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知る喜びと、撮る喜びのつぶやき通信  (読める限り読み文章にする。 歩ける限り撮り続ける『花鳥風月から犬猫太陽』まで)

興味のあることは、何でも調べて文章にする。   写真は「光と影」と言われるが、この理解には、まだまだ、ほど遠い.

『カタカナ語急増、日経新聞文化欄に「日本語で言え」、全く同感!』 ―日本語は、表音と表意を混ぜて使う、世界でも稀な言語だが、心配だ― 

2021-02-04 11:14:32 | 読書・文学・文字・漢字

『カタカナ語急増、日経新聞文化欄に「日本語で言え」、全く同感!』

 ―日本語は、表音と表意を混ぜて使う、世界でも稀な言語だが、心配だ― 

こんな時期ですので読んでみたい本です。

ウエブ情報から引用

 本日(202021010)付け日経新聞文化欄に、作家町田康氏の記事『日本語で言え』が載っていました。 まったく同感ですので、抜粋引用させて頂きます。 

 

 『最近、日常の中に、いわゆるカタカナ語というのが急に増え、また、標語や宣伝文句などにも英語が使われることが多くなって、そのことに違和感を覚えている。 というのは、でもけっこう前からあって、それがこの5年くらいで急に増えたように感じるのである。 

 だからもう今は違和感というよりも、もうちょっとはっきりした、「英語で言うな、ぼけっ」みたいなものに変わってきている。』

 

 ここで一言、こんな状況をどうしたら改善できるか。 日本という国は、複合要因・原因で短期間に変わってきています。 抜粋引用を続けます。

 

 『なぜそう思うかと言うと、自分は英語を知らないからで、『俺に分からんことを言うな。 もっと解りやすく言え」という自分の無知を棚に上げての暴言で、それを防止するには自分が学んで、英語で言われても即座に理解できるようなかしこになるべきなのだが、一寸虫にも五分の魂、ちょっとの言い分これはある。 

 

 どういうことかと言うと、英語(又はその他の外国語)で言うその理由に合点のいかない部分、不審の点があるということで、ではその理由は、

 

❶その英語の言葉に相当する日本語がなく、それを無理に日本語にすると、元の意味とは別の意味になってしまう。

❷英語で言った方が、格好がいい感じがするから。

❸母語で言うと、その意味が明らか過ぎて精神的につらいから。

❹英語で言うと意味がぼやけてあまり内実がないことをごまかすことが出来るから。

 

 ❶については、マア仕方ないと思うが、それ以外のものは、軽薄というか、実がないというか、不真面目というか、精神的に怠惰というか、全体的にクズというか、・・・、言うまでもなくそんな愚劣な気持ちになるのは自分が未熟な人間であるからで、そこは反省しなければならないのだが、しかしそれを割り引いても、言葉が人の精神や行動に及ぼす影響はあるだろうし、自分には難しいことは分からないが、社会全体も悪い方向に向かってしまうのではないだろうか。』

 

 ここで、また一言、こんな状況をどうしたら改善できるか。 逼塞感いっぱいの日本という国は、複合要因・原因の排除は、簡単に短期間では、短期間に改善は、難しいようです。 抜粋引用を続けます。

 

 『やはり、SNSとかでこのことを発信して警鐘か何かを鳴らした方がよいではないだろうか、と怒りを通り越して不安な気持ちになってきたので、お世話になっている鹿児島出身の先輩に相談したところ、「お前のような虫同然の人間が社会のことについて心配することはない。 そんなことより生業をまじめにやりなさい。箪笥っ―」と仰ってくださった。 箪笥っ―、というのは、本当は、チェスト―、と言いたかったところ、外国語に悩む私を気遣ってこんな風に仰ってくださった。 優しい人である。』

 

途中は、省略させて頂いて、更に、少し考えてしまった部分の引用です。

 

