十月になりましたね。
十月は神無月。出雲神社に全国の神様が集って、男女の縁結びを相談するそうです。
日本の国会よりも建設的だな(苦笑)
忘れないうちに先月読んだ本を記録しておこうと思います。
和合亮一 著
『詩の礫』(徳間書店)
椎名誠 著
『玉ねぎフライパン作戦』(角川文庫)
加藤庸二 著
『原色 日本島図鑑』(新星出版社)
福島県在住の詩人、和合亮一さんが震災後、ツイッターで書き続けた『詩の礫』。
リアルタイムで書かれたであろう言葉の迫力には鬼気迫るものがあります。放射能に対するやり場のない怒りを、目に見えない放射能への不安=幽霊、という言葉で表現していたのが印象的でした。
後半、何もできない自分への無力感からか自分との対話が始まります。
『原色 日本島図鑑』は日本にある島を美しい写真と共に紹介した本。
島に伝わる伝統行事や祭り、島の歴史や特徴なんかも書かれていて、400を越える島々のなんて魅力的なこと♪
この本を見ると、日本が海に囲まれた島国だってことが本当によくわかります。
こんなの見ると旅に出たくなっちゃうなぁ~
私の好きな場所
日当たりのいい縁側。
母親の干した布団の上でゴロゴロしていた子ども時代。
秋には稲刈りがあって、田んぼのぼたの草の上に家族がみんな座ってお昼ご飯を食べる。チクチクするけど草の感触は心地いい。
2階の窓から瓦屋根に出るのが好きだった。
一番上の部分に腰かけ、いつまでの青い空と白い雲を眺めていた。
親に見つかると怒られたけれど。
生垣の中に子どもだけが入れる空間があって、そこが自分たちの秘密基地だった。
昼間でも日が差さず、まるで影の国みたいに見えていた裏山の杉林。
その奥にはご先祖様のお墓があって、いつもひんやりとした空気がたちこめていた。
みんなで泳いだ学校近くの川。
夏の太陽に照らされた岩の表面は気持ちがよくて、疲れるとみんなで並んで甲羅干しをした。
子どもの頃は広く感じた神社の境内。
こっそりのぞいた小さなお社。
その中にあったのは小さな石だった。
誰もさわる勇気が出なかった。
大人になって免許を取って、車で遠くまで出かけた。
海を見に行ったり、山奥の温泉に入りに行ったり。
海外で見た景色も素晴らしかったけれど、いま思い出す私の好きな場所は故郷の景色ばかりだ。
遠足で登った山。
大きな蜘蛛がいて怖くて通れなかった近所の道。
休日に両親と一緒に逆上がりの特訓をした小学校の運動場。
近所の女の子と二人きりで待つのが照れくさかった田舎のバス停。
都会に出た時も帰って来た時も出迎えてくれた木造の駅舎。
そんなすべてが一日で消えてしまったらどんな気持ちがするだろう?
住み慣れた場所を、ただ遠くから眺めるだけで、立ち入ることもできなくなったらどう感じるだろう?
家も、川も、神社や小学校も、木造の駅舎や思い出のバス停も、すべてが目の前で押し流されてガレキの山に変わってしまったら、私の心はどうなってしまうのだろう?
放射能に汚染されましたって言われたら、その土地を捨てて別の町で暮らせるだろうか?
私たちは何を失ってしまったのだろう。
どんな時代でも、どんな場所でも、子供たちは生まれてくる。
そこで育つ彼らの目に映る景色が故郷だ。
ひとつでも多く、彼らの好きになれる場所を私たちはつくれるだろうか?
放射能を気にせずに外で遊べる、そんな大地に戻せるだろうか?
私の好きな場所はもう記憶のなかにしかない場所もあるけれど、いまでも思い出すと私の力になってくれる。
私の生きた場所だから。
だらか子供たちにも好きな場所をたくさんつくって欲しい。
これからの世界もどうか好きになって欲しい。
それがきっと生きる力になると思うから。
私の好きな場所は、私がいま生きているこの場所です。
2011.10.01.