炭焼きさんの研修会に参加しました。
ので、数回に分けて、簡単にご報告を。
備長炭の原木と言えば、「ウバメガシ」ですが、「アラカシ」や「アカガシ」など他のカシ類も備長炭の原木として利用されています。
ザックリ言うと、昔、原木伐採が進んだため、原木資源の枯渇を危惧し、択伐施業という技術が進められました。
スギやヒノキの択伐とは少し異なります。
どちらかというと、抜き伐りというか間伐に似ているかもしれません。
これも簡単に説明すると、例えば、ウバメガシが5本株立ちしていたら、そのうち3本を伐って、2本を残すのが択伐施業。
残された上層木が、株に養分を与えるので、勢い良く萌芽します。
伐採で発生した枝条は、株元に積み上げます。
これは、株の乾燥と土壌の乾燥を防ぐ効果があり、これを「ドヤ」というそうです。
また、ツバキやネジキなども良質な炭ができるので、適宜、残します。
それだけでなく、成長の早いシイの侵入を防ぐ役目も。
皆伐の方が手間もかからず、効率的ですが、再生するスピードが違います。
択伐施業だと15年くらいで、早いところだと10年で再生するそうです。
ウバメガシの大径化が進むと萌芽更新が遅れたり、失敗するリスクも上がりますし、皆伐するとシカも集まりやすいので、食害という問題も発生します。
そうして、ウバメガシ林に戻らずシイ林になったりすることも・・・
もちろん、リセットすることも大切なので、皆伐を否定しているわけではありません。
林況によっては、皆伐の方が望ましい現場もあります。
しかし、ウバメガシなど原木資源の安定的な確保を可能とする択伐施業という技術は、備長炭の安定的な生産にも繋がるため、この技術は、次世代に、後世に残す・繋げていく必要があります。
原木資源が枯渇すると備長炭は作れません。
和歌山県にしか伝わっていないという択伐施業を主流に、他の地域と差別化を図ってほしいと思います。