バブル末期に、
ある会社に勤めていた女性から聞いた話だ。
入社1年目の夏、
同僚の女性とタイへの出張を命じられた。
業務の内容は、
「タイである品物を受け取り、
それを日本に持って帰ってくる」
それだけ。
なんでも非常に大切なものなので、
航空便は使えないから、ということだった。
いろいろと疑問が浮かんだものの、
ただでタイに行けるということで、
彼女は喜んで出張に出かけた。
タイで過ごした2日か3日は、
仕事というより観光だった。
かなりランクのいいホテルに泊まり、
ガイド付きで街を回った。
そして最終日に「大切な品」を預かった。
日本に帰国すると、
彼女はその「大切な品」を指定された場所へと届けた。
議員会館だった。
その「大切な品」が何かわからない。
20年近く前の、ちょっとあやしい話だ。