熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
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作品 文章 写真 販売品

榧盤

2018-02-13 20:35:51 | 文章
2月13日(火)、晴れ。

朝日新聞によると、先の棋王戦で使用中に盤に割れ(ヒビ)が入ったとのことです。
詳しい状況は分かりませんが、対局者はじめ現場に居合わせた関係者は、さぞかしびっくりなさったことかと思います。
そして、盤を提供された方の驚きと落胆は、それ以上ではないかと推察します。

ところで30年も前のことですが、榧にヒビが入る場面に出くわしました。
丁度、大阪のある盤屋さんの店に入ろうとしたときでした。
道路には、小さなトラックが駐まっていて、毛布か何かに包まれた大きな固まりが、荷台から下ろされようとした時でした。
3~4メートル離れていた小生の耳に「ビビビ、ビビ」という音が飛び込んできたのです。
それは、盤に加工する前のやや大きくカットされた榧材だッたのです。
乾燥途上の盤だったのかもしれませんが、割れるときは簡単に割れるのが榧盤なのですね。

乾燥が進みにくい中の方に比べ、表面付近が早く乾燥することで、これが割れにつながる。
それで、盤用にカットした榧材は、全体をボンドなどを厚く塗ったりして直接空気に触れないようにして、10年20年かけてゆっくりと乾燥させます。
盤に仕立てるのは、そのあと。
乾燥が不十分だったりすると、盤に仕立てる過程で割れが入ってしまうと言うわけです。

ところで、使用中の脚付きの盤が割れる原因は、乾燥が不十分だったと言うことも否定できませんが、そのほかにもいろいろ注意すべきことがあります。
1,エアコンの風を直接盤に当てない。
  長時間、風を当てておくと、盤の表面だけが乾燥収縮して割れにつながる。
2,発熱式ストーブは遠ざける。
  熱で表面付近が蓄熱膨張し、割れにつながる。
3,同様の理由で、ワット数が大きい白熱灯を長時間、当てることも良くない。
  直接の太陽光も同様。
4,盤の周囲に塗られている「蝋」は、取り去ってはいけない。
  分厚い「蝋」は、表面の乾燥防止のためのモノです。  
5,長時間使わないときは、盤覆いをかぶせる。
  特に冬場などは、部屋の空気自体が乾燥しているので、長時間の放置は良くない。








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