初めて新聞を変えたのだった。
我が家はずっと読売新聞だった。
そこに深い意味はない。
親の代から読売新聞で、
子どもの頃から目にしてきたので、
他の新聞だと活字に違和感を感じてしまうため、
ひとり暮らしを始めてからも読売新聞を取り続けてきた。
それを変えてみた。
今の時代、
もう新聞などとらなくてもいいと思っている方も多いと思うが、
我が家の場合、
諸事情あってまだ新聞が必要なのだ。
なので、止めるのではなく、変えることにした。
そこでいつも新聞を届けてくれる販売店に、
6月いっぱいで読売新聞を取るのは止めたいと連絡をすると、
悲しそうな声でこう言われた。
「なにか落ち度でも」
別に販売店や配達の方に問題があったわけじゃない。
言葉を濁していると、
電話の相手は再び訊いてくる。
「では、どうしてまた?」
僕の本音としては、
「先日の原監督の件、記事が載る『週刊文春』が出るその日の朝刊に、
先回りするように原監督の弁明を、大きくスペースを割いて載せているのを見た時、
なんとも言えない違和感を感じ、
さらに毎週金曜日に首相官邸前で行われているデモについて、
各紙やテレビが取り上げるなか、
一切無視するその姿勢に、
この新聞では僕にとってはどうでもよいことばかりが報じられ、
僕が知りたいことは報じられない可能性が高い、
そう思ったから止めるんです」
と言いたいところだったが、
販売店の方もそんなことを言われても困ると思い、
あいまいに答えたまま電話を切った。
なんか後味悪い感じだったなあ。
そもそも新聞のあの販売店というビジネスモデルは、
今の時代にあわなくなってきているのだろう。
そして、読売からどこに変えたかというと・・・
朝日新聞にした。
別に上記の理由とはまったく関係ない。
7月から筒井康隆の新作長編『聖痕』の連載が始まるからである。