 『しかし、ここにひとつ困難があるというのは、若い頃やって、一時中断、最近になってまた始めたバンド関連の用語で、自分の場合、その殆どが英語、 というか、バンドというのが英語でいちいち楽団・楽隊などと言い直さなければならず、それ以外にライブのことを実演と言ったり書いたり・・・、その言い換えのために才能の9割も使ってしまっている。 ・・・という話をお世話になっている大阪の先輩に話したところ、「けど言うたら漢字も外国ちゃうけ」と言われ反論しようと思ったができず、それ以降は楽団もあまりせず、家に籠って梵語を見つめたり、5日連続でカレーを食べたりしてライフをエンジョイした。』

 

 この方の、このエッセイ読ませていただいて、日本語の漢字・表意文字と、平仮名片仮名・表音文字と、ローマ字の表音文字を混ぜて使えることの便利さと、副作用の大変さをつくづくと思い知りました。 

 

 これから整理するために、先般の自分のブログ『言語・言葉」の進化・進歩が加速されている』―大袈裟ですが、タブレットなしでは新聞がスムースによめない― を次に貼り付けました。 

 

いままで、ずっと納得がいっていました。 日本語は、表意文字の『漢字』と表音文字の『ひらがな・カタカナ』の組み合わせで、効率よく意志の伝達や勉強・読書ができると。

 

本日(20200925)の日経新聞の全面広告に載っていました『TCFDサミット2020』このTCFDの正式英語名称が『Task Force on Climate-related Financial Disclosures』が全面広告内に載っておりませんでした。

 

 そこでタブレットで調べると『「TCFD」という言葉、ご存知ですか?要チェックですよ。 TCFDを初めて聞く方も少なくないと思いますが、最近かなり注目されています。 最近は、英語の頭文字を取った言葉が本当に多いですが、元の単語を知ったうえで意味を覚えたほうが楽だと思います。 ということで、TCFDの英語の正式名称ですが、「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」です。 かえって分かりにくくなったように感じるかもしれませんが、ビジネス用語となったカタカナ語がほとんどです。』とありました。

 

 更に、別の全面広告欄にありました。 6社の全面タイアップ広告(日本語では連携・協力広告?日本語は難しい。)この全広告の3分の1ページを占めたのが『いまさら聞けない ニューノーマル時代の新用語集 新しい働き方や生活様式が生まれる中で普及した言葉が数多くあります。 ここでは、その中でもビジネスシーンで頻出する用語を集めました。 商談やミーティングなどのとっさの時に困らないよう、お役立てください』と。

 

❶インフォデミック

❷オンライン飲み会

❸エッセンシャルワーカー

❹サイドプレイス

❺オフピーク出勤

❻シェアオフィス

❼オーバーシュート

❽ジョブ型人事制度

❾巣ごもり消費

❿地域居住

⓫ソーシャルディタンス12ポストコロナ

⓬ポストコロナ

⓭デジタルトランスフォーマーション(DX)

⓮ローテーション勤務

⓯テレカン

⓰ワーケーション

 

 本日の新聞にはまだまだありました『エンティティ―リスト』『リモートキャリア』『グリーンインフラ』『ブルーカーボン』『エンタープライズブロックチェーン』『ビットコインコミュニテイー』『カストディエコシステム』『ブロックチェーン技術』『デジタルアイデンティの社会実装』等々。

 

 いよいよ、とりあえず『自分専用』のカタカナ英語、及び、難しい語彙・用語事典が必要かと思い始まました。 昔、アフターサービスの世界にはユニークで判りにくい語彙・用語があったので、語彙・用語解説集を作ったことを思い出しました。 今はオタクっぽい分野でなくても、座右の語彙・用語解説集が必要と思えるほど(タブレット・スマホでも十分カバー可能)、日本語の進歩・進化・複雑化が進んでいます。

 

この件、もう少し勉強して整理します。

                      (20201011纏め #235)

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『失礼ですが、下戸の気持ちが少し分かりました』 ―澤田瞳子さんのエッセイから・著書「若冲」も読ませて頂きます

2021-02-04 10:38:07 | 読書・文学・文字・漢字

               『失礼ですが、下戸の気持ちが少し分かりました』

    ―澤田瞳子さんのエッセイから・著書「若冲」も読ませて頂きます-

 

ウエブ情報から引用

 本日(20200927付け)日経新聞のThe STYLEに載っていた澤田瞳子さんのエッセイ『友と旅する醍醐味』からの抜粋引用です。

 

