2022/01/01
「新春詠読売歌壇・俳壇の選者が吟うプロトタイプを[][]」
「左右からくるま来ぬとき決心し赤信号をわたらむかわれ[小池光][短歌]」
「紅テントにひしめくわれらをたのしませくれたる女優李麗仙も死す[小池光][短歌]」
「ころころと転がりまはり是非もなしふぬごパンダの兄といもうと[小池光][短歌]」
「コロナ禍の数字に一喜一憂せし子年、丑年、寅年はいかに[栗木京子][短歌]」
「スペイン風邪は終息までに三年余かかりしといふ三度目の春[栗木京子][短歌]」
「寺田寅彦は説きにき厄災を正しく恐るるそのむづかしさ[栗木京子][短歌]」
「第五波の引きゆく渚ひさびさのダシ香りおり『大盛うどん』[俵万智][短歌]」
「子はついに個室を得たり寮生活六年目にして個室を得たり[俵万智][短歌]」
「『知らんけど』はツッコミ防御するための便利な言葉です、知らんけど[俵万智][短歌]」
「立山を仰ぎて歳のあらたまる雪の地をわが涯となしたり[黒瀬珂瀾][短歌]」
「刎頸の友ほど明き月光の凪に立つべし富岡義勇[黒瀬珂瀾][短歌]」
「山茶花の紅もて人を恋ふまでに闇に座したり睦月の闇に[黒瀬珂瀾][短歌]」
「ジャガ・バタに賑はふ広場雪の前[矢島渚男][俳句]」
「水の神ありて火の神年籠り[矢島渚男][俳句]」
「去年今年時は流れず積りゆく[矢島渚男][俳句]」
「丸餅の丸を崩さず雑煮椀[宇多喜代子][俳句]」
「庭に来て影ふくらます初雀[宇多喜代子][俳句]」
「初夢をはみ出しゆっくりと歩く[宇多喜代子][俳句]」
「空はただ明けゆくのみに去年今年[正木ゆう子][俳句]」
「海嶺を十三のゆめ鯨の子[正木ゆう子][俳句]」
「米つぶの尊さににて寒の梅[正木ゆう子][俳句]」
「首引いて初鶏鳴くや鳴きかははす[小澤實][俳句]」
「初日の中へ巨大兜生物タイタノコリス泳ぎ出よ[小澤實][俳句]」
「海賊も巻く百韻や松のうち[小澤實][俳句]」