後ろ姿に悪口

2012年07月06日 15時22分35秒 | ホラーのかけら

電車の中で見かけた光景だ。

4人の女の子が仲良く話していた。
大学生か、それとも専門学校生か。
それぐらいの年齢だ。

途中の駅で、一人が降りた。
「バイバイ」と笑顔で手を振りながら。

そしてドアが閉まった途端、
残った3人が言い出す。

「あいつ、キモいんですけど」
「いつも、あーなんですけど」

ついさっきまで仲良さそうに話していたのに、
その場にいなくなった瞬間に、悪口の嵐だ。

かつて、「その場にいない人の悪口を言う集会」というコントを観たことがあるが、
現実で似たような場に居合わせると、とても笑えない。

怖い。
怖い。

彼女たちは、
自分も同じような目にあうとは想像しないのだろうか。
この場を去った途端、残った者たちに悪口を言われるかもしれないと。

いや、それぐらいはわかっているかもしれない。
しかし、わかっていてもここで同調しておかなければ、
余計、陰で何を言われるかわからない。
だから、口を揃えて悪口を言っているのではないか。

怖い。
怖い。

あの3人の中に、
駅で降りた子を嫌う首謀者のような者はいるのだろうか。
それとも自然発生的なものなのだろうか。

後者の方が怖い。

自分たちが結束するために、
嫌う対象を作るのだ。

なんとさびしい人間関係だろうか。

そうしてつながった関係でも「友だち」なのだろうか。