『下戸の私はしばしば、旅先での夕食に悩む。 一人旅の場合は、地元の特産品を食べられそうな居酒屋を見つけたとて、ウーロン茶しか飲めない身では迷惑かと躊躇するのだ。(大酒飲みにはなかなか理解できない感覚です。)結果、間違いなく魚が美味しいであろう街に泊まりながら、ファーストフードで食事を済ませることも珍しくはない。 

 

(昔、ロンドン郊外のB&BBed & Breakfast)に、日曜日の晩1900時頃にチェックインしたことがあります。 当然夕食にはありつけず『ファーストフード』の持ち帰りを買ってきて、『ビール党に頼みのビールもなく』、やむなく、ナイトキャップのために免税店で買ってあった、ブランデーの『コーク(コーラ)割』をやってみました。 

フランス人にばれたら大目玉を食らいそうですが、困ったときの神頼みでした。 結構いけまましたので、その後は、ナイトキャップ用のブランデーが、『コーク(コーラ)割』になりました。)

 

 『自らの体質のせいで食事の機会が狭められているのは何とも寂しい。 だからたまに酒の飲める友人と旅行すると『どこにでも入れる!』と感動してしまう。』 

『一人旅は無論、楽しい。 しかしその一方で、人間が己のみで獲得できる情報量はどうしても限られる。 年を重ね、自らの嗜好がはっきりと定まってしまった今だからこそ、他人と行動を共にすることで、それまで知らなかった世界に踏み入ることができる。』 

 『極言すれば同じ場所を訪れたとて、その時、一緒にいる仲間次第で、得られる感動は幾通りにも変化するはず。 ならば人生において、旅に飽きる日は決して来ないわけだと思うと、ますます次の旅が楽しみになってくるのである。』

 

 コロナ禍の中、このエッセイで述べられていること『集まって飲む・語る』が、なかなか思うようにできません、 大変な『試練』と大きな『CHANGE』の時期です。平凡なことですが『三密回避』『手洗い』『マスク着用』を徹底して『ワクチン』の早期開発を待ちましょう。 

            (20200927纏め、20210204追補、#229)

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『華麗なる一族』なければ『大地の子』は生まれず 1』―開明的政治家、胡耀邦が居らなければ、「大地の子「」は生まれなかったー

2021-01-31 17:00:59 | 読書・文学・文字・漢字

    『華麗なる一族』なければ『大地の子』は生まれず 1』

―開明的政治家、胡耀邦が居らなければ、「大地の子「」は生まれなかったー
 

 表題を『開明的政治家、胡耀邦が居らなければ、大地の子は生まれなかった』と言い換えたい心境です。

 余生の読書計画の『本と著者選び』を、勝手気ままに、時々更新しています。 自分の選んだ一人が山崎豊子氏です。
 
 今回、山崎氏の一冊の本からのヒントを得て、これからは、著者の取材状況も『勉強しながら』本選びをしたいと思います。 小説が『これほど凄いもの』ということ、今回知りました。 ノンフィクションに偏っていた自分に反省の機会を与えてくれました。

 山崎氏は著名な大学の医学部という聖域を暴いた『白い巨塔』を書きました。 大作を執筆中のヤマ場を越えると、『次の聖域』は何、と進めるそうです。

 『華麗なる一族』中国語版浮華世家(一見華やか、精神的に貧しい世襲家族)で金融界を描きました。 初版で10万部、その後再版のベストセラー、これが中国へのパスポートになった。 この映画版は中国で五千万人が観賞したそうです。 この反面教材は、後の首相李鵬さんも『反面教材に使いたいくらいだといわれたそうです。

 この後に、「不毛地帯」では商社を、『二つの祖国』では戦争を、『大地の子』で戦争孤児を描きました。 『不毛地帯』は1973年から1978年まで『サンデー毎日』に連載された。 連載は、およそ5年ですが『取材が命』言われる山崎氏のこと、取材にはかなりの歳月をかけられたと想像ができます。 因みに、司馬遼太郎氏の『坂の上の雲』が構想期間5年半、連載4年半を含めると、約10年を費やした作品です。

