ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

商売の潮目を読む

2007年02月16日 06時44分32秒 | Weblog
価格が上がったり、下がったり、需給が締まったり、緩んだり。
石油製品はそのほとんどを輸入に頼ることから国際情勢も含めて、いろいろな要因で需給条件や市況がめまぐるしく変わります。

リテール業者の流通段階では、仕入先や消費者との関係が、売り手市場になったり買手市場になってみたり、まるでシーソーゲームのごとくそのスタンスも変わります。「流通の潮目」が毎年めまぐるしく変化しています。

灯油を例に取れば、玉が締まった昨シーズンと暖冬の今シーズンでは、仕入れも売りもビジネススタンスが大きく変わっているはずです。

最近では灯油は『業転流通』が急増しており、当然のことながら需給状況や市況は先行きを見ながら色々な条件で相場として敏感に反映されています。

相場商品ですから、毎年、底で買って、天井で売り抜け最高益を出す事が理想です。しかし、全ての商品市場のどんな相場の名人でも常に底で手当てして天井で売りぬく事ができる人は絶対に居ないはずなのです。

ところで最近、某PBマークの二世若手経営者の方から仕入れ調達手法に関してアドバイスを求められました。

まるで、評論家のような国際政治分析、石油商社マンか元売のような流通用語を駆使しまるで当方が教えを頂くような状況でしたが、販売量はさほどでもありませんでした。石油業界紙や掲示板などで当座の研究をしているのはよく判りました。

一方では、古い付き合いの某大手商社との面談で、最近場当たり的で目先の利益ばかりを追いかける若手の販売業者が多く、特に業転ではその場限りの取引が多く、経営者が代替わりした企業などでは昔とはだいぶ商売の風情も変わってきたと嘆いています。

確かに、かつての石油業界では収益の余裕もあったので、お互いの取引について思いやりがあったように感じています。私の親爺などは仕入先である元売担当者などとは親戚以上の付き合いをしていたように思います。田舎の当社へ元売県担が泊まって行ったことも珍しくありませんでした。その方は役員になっても退職してからも当時「ツバメ会」の会長であった親爺と親しく付き合っていた事を思い出します。古きよき時代でした。

節目となるポイントで適切なアドバイスや情報も頂戴できたことで、当時としてはだいぶお世話になりました。よい協調関係でした。

後になって考えると、石油ビジネスには大きな波動の節目と目先の相場があります。重要な事は潮目を読み人間関係を基調として、仕入先や顧客との協調を持つ事が必要だと感じています。

これからの石油業界では再びそんな商売が見直される時代になっているような気がしています。仕入先と苦しい事や悩みを互いに腹を割って相談できる協調関係を創る事で経営課題を打破できる事も多くなるはずです。

お客とはセルフで人間関係が薄くなりました。仕入れ先とは業転市況を睨んだ殺伐としたやり取りだけで取引を行うシビアでドライな経営者が勝ち組になることもありますが、お互いの立場を尊重しての人間関係の構築も必要だと思います。

今年は石油業界の「潮目」が変わる年になりそうです。
こんな年こそ人間臭い商売が見直される事になるはずです。

もう一度、買いも、売りも、しっかりと足元から見直す必要がありそうです。

自分が石油業界から離れてからよく判ります。

『親の意見と冷酒はすぐに効かぬが後で効く』 といったところでしょうか。