6年前に信州へ移住し、勤務した赤十字病院で何気なく骨密度の検査を受けた。
この検査は簡易法で集団検査で何度か経験し、問題なく気にもかけていなかった。
ところが正式な骨密度の検査を放射線科で受け、結果的に思いがけない骨粗鬆症の診断を受け治療
を始めた。
ショックだった。
急に老けた気持ちになった。
腰椎と股関節の密度が60%台になると治療になる。
体力には自信があったのに、長い通勤は地下鉄だし、勤務はビルの中で終始蛍光灯の下だし
食生活も多分貧困で小食で、と色々思い当たる。
それから服薬を続け定期的にレントゲンで骨密度の検査を受け効果を確かめてきた。
食生活も反省し、休日は太陽に当たるよう心がけてきた。
しかしこの5年間、余り効果が出ずに腰椎67%、股関節80%の値が特に腰椎の60%台がなかなか上昇しない。
薬の種類を変えてみたがあまり反応しない。
転ばないで下さいと通院のたびに注意され、このたび退職した。
主治医も変わり、服薬の種類も変わり、半年経って先週1年ぶりにレントゲン検査を受けた。
あら、びっくり。
腰椎の骨密度が67%から73%に上昇し、股関節も83%になっている。
自分の年齢ではまあまあかというところで薬の効果か、はたまた薪割りか、伊那に引っ越して
飛躍的に増えた犬の散歩か、お日様に当たるようになったのも良いようだ。主治医は
まあそれらの要素全部でしょうという。
働いていた時を退いてから回復するというのも何か悲しいものがある。
人間、褒められると嬉しい。加齢は年々進行するから良いほうに後戻りはあり得ない。
外見はいかにも若いと言われるが実は私、骨が弱いのですと余り言う場面がない。
勤務していた頃、健康診断の事後指導では年配の女性には積極的に骨密度の検査を勧め、
勧めた人が意外に多く骨粗鬆症の診断を受ける結果になることが多く、
長寿県信州の隘路を嘆いていたものだ。
長く生きれば生きるほど骨がもろければ生活が明るく出来なくなる。
がんや動脈硬化も、認知症も、緑内障や白内障、歯の温存、上げれば限がないが
健康な老人として老いていくには課題が多すぎるし、それは若い頃からの延長線上にあるのだ。
気づいてからは遅いというのを年齢が60歳を越える頃から急に感じ出した。