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この手があったか!
本書を手にとった瞬間、まずそう思った。
ILC(国際リニアコライダー)日本誘致キックオフの集いに、
縁あって僕も出席した。
電子・陽電子衝突型加速器を使い、宇宙の誕生や素粒子の起源を探る。
こんなワクワクする話はなかなかない。
僕の仕事の範囲、つまりテレビやラジオでこのプロジェクトについて紹介する
ことは出来ないかと考えてはいたが、これがなんとも難しい。
そんな折、書店で見つけたのがこの本だ。
そうか!SFか!
SFにはいろいろな要素があるが、
その重要な要素の1つが、
「科学的な想像力を駆使して未来を描く」。
これはA・C・クラークの時代から今も変わらないと思う。
本書はそんなSFの力をフルに活かした一冊。
だが、どんなものにもいい点と悪い点がある。
企画意図を一番と反映しているのは野尻抱介氏の作品。
科学的に説得力のありそうな1つのIF(素材や技術)を核に、
未来像を展開していく作品の多い野尻氏は、この企画にぴったりだ。
ここ数年、作品を発表していないので、よくぞ書いてくれた。
一方、他のお二人は、想像力がややファンタジーに逸れてしまっている。
そこが残念。
僕の年齢としては、もう少し前の世代のSF作家、
たとえば、堀晃氏や谷甲州氏なんかにも参加して欲しかったなあ。