琉球王国時代、
お寺に比べると神社はそれほど多くはなかったようです。
(現在、鳥居=神社を多く見るのは
明治以降に作られた物や、
グスクや御嶽が"神社化"されたゆえ)
王国時代、神社として文献に記録されているものは
主に
沖縄本島では
"琉球八社"と呼ばれる8つの宮と、浮島神社、住吉宮、等、
そして
伊江島、宮古島、石垣島にそれぞれ、という感じ。
沖縄の神社の特徴として
●琉球古来からの御嶽信仰と合体し、
御嶽のあった場所に社殿を建て神社とした
●熊野権現を祀る
等があります。
(例外もあり)
そして、これは琉球に限ったものではありませんが、
神宮寺(別当寺・併設寺院)といって
神社にはお寺が必ずセットになっているのも注目。
昔は神社とお寺は2つで1つみたいな
「神仏習合」「権現」の観念がありました。
(明治になってから神社とお寺は完全に分離させられます)
この辺を追及していくと
かなり込み入ってくるので(観念の話は難しい…)、
とりあえず
琉球王国時代から続く神社は
そばにある「お寺」もセットだったよ!
ということを覚えていただいて
そのお寺も一緒に意識してもらえれば。
「お寺」だけの「お寺」はあるけど(円覚寺とか崇元寺とか)、
「神社」だけの「神社」はなかったってことになるかな。
現在、神社と呼ばれるものは多けれど、
王国時代から続く神社となると
由緒あるというか、
歴史の重みも感じますね。
というわけで、
今回はその代表格である
沖縄本島にある
"琉球八社"を一挙ご紹介。
すでに過去記事があるものはリンクも貼っておきます。
◆波上宮(なみのうえぐう)◆ 那覇市
琉球・沖縄の一ノ宮
創建時期は不明。
(1521年に「再建」とあるので15世紀には存在していたと思われる。
護国寺の創建と同時期なら14世紀の可能性も)
社殿の奥・断崖の端に古来からの拝所を持つ。
過去記事→★
神宮寺(併設寺院)は護国寺。
現存。
◇護国寺◇
◆普天満宮(ふてんまぐう)◆ 宜野湾市
創建時期は不明。
(15世紀に熊野三神を合祀か)
裏にある洞穴に古来からの拝所を持つ。
過去記事→★
神宮寺(併設寺院)は普天満山 神宮寺。
現存。
◇普天満山 神宮寺◇
◆沖宮(おきのぐう)◆ 那覇市
創建時期は不明。
(15世紀中頃には存在)
元々は那覇港の三重城に続く堤の途中に、
臨海時と一緒にあった。
神宮寺(併設寺院)は臨海寺。
天久に移転して現存。
◇臨海寺◇
◆末吉宮(すえよしぐう)◆ 那覇市
創建時期は不明。
(15~16世紀頃か。
万寿寺の創建と同時期なら14世紀の可能性も)
神宮寺(併設寺院)は遍照寺〈万寿寺〉。
跡が末吉宮の麓に残る。
寺院は沖縄市に移転して存在。
◇遍照寺〈万寿寺〉跡◇
◇現在の遍照寺◇
◆識名宮(しきなぐう)◆ 那覇市
創建時期は不明。
(16世紀中頃か)
裏にある洞穴に古来からの拝所を持つ。
神宮寺(併設寺院)は神応寺。
現存せず。
◇神応寺跡◇
◆天久宮(あめくぐう)◆ 那覇市
15世紀後半ごろに創建。
(下の?)洞穴に古来からの拝所を持つ。
神宮寺(併設寺院)は聖現寺。
現存。
◇聖現寺◇
◆安里八幡宮(あさとはちまんぐう)◆ 那覇市
1466年ごろ創建。
琉球八社で唯一、熊野三神ではなく八幡菩薩を祀る。
神宮寺(併設寺院)は神徳寺。
現存。
◇神徳寺◇
◆金武宮(きんぐう)◆ 金武町
16世紀初めごろの創建。
社殿を持たない神社。
洞穴内に祠があるが、
洞穴そのものが聖域(金武宮)とされる。
過去記事→★
神宮寺(併設寺院)は金武観音寺。
現存。
◇金武観音寺◇
参/『沖縄の神社』(加治順人著)