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映画『ヒミズ』予告編

2015年05月07日 | 映画
映画『ヒミズ』予告編

どちらかというと、邦画にはほとんど興味がない。

主にハリウッド映画(時々ヨーロッパも)専門でA級B級関係なく、興味の湧いたものから順に鑑賞している。

もちろん、当たりはずれはたくさんあって、

ここ最近のハリウッドのネタ切れ感はチトすさまじいもんがあると感じているわけだけど、

今回は邦画の「ヒミズ」を観た。

これは今春中3になった息子のセレクト。

正直、ほとんど期待もせずに観ていた。

悲惨な津波のがれきの山に囲まれて、絶望感の中で暮らす主人公以下登場人物たち。

彼らほとんどが絶望の中で暮らしていて、

「こりゃ救われない映画だなぁ…」なんて思いながらずーっと観てた。

でも、ラストシーンで涙がとまらなくなってしまった。

ガツン!と心を揺さぶられてしまった。

こんなに希望にあふれてる作品にはそうそう出会えないと思う。

ラスト近く、たくさんのロウソクをともした中でヒロインと主人公が交わす「夢」。

「結婚して、貧乏だけど二人で必死に働いて、そのうち子どもが生まれ、私たちにパパ、ママなんて言うんだよ。想像してごらん。すごく幸せじゃない?」

「うん・・・、すごく幸せだ・・・。」と返す主人公。

こんなシチュエーション、実際は普通の生活であって、

こんな生活じゃ物足りないなんて思っちゃう人たちが実はものすごく多いと思うんだけど、

それがすごく幸せに感じるというところからして、彼らの絶望的な境遇がわかるし、

それがホントに幸せだよねって思えるくらいに悲惨なシーンばっかりだったんだけど、

それらは実はこのシーンのためにあったんだなって実感できた。

ラストの「がんばれー!住田ぁー!」と叫びながら

主人公とヒロインが夜明けのがれきの山の中の道を走り続けるシーンは涙なくしては観られない。

本当は主人公が実父殺しで自首しに行くために、絶望にボロボロになりかけているのだけど、懸命に走っていて

そんな状況も絶望的なシーンであるはずなんだけど、

まったくと言って絶望感は感じられず、

ヒロインのサポートで、主人公がつらいながらもかすかな希望に向かっているように感じられる。

最後はがれきの山と「がんばれー!」という声のみになり、

実際の大震災の被災者たちに向けたメッセージになっているのも良かった。

原作の漫画を好きな人たちには不評みたいだけど、

個人的は、こんなに良い出来の邦画にはそうそう出会えないような気がする。

クリントイーストウッドの監督作品にも通ずるような出来栄えだったよ。

もっと評価されてもいいと思うんだけど、ね。

「世界にたった一つだけの花」というセリフも、映画の序盤に学校の先生に言わせたときはクサすぎてダメダメだったけど

ラストのヒロインに言わせたときにはホントにしっくりきたし、説得力はめちゃくちゃあった。

同じこと言うにしても

その人間の背景というか、
考え方というか、
背負っているものというか、

そういうものがとても大事なんだなっていう監督の考え方も改めて伝わってきた。

これは、ぜひ皆さんに一度は観ておいてほしいと思った映画の一つだったよ。

ぜひ、観てみてください。
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