露草(ツユクサ),夏から秋,6月から10月にかけ,
花を咲かせるが,秋の季語になっている。
朝露の中に花開くところから,露草の名があるが,
その花も昼過ぎには閉じてしまう。
花のかたちがとてもユニーク,
なにか,ミッキーマウスの顔を想像する。
花びらは3枚,上部のマウスの耳と思える部分の2枚が
いつも見とれるほどの見事な青色である。
もう1枚は顔の鼻あたりなるのか,
青い花びらの下に小さく白色の花びらが見える(写真中)。
オシベは6本あり,上に短いのが3本,下に長いのが2本,
まん中にその中間ぐらいなのが1本と,分散しており,形も違う。
花粉の量も下の2本は多く,上3本は少ないのだそうだ。
これは多分,花に来る虫たちに高確率で花粉を運ばせるために
花粉の量も含め,戦略的な配置なのであろう。
露草の茎は節を持っており,
生息する環境により,横に広がり増えるもの,縦に伸びるものがある。
周囲に競合相手がないと判断すると横に広がり,
自分達の生息エリアをどんどん拡大する。
群生して露草が咲いていることがあるが,それがこのパターンになる(写真下)。
競合相手が多い場所に発芽すると,節を真っ直ぐにして,上に伸び,
他の草に覆われてしまわないように背を伸ばす。
そして,虫たちが訪れてくれるように,他の草より上に花をつける。
草の中,灌木の間にひょろ長く伸びている露草がこのパターンになる(写真上)。
また,茎の節は,人間などに突然刈り取られなどしたとき,
この節から根を出し新しく再生する重要な任務を担っている。
露草の他に蛍草,青花,藍花,月草,帽子草などたくさんの別名を持つ,
それは万葉の時代からずっと日本人に親しまれ,利用されてきた証しである。
そして,何千年も脈々と生き続け,今も大都会の高層ビルの下にも花開き,
その個体数が維持できているのは,
どんな環境下でも種を保存し,増やそうとする知恵と仕組みを持ち,
そして,雑草のたくましさを発揮してきた結果なのであろう。
それにしても見事な青色である。
露草の青は不変ぞ摩天楼