はぐくみ幸房@山いこら♪

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広葉樹資源を取り入れた林業経営

2016年01月25日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 これまで何度か妄想し続けてきた「広葉樹資源を取り入れた林業経営」について、一度、図を作成して、整理してみました

 ちなみに、「広葉樹資源を取り入れた」としていますが、用材ではなく、薪炭やキノコ原木など特用林産向けの広葉樹資源としています。

 今回も長文になりますし、あくまで、僕の妄想ですので、お時間があるときにお付き合いいただければと思います

 

 まず、インフラ整備が充実した環境は、植栽・育林・搬出・管理などあらゆる面で、コストを縮減できる要素を備えています。

 一方、インフラ整備が不十分な所は、コストの縮減が難しい・・・

 なので、インフラ整備が不十分なところは、手間のかからない森林管理・林業経営が無難かと思います。

 なので、これからの再造林は、萌芽更新が可能(再造林が不要)、早生樹、短伐期など手間がかかりにくい広葉樹を植栽するという選択肢を加えることも必要だと思います。

 もちろん、施業を進めながら、徐々に樹種転換する方法もアリやと思います。

 ここでの目的は、用材から薪炭やキノコ原木へ・・・とします。

 もちろん、用材より収入は小さくなるというデメリットもありますが、再造林が不要で、人工林よりも育林コストをかける必要がなく、短伐期(10~20年)というメリットもあります。

 あと、薪炭やキノコ原木なら、フォワーダやプロセッサなどが走行できる幅員の大きい作業道なども不要になるので、インフラ整備が不十分でも、軽トラが走行できるくらいの小さな作業道なら作ることができるかもしれない・・・という可能性もあります。

 

 そして、立木で購入してくれる方に直接、売り込む

 直売りは、搬出などの委託経費を縮減できますし、同時に出口も確保できます。

 

 ただし、立木購入者は、

  ・萌芽更新が可能になるよう適切な伐採を行うこと

  ・自身も所有者の林業経営の一部を担っていることを認識すること。

  ・次も購入できるように、循環的かつ安定的に収穫できる計画性をもつこと。

 という意識が不可欠です。

 これは、森林所有者と強固な信頼関係を築くために必要な要素だと思います。

 信頼関係があれば、

 「10年後もお願いね」、「あとこの場所もどう?」と安定的な資源の確保が約束されます。

 上手くいけば、同じ所有者の山を転々としながら、毎年や隔年ごとに資源を確保することも可能です

 資源を探しに、山を帆走する手間も、所有者を調べる手間も省くことが出来ます。

 

 一方、現在の森林所有者は、スギやヒノキなどの収入があっても、委託経費などを支出すると、あまり手元に残らず、山への投資も苦しい状況・・・

 

 ここに、広葉樹の立木売りという副収入源を作ることで、支出を抑えつつ、収入を得ることが可能に。

 そして、その収入を育林やインフラ整備などに投資。

 

 勿論、これは、机上の空論であり、図のようには上手くいかないのが現実です

 かなりの資源量が取引されないと、施業を賄える収入確保は難しいと思います。

 何より、実現するためには、人・山・流通・体制など色々な要因やハードルもあると思います。

 

 しかし、今のまま、コスト縮減を求められると、底が見えません

 5000円まで抑えたら、次は4500円、その次は4000円・・・

 そうなってくると、下刈りや除伐、つる切り、枝打ち、間伐といった育林施業を減らすことになり、結果、良い木材が生産できなくなります

 最終到達地点は、「支出は主伐の費用のみ」になりかねません。

 

 「良い木材を生産しても、それに見合う価格で売れない。だから、育林の手間を省く。」と反論されるかもしれません。

 でも、「見合う価格で良い木材を生産する方法を考える」ということを、放棄していいとは思えません。

 

 だから、コストをかけず、粗放状態でも収入源となりうる広葉樹資源を林業経営に取り入れるのも1つの手法。

 最近注目される「コウヨウザン」でもいいと思います。

 強度はスギ以上、再造林不要、早生樹という特性を生かし、B材を生産し、その収益で品質の良いA材を生み出す。

 B材やC材の需要に応える、満たしていくことも重要です。

 B材やC材は、A材のような高い品質を求めないという特性があります。

 その特性を生かし、とことんコストを縮減し、利益を上げ、それを元本にA材の品質を高める・・・という方法も考えられると思います。

 (ただし、B材やC材は外材との価格争いは否めません。キノコ原木や備長炭原木なら樹種も限定され、外材との価格競争も少ない。事実、キノコ原木の価格は、昔からあまり変動がないことが統計からも分かります。)

 

 「良い木材を生産する」ことを否定してはいけないし、諦めてはいけないと思います。

 「良い木材を生産する」ための方法を考え続けないといけないと思います。

 

 だって、こんなキレイな木材が無くなるなんて、絶対あってはならない

  

 キレイな木材を見ると、テンション上がります

 キレイな木材が生産できれば、モチベーション上がります

 

 「良い木材を生産する」1つの方法が「広葉樹資源を取り入れた林業経営」・・・という妄想でした

 ストレートにいうと、「粗放で儲かる林業」ですね。

 

 僕の妄想話に、最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました

 

※関連記事 

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 再造林における植栽樹種の選択