乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『こまつ座「芭蕉通夜舟」』井上ひさし作 鵜山仁演出 坂東三津五郎 ほぼ一人芝居 2012年

2012年11月11日 | TVで 歌舞伎・能楽



『こまつ座「芭蕉通夜舟」』





演出:鵜山仁
鵜山仁 うやま ひとし
慶應義塾大学文学部フランス文学科卒業。
舞台芸術学院を経て文学座附属演劇研究所に入所(17期)/1982年、座員に昇格。
ウィット溢れる演出術で俳優の意外な一面を引き出す手腕と、言葉から着想される膨大なイメージをあらゆる表現・素材を使って劇空間に現出させる力に定評がある。
2004年、第11回読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞を受賞。その後も休む間も無く傑作を生み出し続ける。2007年6月~2010年8月、新国立劇場の第四代演劇芸術監督を務める。
主な代表作に『グリークス』(第25回紀伊國屋演劇賞団体賞)(文学座)、『コペンハーゲン』(新国立劇場/第9回読売演劇大賞優秀演出家賞)『父と暮せば』『円生と志ん生』(以上こまつ座)『ヘンリー六世』(新国立劇場)またオペラやミュージカルなどの演出も手懸ける。


出演:坂東三津五郎 坂東八大 櫻井章喜 林田一高 坂東三久太郎
作:井上ひさし
2012年
120分
カラー
ほぼ一人芝居なのに、めまぐるしい舞台転換で人々を魅了する井上ひさしの戯曲 歌舞伎界の名優、坂東三津五郎を迎え、鵜山仁が卓抜な演出の腕をふるう 俳聖・松尾芭蕉の生涯を、芭蕉一門主流の歌仙三十六句にちなんで綴る全三十六景の一代記 そのものの時めいていた過去と、 もう滅ぶしかない未来とを同時に匂わせるのです。 しかもそれをたったの十七文字でやってのけようとして、 わたしたちは骨身を削るのです。  日本の古典を洒落や滑稽さでもじる江戸談林俳諧の宗匠として名を馳せ、もてはやされた松尾桃青。  素人の連句の会に出向き指導をすれば出座料、できた連句に「秀逸」や「珍重」などと点をつければ点料が懐に転がり込む。正直に「稚拙」「愚劣」と点をつければ、ののしられ叩き出されて、恨みまでをかってしまう。 「こんな点者生活は、太鼓持ちとさほど違わないではないか。しかも談林派は、もじり尽くして行き詰り、果ては一日四千句と数を競う。そんなもの俳諧のたれ流し、下痢腹俳諧じゃないか」。  物静かな深川へ居を移し、談林俳諧に決別し、俳号を好きな木にちなんで「芭蕉」にかえた。そして、ひとりぼっちのわびしさ「わび」に目をつけ、そのわびしさに徹して句作を行い俳諧の革新をはかるのであった。  安住をのぞまず、托鉢僧のような乞食行脚、風に吹かれるカンナ屑・・・・。草が枕で、空行く雲が掛布団・・・・。  芭蕉を「『人はひとりで生き、ひとりで死んでゆくよりほかに道はない』ことを究めるために苦吟した詩人」と、井上ひさしは考えて書き下ろした、芭蕉一門主流の歌仙三十六句にちなんで綴る全三十六景の一代記です。 俳聖・松尾芭蕉役に、歌舞伎に止まらず、 意欲的に現代演劇に取り組んでいる 坂東三津五郎を迎え、鵜山仁が卓抜な演出の腕をふるいます。 ほぼ一人芝居『芭蕉通夜舟』 2012年8月17日(金)~2012年9月2日(日)紀伊国屋サザンシアター



 三津五郎さんの『こまつ座「芭蕉通夜舟」』を楽しむ。とても面白かった…

 笑い続けていたが、とにかく筋書きが洒落ている。言葉の隅々まで感心する。
 坂東三津五郎さんの演技。台詞も表情もキリも間もすごい☆

 気のきいた原作と演出家&うまい役者さんの舞台なら、こんな風になるんだだと心が高鳴る。
『こまつ座「芭蕉通夜舟」』は舞台として、たいへん満足した。


『こまつ座「芭蕉通夜舟」』終了後 三津五郎さんはライブの良さを語られ、是非 舞台(劇場)でとおっしゃっていた。納得☆こんな舞台、見たいなぁ☆




 

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163: 『錦絵はいかにつくられたか』国立歴史民俗博物館 2009年 企画展 図録

2012年11月11日 | 読書全般(古典など以外の一般書)


