Il film del sogno

現実逃避の夢日記

漂流列車

2010-11-26 02:57:00 | 日記
11/25(木)曇り夜一時雨
朝のラッシュ時でも反対のホームは人もまばらである。都心での約束の時間までには3時間もある。埼玉の外れまで伸びる私鉄に連結している地下鉄の最後尾の車両の七人掛けの座席の端で小さく蹲って緩やかに時計の針が進むのを待つ。深い地底のホームから幾重にも連なるエレベーターと迷路のような通路を上がって地上へ出れば眼前にはホテルやオフィスビルが疎らに林立する小高い丘だった。こんなところに幼稚園がある。但し子供の姿はなく主のいないブランコが所在なげに揺れている。双生児かと見紛う外資系企業の受付嬢に来意を告げると沼の底に棲む爬虫類のような担当者が現れてすぐに消えた。確かに彼とは地階のカフェでインクを薄めたような不味いコーヒー飲んだことがあったはずだ。昔と変わらぬ商店街を抜けると違う路線の駅の表示。何色も違ったドーナツ状のシンボルマークが書かれた表示の通りに進むと今度は降りればすぐにホームが現れて走り出した途端に縁日のヨーヨーのような模様の列車は地上へ出た。仲見世通りを抜けると以前入ったシナ料理店があり前回と同じ角煮と青菜の丼を頼む。樟脳の香りのする杏仁豆腐を食べ終えて午後は桟橋の上に建つ駅舎からオレンジ色の急行列車が間断なく通り過ぎたり止まったりするのを漫然とやり過ごす。止まってもドアが開かない車両もあり立ち尽くすその影を誰もが踏んで四散する。列車に乗っても座席に座るな。座れば必ず睡魔が襲ってくる。わが耳目を疑うがいい。乾いた唇を舐めて必死に吊革に捕まっていると窓外の景色が映画のコマのように移動して何時しか褪色した生まれ故郷に似た街並のなかから突然現れた終着駅の誰も迎えに来ることはないであろう改札で二度と会えない肉親を待つ夢からようやく目覚めた。
コメント
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