子どもの記念写真を手がけるフォトスタジオに、
ある親子がやって来た。
お父さんとお母さんと息子。
入園の記念の写真のようだった。
そのスタジオでは複数ポーズの写真を撮ることができる。
最初の1ポーズを撮り終えた後、お母さんから、
「次はウェディングの写真でお願いしたいんですけど」
そしてお母さんは少しだけ髪型と着ている服を変え、
お父さんと子どもは少しだけ服を飾った。
いろいろ想像してしまうが、事実はわからない。
気を利かせたカメラマンが、
「お二人だけで撮りますか」と提案した。
夫婦二人のウエディングフォト。
しばらく撮影した後、
今度は待っている子どもにシャッターを押させた。
その瞬間、二人は今までで最高の笑顔になった。
この写真は二人にとって特別な一枚になったはずだ。
最高の笑顔がそこにあるからだけではない。
その写真を観るたびに、
小さな手でシャッターを押す我が子を思い出すからだ。
どんな名カメラマンで撮ることのできない特別な一枚。