他業種で有りながら、強大な権力を持っている。
その権力者の秘密の暴露や 告発には大きな障害が立ちはだかる。
障害をクリアして行く 困難な中での活躍。
立ち向かうは、ハリウッドの頂点に君臨した映画プロデューサー。
彼の性暴力に関する事実の裏付けには、被害者を縛る秘密保持契約や敏腕弁護士といった障害が。
そして、記事を出す過程で記者のみ ならず編集部が一丸となる。
加えて、沈黙を破って取材に協力した被害者たちの勇気を讃えるという視点。
映画プロデューサーの誘いを拒んだことでキャリアを妨害された「本人の出演/HerSelf」は強力。
被害者のエピソードで有る小さな声は 権力による圧力の間から発せられ 最後には大きな束となり 社会を動かす うねりとなった。
今年度アカデミー賞にノミネートされないのは やはり まだ 目には見えない圧力が存在するのだろうか?
① 家族の亀裂。
③「ゴールデンラズベリー賞」
④グレイマン=目立たない男。
⑤クモの巣が幾重にも重なりあったような、LA警察の相関図。
⑥「流浪の月」
「美しいが実体のない虚しいもの」
その余韻をも、かみしめる事が出来た。
水面に映る月は、存在しているようで、実体をなさない。人間社会に現存しているが、厭世感のある主人公二人。
痛みや苦しみに耐えてきた人に訪れる救い。しかしその救いすら、一つ間違えば奈落の底へと落ちそうな気配。
世間の枠からはみ出さざるを得なかったとしても、偏見や抑圧から解放される一瞬を繊細に掬い取っている。
自分の考えだけを正義とする人。
刺青とまで言われている、消し去ることがほぼ困難なSNS社会。
まだまだ知られていない、精神的、肉体的、偏見や差別。
二人にしか分からない、愛をも超えた結びつき。
断絶と抑圧を体内に染み込ませた孤独なふたり。
魅せられた、二人の真意に寄り添う、そんな気持ちにさせられた。
⑦高速列車を舞台に、乗り合わせた殺し屋たちの任務と因縁が交錯する。いつも事件に巻き込まれる、運の悪い殺し屋てんとう虫は簡単な仕事を請け負ったハズだった。しかし、なぜか9人の殺し屋たちに命を狙われ、すぐに終わるはずだった仕事は困難を極める。伊坂作品は、伏線や仕掛けが張りめぐらされ、終盤で回収されていく構成にある。映画では10人の殺し屋たちを小気味良く絡めとっていく。本作での殺し屋や泥棒やギャング、ならず者が数多く登場するが、誰もがそれぞれの人生哲学を貫き、個々の在り方が尊重されている。レモン、オレンジ、てんとう虫、王子、長老、白い死神、狼、蜂、それぞれの殺し屋たちのキャラクターが生き生きと立ち上がっている。そのカラーを衣装や音楽でも表現したことで、殺し屋たちの人間ドラマは、より深みを増している。そして物語の中には「制限」がある。その中で各々が如何に対処するか?それもまた面白くしている。全く持ってふざけた映画だ。でもそのバカらしさ、なぜか9人の殺し屋たちに命を狙われ、すぐに終わるはずだった仕事は困難を極めるのか?それを楽しんでもらいたい。
⑧信頼があった。もしくは少しの愛も有ったかも知れない。疑いが確信に変わる時、幸せも恐怖に変わるかもしれない。恐怖を拭うためには、恐れを抱きながらも嘘をつく。それは配偶者を守ったり、自分を守るためでもある。それも殺人に関わっていたら、何もかもが見事に崩れ去る。
⑨米国史に埋もれていた実際のクーデター事件を、独自の解釈で映像化した。
第一次大戦下の仏戦線。3人は出会った時からウマが合い、除隊後はアムステルダムで共同生活を送り「生涯お互いを守り合う」という誓いを立て固い友情に結ばれていた。時は流れ1933年のNY。軍部絡みの殺人事件に巻き込まれてしまい、容疑を晴らすため資産家や、戦争の英雄将軍に接近する。だが、それは巨大な陰謀の入口に過ぎなかった。
第一次大戦で軍最高位の名誉勲章を2度も授与された伝説的軍人。沖縄にあるキャンプ・バトラーはその名に因むが、退役後は、少数の軍事企業家に莫大な富が集中する矛盾を指摘した著書「戦争はペテンだ」を出版、理論派の反戦活動家に転身した。その後貧困に苦しむ復員兵を支援、それがルーズベルトの大統領選勝利を呼び込み、貧困層救済の景気対策ニューディール政策へとつながっていく。実在した人物や事件を随所に絡ませ、豪華キャスト勢揃いの娯楽サスペンスに落とし込んだ。前述の少将はもちろん、謎めいた反ユダヤ主義資産家、薬物中毒の刑事や怪しいMI6の諜報員、反ルーズベルトの元軍人など、くせ者キャラたちが奇妙な現実感を伴って映画は大きく動きだす。
いわゆる敗者に光を当ててきた。米国が次の大戦に参戦したことは周知の事実。だが、それを阻止するために、本作の主人公トリオのような名もない敗者たちが、人知れず戦ってきた物語も実在する。その真実に熱い思いを抱かずにはいられない。
⑩「欲」
⑪対人の関係毎に自らを分けた人格。「分人主義」