まるで合成のようだった

2010年11月03日 08時47分24秒 | 業界のかけら

ある俳優さんから聞いた話だ。

映画の撮影で、
橋の上から川に落ちるシーンがあった。

橋の高さは6、7メートル。
川の水は少ない。

本当に落ちたら当然ケガをするわけで、
ワイヤーで体を吊り、
着水着前に止めるかたちで撮影することになった。

それでも危険は危険。
それをスタントではなく本人でやることになった。

テイク1.
最初は1回きりの撮影で終わらせるという約束だった。
だが、ワイヤーを止める係がビビって早めに止めてしまい、
テイク1はNG。

俳優はこんな怖い思いはもう二度と嫌だとは思ったものの、
ちゃんと使える映像が撮れなかったのでは仕方ない。
しぶしぶテイク2の撮影にのぞみ、どうやらOKとなった。

完成試写でそのシーンを見た。
橋から落ちる姿をよく見せようとロングショットで撮影されていた。

それを観た俳優は軽いショックを受けた。
「まるで合成のように見えるじゃないか」

あんなの体を張って撮影したのに・・・。

あの苦労はなんだったんだ。
あれなら合成でもよかったんじゃないか。

そう悲しくなったという。