2015/01/28
「背のびして衲御礼履ノウノゴレイリを見る吾子のもみじつきたる赤い長靴(奈良・栗山千佳 最優秀賞)」
「方鏡の真中に千年屈まりし獣は一度も背伸びをなさず(川口・森中香織 奈良国立博物館賞)」
「麻生の長衣針目の美しく揃えて縫いし乙女思ほゆ(奈良・甲斐田八重 読売新聞社賞)」
「ぢいちやんに似てゐると子に言はれをる伎楽の面は酔ひて目を伏す(奈良・仙田由美子 優秀賞)」
「一生に再び出合いし宝物の衲御礼履いろあせぬ朱(松原市・東尾喜代美 優秀賞)」
「天皇の御前に舞ふ崑崙の汗染み残る天平のシャツ(富士吉田・舟久保俊子 優秀賞)」
「ふるさとにふくよかにしていつも待つ樹下の立女は母に似てゐる(浜松・松井恵 優秀賞)」
「夫は先ず校倉つくりの技法見る建築士なればやたら頷く(宮城県湧谷町・菅原喜久子 審査員特別賞)」
「書くたびについ真似ている梵網の心という字の冴えた右ハネ(奈良・宮久保ひとみ 審査員特別賞)」
「いつの日か靴の仕事をもう一度町続けてゐる衲御礼履ノウノゴレイリ(古沢舞衣 最優秀賞)」
「捍撥カンパチの高士コウシの姿映し出す赤外線は現世の瞳(井上のどか 奈良国立博物館賞)」
「(緻密なる駅舎にも似た正倉はシルクロードの終点担う/後藤のはら 読売新聞社賞)」
「げんかんは丸いところがかおみたいどんな声をだすんだろうか(雑賀渚沙 優秀賞)」
「正倉院小さい船にのって来た大きな世界の文化遺産(白尾航大 優秀賞)」
「異国より長旅を経た宝物の旅の疲れも癒えるころかな(奥村日向子 優秀賞)」
「鼻と耳なおして安堵の酔胡従ほっと息つく顔にも見える(浜田龍河 優秀賞)」
「阮咸ゲンカンの指が奏でたその音をしかと支えしその強き弦(中村祐寧 審査員特別賞)」
2015/01/27
「初芝居團十郎の烏帽子かな(子規)」
「初曾我や團十菊五左團小團(子規)」
「初芝居見て来て曠着ハレギいまだ脱がず(子規)」
「正月は歌舞伎にこだわる子規がいてわれらは今はテレビで観たり(中村座のNY講演のドキュメントを見た)」
「能・歌舞伎豊かな文化持つわれらせめて正月観賞月に()」
「正月もあと四日にて過ぎ去れば『おっとっ』と言いたくもなる()」
2015/01/26
#025 三条右大臣「ターザンが雄叫びあげて通い来る夜のジャングル目が光りおり()」
#026 貞信公「紅葉葉もホテル一同待ってますあなたの殿が来る次のときまで()
2015/01/24
「人質の湯川・後藤のお二人の身の安全が危ぶまれおり(猶予なる三日は瞬く間にすぎて警告通り犠牲になるか)」
「現実味ある要求ならば日本国身代金を払うだろうが(二人合わせて二億ドルは無茶)」
「湯川さん軍事の会社の経営者日本にいては要らぬ会社か()」
「理コトワリの通らぬ相手というものの真の相手はわれらであらず()」
「かくのごとく泥沼と化す始まりは大戦のちのアンバランスのため(イスラエル建国、植民地の独立、南北対立、東西冷戦等)」
「戦後派のわれは強国アメリカを見て育ちしも今は色褪す()」
「目には目のアラー教え激しかりビルに飛行機突っ込ませるか(兵士でなく国民が標的)」
2015/01/26
「盗人の暦見て出る恵方かな(子規)」
「盗人の大口あけて恵方巻き()」
「昔から荷物をかつぐ商売は縁起も担ぐ盗人さんも()」
「伊勢甚も荷物扱う魚屋で『大荷は内』と豆を撒きたり(私のおじいさんは魚屋をしていた)」
「恵方巻きいつからできた食べ物で食べる習慣誰が担ぎし()」