宗教上の理由への対応

2015年03月11日 08時47分30秒 | アイデアのかけら

パリ滞在時、向こうに暮らす知人とビストロに行った。

彼女はイスラム教徒である。
そこで前菜は、彼女の食の禁忌に触れぬ卵料理を選んだ。

料理が出てきた時、彼女はちょっと困った顔をした。
皿を見ると、料理には細かく刻んだベーコンが使われていた。
これでは彼女は食べることができない。

どうするんだろうと思っていると、
店員を呼び止め、皿を指さし、何かを言っていた。
フランス語なので会話の内容はわからないが、
豚肉が入っているから宗教上の理由で食べることができない、
といったようなことだろう。

すると、店員は笑顔で何かを答え、皿を下げた。
そして、彼女は別の前菜を頼んだ。

後で聞いたところによると店員は、
「ありがとう。気がつかなくて」
と言っていたそうだ。
ありがとう、というのは、気がつかなかった点を教えてくれてありがとう、
という意味合いだろう。

もし同じことが日本の飲食店で起きたら、
店員はどんなふうに対応するんだろうと思った。

宗教上の理由で食べることのできない食材がある外国人が、
今後さらに日本にやって来るだろう。
メニューに食材のすべてを記しておくことは不可能だ。
もし、今回のように料理の主役ではないところに禁忌に触れる食材があったら。
それが食べられないと言われたら。
その時、どんなふうに対応するのだろうか。

僕たちが行ったのは、高級店でもなんでもない、庶民的なビストロだ。
それであの対応。
たぶん、そういうことはよくあることなのだろう。

日本の飲食店なら、どう対応するんだろうか。