昨日は佐渡裕さん、の指揮
辻井伸行さんのピアノ
BBCフィルハーモニックの日本ツアー2013のコンサートでした。
このツアーはただのコンサートツアーではないのです。
2011年。3.11震災で、後半5回のコンサート中止になった幻のツアーの完結のためのものです。
2011年私も3月9日このコンサートにいっています。
10日は松本で、11日は横浜の予定ベイブリッジの上で地震に遭遇、対向車のトラックが横転したのを目撃もして・・
残りの5公演は中止になり、BBCのメンバーは強制帰国命令が出てイギリスに帰りました。
その時のメンバーの気持ち、
未曾有の震災体験と共に、こういう時にこそ音楽が必要であり、何かすることができるのではないかと、
日本から逃げ出すうしろめたさを感じ
必ず再開をし、ツアーを完結するという強い気持ちを持ったそうです。
ですから、今回コンサートの最初に、その時のいきさつと、佐渡さんからのメッセージがあり、基金の呼びかけがありました。
3000円以上の寄付をすればサイン入りの当時のパンフがもらえると・・(モチ飛んでいって寄付を)
そしてコンサートを始める前にBBCのエルガ―のエニグマ変奏「ニムロッド」の演奏があること・・、拍手はいりませんと・・
「エニグマ変奏曲」より、ニムロッド/エドワード・エルガー
その曲は彼らからの日本の人々への誠実な友情を表す曲だったのです
パンフレットにあったマーティン・ウオルトンさんのこの言葉
「あのような体験をすれば、こころに傷を負ってしまうものです。
でもオーケストラのメンバーから感じるのは、地震に対する不安はあっても、
今度こそ最後までツアーをやり遂げたいという強い気持ちです。
我々は日本に戻り、日本のために心から演奏したいと思っているのです。」と・・
こんな雰囲気の中で始まったコンサート。
最初の2曲が終わり、目の見えない辻井さんが佐渡さんに誘導されて登場、
ピアノのまえに座ります。
辻井さんはピアノとイスの感覚を確かめています。
目が見えませんから鍵盤の位置を確かめるのはとっても大事なことなんですね。
以前と違って、今日はちょっと勝手が違うようです。
ピアノを両手で押しました。ピアノが動いた!!
瞬時にBBCの近くのコンサートマスターなど3~4人がかれの周りに駆け寄る感じで、
ピアノを固定したりしました。
観客からもどよめきが起きました。
そうそうこのコンサートマスターは、
以前辻井さんのアンコールのときに辻井さんが、前に出過ぎ、
舞台から落ちる危険性があるとと思ったのでしょうか、
駆け寄って支えるしぐさをなさったんです。
辻井さんの演奏、いつも佐渡さんがかれの演奏にはオーラがあるといわれましたが、聞いていて涙が出てきました。
私は感激家ではないです、むしろクールな方です。
その私が途中でクラっとめまいを覚えました。
それは息をするのを忘れたようです。
びっくりしました。
涙がわいて仕方がありませんでした。
でもそれは私だけでなく、後であちらこちらから鼻をすする音が聞こえてきました。
演奏されたチャイコフスキーのピアノコンチェルトは私の大好きな曲
リヒテルとバーンスタインのものが最高と思っていましたが、
辻井さんはそれを凌駕したと思います。
素人の私にも確実に2年前よりも進化しているのが感じられます。
ドボルザークの「新世界」
繊細で、調和のあるのあるうつくしい旋律
素晴らしかったです。
去年同じ曲をスロベニア交響楽団やベルリンフィルのものを聞いていますが、佐渡さんらしいまた全然違った美しい曲に仕上がっています。
これはやっぱり、去年佐渡さんが、、若い日本の楽団の指揮された同じ曲を聞きました。
もう全然違う!
いま探したのですが、私はそんな解釈あるのかと愚痴っていたのでブログにかかなかったようです。
ヤッパリその楽団の力量に合わせて、音楽を作り上げるのも指揮者の能力なんですね。
アンコールも終わり出口に出てきて驚いた!!
佐渡さんが募金箱を抱え、フアンと握手をしている。
それをまつ長蛇の列ができていた。
そうか~最初の新潟のコンサートで八十万円の寄付が集まり!
それは、普通の寄付ではすごい金額だとか。。
コンサートで言うと毎日額が増えていったのは、彼のこういう行為の結果なんだ。
名古屋もほかの都市以上に、寄付しようという気持ちがあふれていましたよ
皆さん握手をしながら、一言づつ佐渡さんと言葉をかわしている
そのしぐさがいかにも朴訥な佐渡さんの人柄を表していた・・
私も握手をしてきました。繊細な柔らかい手でそっと握っておられました。
佐渡さんの心の中でも、2年越しのこのツアーはあと2回、最後札幌ツアーまで完結しないんですね。
佐渡さんが震災後、音楽家は暖かい毛布もご飯も届けられない、無力だと嘆かれたそうです
でも意気込みが伝わってくる演奏でした。。。
素敵な宵でした。
読んでくださってありがとう