私的図書館

本好き人の365日

『川の名前』

2011-10-21 00:51:00 | 本と日常
川端裕人さんの、

*(キラキラ)*『川の名前』*(キラキラ)*(ハヤカワ文庫)

という本を読んでいて、「リバーネーム」という考え方を知りました。

ナチュラリストの岸由二さんという方が提唱されているそうなんですが、なんかいいなぁと思ってしまった。

リバーネームというのは「私の川」を決めて、自分のミドルネームとして使い、自然と個人を結びつけようというもの。
例えば、日本太郎だったら、日本・千曲川・太郎、みたいな感じ。

番地や年金番号や、会社の肩書きなんかじゃなくて、自分の生まれた土地、育った環境、生きてきた場所としての川の名前。

岸由二さんの提唱する内容とは違う理解のしかたをしているかも知れませんが、すごく心に響くものがありました。

日本ほど水に恵まれた土地はないとよくいわれますよね。きっと、ほとんどの人が身近に流れる川があると思います。
自分が育ち、あるいは生活し、自分という人格を作りあげてきた場所。
ウサギ追いしかの山~ではないけれど、太郎くんにとって千曲川は特別な川。
それはいつか故郷に帰るとか、そういう現実的なことではなくて、自分を自分たらしめている立ち位置を確かめる行為そのもの。

「足元を見よ」

川端裕人さんの『川の名前』という小説は、小学生の男の子たちが夏休みに多摩川の支流で”謎の生き物”を探す物語です。
現実世界ではアザラシの子供に「タマちゃん」などと名前を付けて、住民票まで発行するとか、バカなことをやっていますが(あくまで私の個人的な見解です)、小説の中でもマスコミや大人たちがこの”謎の生き物”に対してひと騒動起こします。
さあ、少年たちはどうするのか!?

私のリバーネームはやっぱり故郷の川になるのかな。
それとも学生時代をすごした都会のドブ川?
社会人になって、ちょっと大きな川の近くで暮らすようになってからの方が、年数としては一番長いか…

どちらにせよ、自分の中の「私の川」を探すことが、こんなに楽しいとは思いませんでした。
自分が根なし草じゃないって思えるのは幸せなことですね♪

川をさかのぼり、源流を探すように自分の心をたどってみる。

とても新鮮な読書体験でした。