はぐくみ幸房@山いこら♪

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再造林における植栽樹種の選択

2015年11月16日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 以前にお話した低コスト造林に関連して、再造林でスギ・ヒノキ以外に適した樹種とは・・・。

 という妄想に、今回は、お付き合い下さい

 しかも、長いんです。ゴメンナサイ

 まず、ここでいう適した樹種とは、林業経営としてスギ・ヒノキ以外に適した樹種という意味です。(スギ・ヒノキとありますが、カラマツなど一般用材に向けの樹種も広義的に含みます。)

 まぁ、以前にも同じような事を書きましたが、シイタケ原木のコナラやクヌギ、和歌山県なら紀州備長炭の原木のウバメガシが現実的かと。

(その時の記事はこちら → http://blog.goo.ne.jp/yamaikora/e/4e02a1eeb5e28ab9c7c907813ce8e9ef )

 以下、僕の妄想。

■理由1(妄想)
 スギ・ヒノキの価値とコナラ・ウバメガシの価値に差がない(というか逆転してる?)。

 ウバメガシの根拠は、先日(11/14-15)行われた林業経済学会2015年秋季大会において、「持続可能な備長炭原木生産に向けたウバメガシ育林の経済性評価」というタイトルで発表が行われました。

 結論的には、スギ・ヒノキ林よりもウバメガシ林の方が経済性が高いとなっています。

 (その内容については、学会HPの「要旨(統合)」または「要旨(A会場)」からご確認できます。

  学会HPはこちら→ http://www.jfes.org/kenkyukai/JFES_2015_Fall/2015_fall.html

 ※この要旨を見て、「ん?」と思う方がいるかと思いますが、気にせず、サラッと流してください。

 次に、コナラやクヌギ。

 林野庁の統計で発表されているシイタケ原木の単価と製材用のスギ・ヒノキ中丸太の単価を比較してみました。

 

 昭和45年から平成25年までの単価の変動が分かりやすいようグラフにしてみました。

 見比べると差がない・・・というか、コナラやクヌギの方が高くなってます。

 スギ・ヒノキの単価自体が相場制で、季節変動もあるし、比較対象も製材用の中丸太(直径14cm以上30cm未満)なので、一概には言えませんが・・・

 でも、スギ・ヒノキの伐期とコナラ・クヌギの伐期、再造林のコストを考えると、ウバメガシ林同様、経済性は後者の方が高いかなと・・・あっ、それは次の理由ですね。

■理由2(妄想)

 植栽から主伐までの1サイクルがコナラ・ウバメガシの方が圧倒的に短い。

 スギ・ヒノキの1サイクルを50年とした場合、コナラ・ウバメガシなら2〜3サイクルできるかな。

 加えて、萌芽更新が可能だから、伐採後の再造林が不要

 逆に、スギ・ヒノキは伐採したら植栽は必須

 この時点で植栽という投資費用の差が出る。



 

■理由3(妄想)

 需要と流通ルートができてるので、乗っかかりやすい。

 シイタケ原木は東日本大震災以降、安定供給が難しくなってます。

 営業先は生産者やJA、菌種メーカーかな。

 ただし、原木シイタケの生産者が減少しつつあるので、対応が遅れた分だけ損するかも…?

 何にせよ、供給できる体制を整え、信頼を得ないといけないので、早い者勝ち的なとこはある…?

 

 とまぁ、コナラ・ウバメガシを再造林の樹種として、選択する理由はこんな感じかと…

 簡単にまとめると…

 ①スギ・ヒノキとの価値に差が少ない(というか逆転してる?)。

 ②萌芽更新で再造林が不要。

 ③需要もある。特に備長炭はブランド品という強みがある。

 しかし、課題もあります。

●課題1(妄想)

 需要と供給のバランスがわかりにくい。
 市場というものがあまり存在しないので、問題点が浮き彫りになりにくいかな・・・。

●課題2(妄想)

 伐採と萌芽更新という循環かつ安定供給が可能な山になるまでに必要な施業とその期間、経費に関する情報が少ない。

 ましてやスギ・ヒノキの後に植栽となると…。

 

課題3(妄想)

 循環かつ安定供給が可能なな山づくりを目指すには伐採者の技術や意識が重要。

 次も、この山で伐らしてもらうなら、山主との信頼関係を築かないといけないと思う。

 

 ちなみに、この妄想の発端は、和歌山県に多い大規模山主が、スギ・ヒノキ以外で安定的な副収入を得る方法がないか…と考えていたとき、

 と、同時に、

 ナラ枯れ対策をどうしよう・・・と考えていたら・・・

 2つの悩みが出会い、回答がぴったりと寄り添え会えたからです。

 もう・・・3〜4年越しの妄想になるかな〜

 ウバメガシ林の循環施業を可能とする択伐技術を取り入れている炭焼きさんなら、年間で1〜1.5haのウバメガシ林が必要だそうです。

 ウバメガシ林の回帰年数を20年としたら、20〜30haのウバメガシ林があれば1人の炭焼きさんを一生雇えますので、毎年、炭焼きから収入が入ることになります。

 (2人なら収入が2倍、3人なら3倍!)

 しかも、立木売りなので、山主負担は0。

 得た利益でインフラ整備してもいいし、蓄えてもいいと思います。

 

 また、スギ・ヒノキとコナラ・ウバメガシは、生育環境を住み分け出来るので、スギ・ヒノキに適さない痩せ気味の土地にコナラ・ウバメガシを植えると言う手もアリかと思います。

 今のスギ・ヒノキの需要や価格を考えると、スギ・ヒノキだけの林業経営では、色々とリスクが高いと思うので、リスク分散と安定的な副収入を視野に入れ、コナラ・ウバメガシが再造林の対象樹種として十分に考えられる。

 そんな妄想です。

 最後までお付き合いいただいた方

 本当にありがとうございます

 m(_ _)m。