 163: 『錦絵はいかにつくられたか』国立歴史民俗博物館 2009年 企画展 図録


  

 


『錦絵はいかにつくられたか』国立歴史民俗博物館 2009年 企画展 図録を読み、楽しむ☆

 2009年2月24日(火)~5月6日(水)国立歴史民俗博物館で『錦絵はいかにつくられたか』と言う特別展があった。本書はその図録

 かなり充実したこの図録の満足感は大きい。楽しく興味深く、かなりの時間をかけて何度も何度も楽しませて頂いた。

 この本も繰り返し読むと、博物館に実を置いたような気持ち良さだ…

 国立歴史民俗博物館の企画展の刊行物は他にも大変読みたいものが複数册あったが、完売していた。どうにかして、読むことはできないものか…。
 

 図録『錦絵はいかにつくられたか』を楽しみながら、芝居や当時のようすを想像する。

 錦絵の複雑な刷りに驚きながら、錦絵と版木を照らし合わせる。間違わないのかと目をこらすと、色など書き込んである。「ちのりよろしく」には参った。こんな風に記されているのかと、ほくそ笑む。

 版木は錦絵に限らず博物館などで見かけることが多いが、諸々の理由で数少ないと知る。


 国芳に多く触れられていた。国芳は諷刺がや遊女役者絵逃れ(?)の作品が多い。

 仮名草子にある 薮薬師の『竹斎』の娘 ‘こがらし’が描かれた 「きたいなめい医難病治療」の素晴らしさにも見とれる。この作品も、諷刺ではないかと疑われたとのこと。
 
 本書参考図書の中には 以前楽しんだ吉川好文館の『幕末の諷刺画』も載っていた。この本によれば着物や羽織の模様や意匠(?)によって諷刺する相手がわかると書かれていたように思う。「きたいなめい医難病治療」を目を凝らしてみて見たが、わたくしにはわからなかった…。

 
 国芳他多くの好きな浮世絵師の作品が載っていた。

 他、当時の宣伝(乳の出る薬や化粧 他)など、絵双紙屋が多角経営であったとのこと。

 丹念に読んでいると、結構時間を費やした。


 実際に博物館に行くと、長くとも四時間くらいで切り上げるので、全て見尽くすには複数回どころではなく通わなければならないだろう、そう思えるくらい興味のある企画展だったようだ。

 国立歴史民俗博物館は遠い、非常に残念。


 
 ラマン
 
 ラマンで作品に負担なく錦絵の色の分析が出来る

 
 仁木直則…
『伽羅先代萩~花水橋・御殿・床下』の三世河原崎権十郎さん(花道)を思い浮かべる…



 国立歴史民俗博物館 公式HPより ▼ これはかなり見たかった……。
 HPはココ
 

この企画展示は、多色摺浮世絵版画の一形態で、一般にもっとも馴染みのある錦絵が、どのようにして生み出されたのかを、錦絵をとりまく社会状況や世相の面からアプローチするとともに、昨年度購入した錦絵の版木をもとに、錦絵を生み出した技術的側面を、彫摺技法および絵の具の科学的分析をもとに考察するものです。つまり、錦絵の鑑賞に重きをおく美術展ではなく、‘流通’と‘世相’さらに‘技術’に焦点を当てて、江戸時代末期の錦絵について考えるものです。

展示構成
第一部 絵双紙屋
錦絵が江戸時代末期、どのような形で販売され流通していたかを、絵双紙店を描いた錦絵や版本、あるいは絵双紙屋の引札などを通して多角的に提示いたします。

1.絵双紙屋の店頭から
錦絵は絵双紙屋と呼ばれる店で市販されていました。このコーナーでは幕末の錦絵販売の様子を詳しく描いた三代歌川豊国画の錦絵「今様見立士農工商(いまようみたてしのうこうしょう) 商人(しょうにん)」を核に、江戸末期の絵双紙屋の店頭における商品傾向や、販売の実態にせまります。

2.芝神明前(しばしんめいまえ)
芝の飯倉神明宮(いいくらしんめいぐう)(通称、芝神明)の門前は、江戸でも屈指の盛り場でしたが、とくに錦絵を商う絵双紙屋が数多く軒を連ねていたことで有名です。このコーナーでは、名所図会や錦絵など、さまざまな画像を用いて、絵双紙屋のメッカであった芝神明前について提示します。

