山をさらに これでもかこれでもかと残酷にした感じで、結構残酷。
「はげの男は利口」をはじめいくつかの出世話も、欧州話でも読んだことがある。また、「犬になったむすめ」は、グリム童話などの『皮かぶり』の関係のいくつかの話を思い出した。しかしイランの「犬になったむすめ」の方は父娘の親近相姦手前のような内容は含まれない。
好き勝手に記録していますが、『イランのむかし話』 (マレク=モハンマドの冒険 ほか) はとても楽しく、時間がたつのも忘れて読んでしまいました。
翻訳をなさっている 井本 英一先生が、1~10総ての物語に、わかりやすくて詳しい説明を付けておられます。
それを読むと、今まで知らなかった発見が多く、楽しみも増します。
解説を念頭に置きながら、もう一度味わって楽しんでみたいと思います。そうすることによって、民話から、何らかの中東的なフォークロアが感じられることでしょう・・・。そんな気がいたします。
先ほども書きましたように、大人からこどもまでの多くの人が、気軽に楽しめるのですが、内容の濃い昔話の好きな人には魅力的な良書だと思います。
お話の好きな方は、一度読んでみて下さい。
きっと楽しい充実した時間をすごすことができると思います。
昔話の好きな方への、お勧めの一冊です。