美容室の引き継ぎ方

2011年02月28日 09時33分18秒 | アイデアのかけら

知り合いの紹介で、
近所の美容室に初めて行った。

住宅街の真ん中にひっそりとあるその店の存在は、
以前から気になっていた。

髪を切ってもらいながら話を聞くと、
店をオープンしたのは2年前だという。

しかしその前からも同じ場所に美容室はあった。

当時は違う人がオーナーだったそうだ。
今年で70歳になる女性が長年そこで美容室をやっていたが、
引退することになり店を手放したのだという。

ここまではよくある話だ。
だがちょっと変わっているのはその先だ。

「今でも週3回、先生は店に出てるんですよ」

元オーナーの女性が、
今度は従業員として店に出ているのだという。

長年、美容室をやっていれば、
彼女の客というのが何人もいる。
中高年の客たちにとって、
長年つきあってきた美容師を変えるというのは、
できることならしたくないことだろう。

そこで現オーナーの提案で、
客からの指名予約が入った時だけ、
店に出ることになったのだそうだ。
それがだいたい週3回。

この現オーナー、
3月から駅前に2店舗目を出すのだが、
そこも十数年やっていた美容室を居抜きで借りるという。
元オーナーは美容師を廃業するつもりだったが、
1店舗目の時と同じような提案をし、
客たちの勧めもあって、
引き続き週何回か店に出るようになるそうだ。

その店に通っていた常連たちにしてみれば、
なんともうれしい配慮だ。

経堂という街のサイズだからこそできる、
”やさしい”ビジネスモデルである。