通常、樹木は、光合成を効率良く行うため、光の当たる方向に枝葉を広げ、成長していきます。
一方で、強すぎる光は、樹木の成長にマイナスの影響を与えることがあります。
光合成を行う樹木にとって、「太陽の光」はとても大切なエネルギーです。
しかし、強すぎる太陽の光は、樹木にとって、決して、良いエネルギーとは言えません。
強い太陽の光を受けた葉は、そのエネルギーを使い切れず、余分なエネルギーとして貯まってしまいます。
そして、貯まった余分なエネルギーから活性酸素が作られ、葉緑体を分解し、結果、光合成能力を低下させてしまいます。
これを「光阻害」といいます。
この光阻害に対して、樹木は、強すぎる光の過剰なエネルギーを熱として放出(蒸散作用)したり、活性酸素を消去する抗酸化物質(スカベンジャー)を生産するなど、植物の種類によって異なりますが、光阻害を防御する仕組みを持っています。
ちなみに、光阻害の防御能力は、明るい環境で生育できる陽樹の方が、薄暗い環境で生育できる陰樹よりも高いです。
また、光阻害は、低温や乾燥など植物の生育に最適でない状況では促進されます。
一番わかりやすい例で言うと、冬になると葉が赤くなるスギ。
写真は、育成中のスギの苗木です。
常緑樹は、冬でも光合成を行うことが出来ます。
しかし、低温によって光合成能力が低下しているため、冬の強い光エネルギーを使い切れないので、強い光から葉緑体を守るため、アントシアンを生成し、このように葉が赤くなります。
スギなどの常緑樹は、葉を赤くすることで、強い光から葉緑体を守り、光阻害を防止しています。
冬になって、常緑樹の葉に、少しでも赤色っぽさを感じたら、「光阻害を防いでいるのかなー」と、思って、観察してみてください。
日陰の葉は緑色で、陽当たりの良い葉は赤色っぽくなっている常緑樹にも出会えると思います。
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