日本に3体しかないというニホンオオカミの剥製が、和歌山県立自然博物館に展示されてます。
ニホンオオカミは、1905年に奈良県東吉野村で捕獲されたオオカミを最後に確認されていないと言われています。
絶滅した理由は、「狂犬病」の感染源となるオオカミの捕獲が奨励されたこと、大規模な森林伐採や猟銃の普及によってエサとなる動物(シカなど)が減少したこと、さらに、洋犬の輸入により持ち込まれたジステンパーなどの伝染病が流行し、絶滅に至ったとされているそうです。
生態系の頂点に立っていたオオカミ。
でも、オオカミがいた頃から、すでにシカやイノシシによる農林産物の被害はありました。
日露戦争で毛皮の需要が高まり、シカが大量に捕獲され、シカ絶滅の危機を迎えたので、禁猟区や猟規制がかかり、シカの保護施策が始まり、今、個体数増加に至るわけです。
まぁ、この時にオオカミがいれば、ここまで増えなかった…と言えるかもしれませんが。
シカの天敵、オオカミを放つという話もありますが、昔(富里という地方で)、ウサギの被害がひどかった時に、キツネを放ったら、ニワトリへの被害が増えたという事例もあるので…僕は慎重派です。
生態学はあくまで学問です。
文献に基づく江戸時代の状況も現代の生活スタイルや森林利用も異なるので、そのまま当てはまるとはいい難いです。
しかし、オオカミが絶滅した背景を見ても、十分に現代人の不安要素になります。
これまで、人は森林資源に依存してきましたが、今は石油資源に依存しています。
これだけ森林資源が豊富な時代は、今までなかったのではないでしょうか。
また、森林に対するニーズも多様化し、森林を娯楽とする時代です
オオカミがいた時代と現代は、あまりにも違い過ぎる。
今、オオカミがいたら…どうなるのか…前代未聞
そして、天敵動物の導入は多々ありますが、成功例はほとんどないと思います
(沖縄県でもマングースの駆除に手を焼いているようですし・・・)
過去の過ちを失った動物の代替で正そうとするよりも、過去の過ちを繰り返さないよう、今、失う危機のある動物を絶やさないことの方が重要に思います。
まぁ、人それぞれ、考えと都合がありますが、個人的には、人の過ちで乱した生態系は、責任をもって人が関わる必要があるように思えます。
ちなみに、ニホンオオカミの剥製展示は、1月31日までです。って、もうすぐ、終わりですけどね