先週話題になった、
スーザン・ボイルの映像を、
あらためて見直してみた。
あの映像の爽快感は、
会場に満ちていた見下した空気が、
彼女が歌い出した途端に、
一気に反転するところだ。
そのためには、
歌い出すまでの、
冷ややかな空気は、
なるべく濃厚な方がいい。
そこの作り方がうまい。
審査員が冷笑しているのは、
そういう役どころだからだろうが、
「将来の夢?」と聞かれた彼女が「プロの歌手になるところです」
と答えた後にワンカット、客席の女性の顔がインサートされるが、
その露骨に「ありえない」といった表情が、
いい感じに効いている。
あれが日本の番組ならば、
そもそも観客はあそこまで露骨な表情しないだろうし、
たとえそんな観客がいたとしても、
ちょっと使いづらいと躊躇するところだろう。
しかし、会場を包んでいたあの見下した空気は、
彼女のパンチの効いた容姿と年齢だけが理由なのだろうか。
以前、聞いた話だが、
イギリスには今なお階級社会が現存し、
そのあたりをネタにしたコメディもある。
ここからは想像だが、
彼女の見た目は、ある階級の典型的な姿だったのではないか。
あるいは、彼女が住んでいる
「ウエストロージン州・ブラックバーン」
という土地も気になるところだ。
今度、イギリスやスコットランドの事情に詳しい知人に、
そのあたり聞いてみようと思う。