秋田の大曲に行ってきた。
『刈穂』という酒の酒蔵を見学するためである。
いろいろと興味深い話を聞いたり作業を見せてもらったが、
その中の一つに「蔵付きの酵母」による酒造りの話があった。
通常、日本酒を造る際は、
仕込みの段階で酵母を入れる。
しかしそれをしないのだ。
あくまで蔵の中にいる酵母が増えるのを待つのだ。
目に見えない連中が相手だ。
かなりの博打な気がする。
リスクを犯してまでそんな試みをするのは、
蔵本来の酒の味を求めてだという。
たしかに蔵が始まった明治初期には、
酵母を入れるなんてことはなかった。
酒が酵母によって作られているは知らなかったのだから。
こうして作る蔵付きの酵母で作った酒を「蔵の素顔」と言っていた。
わかる気がする。
それはいわば「すっぴんの酒」である。