電車の中で見かけた光景だ。
4人の女の子が仲良く話していた。
大学生か、それとも専門学校生か。
それぐらいの年齢だ。
途中の駅で、一人が降りた。
「バイバイ」と笑顔で手を振りながら。
そしてドアが閉まった途端、
残った3人が言い出す。
「あいつ、キモいんですけど」
「いつも、あーなんですけど」
ついさっきまで仲良さそうに話していたのに、
その場にいなくなった瞬間に、悪口の嵐だ。
かつて、「その場にいない人の悪口を言う集会」というコントを観たことがあるが、
現実で似たような場に居合わせると、とても笑えない。
怖い。
怖い。
彼女たちは、
自分も同じような目にあうとは想像しないのだろうか。
この場を去った途端、残った者たちに悪口を言われるかもしれないと。
いや、それぐらいはわかっているかもしれない。
しかし、わかっていてもここで同調しておかなければ、
余計、陰で何を言われるかわからない。
だから、口を揃えて悪口を言っているのではないか。
怖い。
怖い。
あの3人の中に、
駅で降りた子を嫌う首謀者のような者はいるのだろうか。
それとも自然発生的なものなのだろうか。
後者の方が怖い。
自分たちが結束するために、
嫌う対象を作るのだ。
なんとさびしい人間関係だろうか。
そうしてつながった関係でも「友だち」なのだろうか。