仕事上の必要があり、
十数年ぶりに『ノルウェイの森』を読み返している。
登場人物の一人である緑の家は街の小さなな本屋だが、
このくだりになると、
いつもある光景を思い出す。
僕も小山書店に行ったことがあるのだ。
大学時代の後輩の女の子に「小山」というコがいて、
そのコの家が街の本屋を営んでいた。
たしか中央線沿線のどこかだったと思うが、
一度だけ彼女の家に行ったことがある。
サークルのみんなで近くの遊園地に遊びに行った帰り道だ。
そういう機会は初めてで、
女の子たちがサンドイッチを作ってきてくれたが、
あるコの作ってきたサンドイッチの具がとても個性的で、
彼女のサンドイッチだけ誰もが素直においしいと言えず困ったのだが、
それはさておき、
そんな遊園地の帰りに小山書店に寄ったのだ。
突然押しかけた僕たちに梨を出してくれた。
おいしい梨だった。
今日一日を振り返って、
「誰のお弁当が一番おいしかったか」
そう誰かに尋ねられ、
「梨」
と答えて睨まれた記憶もある
。
あれ、ということは梨を食べたのは、
小山書店ではなく遊園地でだったか。
それとも両方で食べたのか。
そもそもあれは『ノルウェイの森』の前だったか後だったか。