映画鑑賞:『僕と妻の1778の物語』

2011年02月08日 01時05分49秒 | エンタメのかけら
自分の趣味とはまったく異なるこの映画を観たのは、
日本SFの第一世代に強い影響を受けてきたためである。
とりあえず観ておかねばと思ったのだ。

しかし正直なところ、
いたるところで困った気分になった。

一番困った気分になったのは、
主人公が妻のために一日一話書く動機が、
「笑うと免疫力が高まるから」という点だった。

眉村卓氏が一日一話を始めた動機ってそうだったっけ。

いずれにしても、
妻を笑わせるお話と最初に規定すると、
観客のお話に対する目線が上がる。

だが実際に書かれた作品を読めばわかるが、
眉村氏のお話はいわゆる「笑える」話ではない。
「ニヤリ」とする感じの話だし、
大半は奇妙な読後感を残すお話だ。

映画の中ではいくつかのお話が、
実際に映像化されているのだが、
「奇妙な読後感」というのは曲者で、
映像にするとなんとも困った空気を醸し出す。

さらに設定上、
それが「笑える」話ということになっているので、
読み終えた妻が笑うのだが、
それがますます困った気持ちにさせるのだ。

主人公=眉村卓氏ではないのだが、
観客はそうイメージするとはずだ。
となると、
あの映画に挿入されるお話を観て、
「眉村卓が書く小説は面白くないのではないか」
と誤解する観客が出てくるのではないか、
そう心配になった。

お話を出さずに済ます方法はなかったのだろうか。

それはさておき。

妻役の竹内結子は魅力的だった。
彼女の出演作をそう観ているわけではないが、
今回の彼女はとてもステキだったのだ。