第二部 錦絵出版事情
『藤岡屋日記』や曲亭馬琴(きょくていばきん)の書簡などには、江戸末期の世相とそれに関係した錦絵出版の記事が豊富に見出されます。当館が所蔵する錦絵の中からそうした記事に対応するものをさがしだし、どのような社会状況のもとで錦絵が生み出されたのかを考えます。

1.世相と錦絵
錦絵は江戸の町の流行を映し出す鏡でした。このコーナーでは、歌舞伎や、見世物・開帳などの流行は、版元にとっては錦絵を売り出す商機でもありました。人気役者の死に際して出された「死絵(しにえ)」や、人々の関心を集めた小金原における幕府の鹿狩を描く錦絵など、江戸市中での評判や流行が錦絵を生み出した要因となったことを提示します。

2.風刺画の流行
天保の改革のさなかに売り出された歌川国芳の3枚続錦絵「源頼光公館土蜘作妖怪図(みなもとのよりみつこうやかたつちぐもようかいをなすず)」は、改革を風刺したとの噂がたち、大評判となりました。この錦絵を契機として、以後幕末まで風刺画が数多くつくられます。このコーナーでは、幕末の風刺画の流行と、「源頼光公館土蜘作妖怪図」が幕末錦絵の画面構成に与えた影響について提示します。

第三部 版木から見る錦絵
当館は昨年度、歌川国芳、三代歌川豊国、歌川広重の錦絵の版木を大量に枚入手し、「歌川派錦絵版木」と名付けました。345枚という量はまとまった錦絵の版木として世界最大であり、かつ、輪郭線等を摺る主版(墨版)だけではなく、通常残ることがきわめて稀であるとされる色版(色摺部分の版木)も豊富に残っているという点で、もきわめて貴重な資料です。この版木群をもちいて、江戸末期の錦絵の彫りと摺りの技術をじっくりとごらんいただきます。また、版木に対応する錦絵も並べて展示いたします。

第四部 科学の目で見る錦絵
当館では、自然科学の分析手法を用いて歴史資料を研究し、あるいは最新の情報工学を駆使していた画像をもとに展示を構成することをおこなってきました。今回は、ラマンイメージング装置による顔料分析や、デジタル技術を用いての錦絵の再現などをおこないます。

1.ラマンで見る錦絵の色
ラマンイメージング装置は、単色光源であるレーザー光を用いて、非接触・非破壊で物質の構造同定をおこなう装置です。科学技術振興機構(JST)革新技術開発研究事業(「文化財測定用携帯型ラマンイメージング・顕微赤外分光装置の開発研究」平成17-19年度)の 助成を受け、当館、埼玉大学、エス・ティ・ジャパンの協力により、文化財用に小型化した装置を開発・製作しました。今回はその装置を用いておこなっている錦絵の色材研究の一部を提示します。

2.まぼろしの錦絵再現
「歌川派錦絵版木」の中には、版木は完全に彫り上げられたものの、なんらかの事情で出版されなかった国芳の「御庭の飼鳥」があります。三次元形状計測の技術を駆使してこの「御庭の飼鳥」の版木の画像をデジタル処理し、いまでは見ることのできない摺り上がった状態の再現をこころみます。

3.錦絵デジタル・ギャラリー
当館が所蔵する「錦絵コレクション」のほとんどを高精度でデジタル画像化してとりこんだシステムで、拡大も縮小も自在。細かい彫りの線や紙のすき目まで見える画像をお楽しみいただけます。

おもな展示資料
三代歌川豊国画「今様見立士農工商 商人」 (当館蔵)
「懐溜諸屑(ふところにたまるもろくず)」 (当館蔵)
「怪談・妖怪コレクション」より歌舞伎役者の死絵各種 (当館蔵)
歌川国芳画「源頼光公館土蜘作妖怪図」 (当館蔵)
歌川貞秀画「富士の裾野巻狩之図」 (当館蔵)
「歌川派錦絵版木」より、国芳画「源氏雲浮世画合(げんじぐもうきよえあわせ) 幻」 (当館蔵)
国芳画「鏗鏘手練鍛(さえたてのうちきたひ)の名刃(わざもの) 阿波(あわ)の十郎兵衛(じゅうろうべえ)」 (当館蔵)
広重画「英雄五人傑(えいゆうごにんおとこ) 吉岡兼房(よしおかけんぼう)」 (当館蔵)
三代豊国画「東海道五十三対(とうかいどうごじゅうさんつい) 鳴海(なるみ)」 (当館蔵)
国芳画「御庭の飼鳥」 (当館蔵)
ラマンイメージング装置 (当館蔵)


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