 一方『大地の子』ですが、取材開始から連載開始まで約3年、連載約4年、約7年を費やした作品です。 著者は取材期間中、中国の未開放区の農村でホームステイもしています。 残留孤児の育った環境の悲惨さに泣きながらの取材の日々だったそうです。

 この作家、作品が書き終える度に、その開放感から『完結!万歳!出獄だ(執筆室から)!』といったそうですが、『大地の子』を書き終えた時だけは、喜びが込み上げてこなかったそうです。 こんなことがあるのに驚きました。 
比較できる例ではありませんが、自分も何回試みても、最後まで見切れない映画に『火垂るの墓』があります。 あまりにも悲惨で可哀そうすぎるからです。
さて胡耀邦との出会いがなければ、取材はできず『大地の子』は世に出なかった。 まさに『事実は小説より奇なり』です。 これが『華麗なる一族』の引き合わせでした。 

さて、山崎豊子氏の名言・キーワードです。 

 『小説はスローガンではありません。 私は日中友好のために小説を書くと報道されていますが、それを前提にしては書けない。 結果的に日中友好のためになればと思っています』これに対して胡耀邦氏『中国を美しく書いてくれなくても良い。 中国の欠点も暗い影も書いても結構。それが真実であるならば』、後に失脚する改革派だから言えたのでしょうか。

 『連載小説は、第一回から第三回で勝負つく』という持論で第一回に使ったタイトルが文化大革命に変えて『小日本鬼子(シャオリ―ペンクイツ)』でした。
昔、香港で見た広東映画では、いつも字幕で見ていたのは『日本鬼子』の文字でした。

 井上靖氏曰く『川端康成さんのような特別な人を除けば、作家同士そんなに極端な差はない。 だとすれば、大切なのはテーマだ。 山崎豊子さんの小説はいつもテーマだけで50点をとっている』と。
その所為か、昨今の若手作家の小説のタイトルの難しいこと。

 作家深田裕介氏の質問、『不毛地帯の主人公のモデルは、関東軍がソ連軍の追撃を阻むため橋・道路を破壊し、開拓団を放棄した。 関東軍の参謀の一人、瀬島隆三氏ですか』と、山崎氏のアンサーは『軍人でソ連に抑留されて帰ってきて商社に入ったという履歴を頂いた』と。 

 小説のモデルのことも、又難しい課題です。
五木寛之氏と塩野七生氏が対談で言っていました。 書いたもので残ってない歴史上の人物の『心の中は、自由に書かせてもらう』と。  昔の人の心の中の真実追及の『術』あるのでしょうか?
           (20181104纏め、20190208改、20200420改 #157)

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『地球上で一番難しい言語・日本語(表意文字と表音文字の混合)1』 ―表意文字の漢字と、表音文字の平仮名+片仮名+ローマ字―

2020-12-30 17:50:37 | 読書・文学・文字・漢字

『地球上で一番難しい言語・日本語(表意文字と表音文字の混合)1』

『表意文字の漢字と、表音文字の平仮名+片仮名+ローマ字+略語

『新聞読むのに苦労する、「カタカナ英語」と「英語略語」の氾濫

 

IT後進国・縦割り行政組織の中で、カタカナ語・カタカナ英語が大氾濫している現状で、今一番気になっていることがあります。 

 

約50億人が使う表意文字のラテン文字(ローマ文字、ローマ字「伊:alfabeto Romano、英: Roman alphabet)、約15億人が表意文字の漢字を使う、その内の約1億人の日本人は、その両方、表意文字と表音文字混合を使う。 それもIT/デジタル化を難しくする『表意文字の漢字と、表音文字の、平仮名 ∔ 片仮名 ∔ ローマ字』を混合した日本語を使ってきたし、今まで紆余曲折はありましたが、今後も、この豊かな言語を使っていくでしょう。

 

❷現在の漢字文化圏は、日本・北朝鮮・中国・台湾です。 韓国・ベトナム・タイ・インドネシア・マレーシア等の漢字文化圏の国々が漢字表記を、ある時期から廃止した。

 

漢字文化圏

 ウキペデイアから引用

韓国;1970年から始まった漢字廃止政策

 

ベトナム;義務教育における漢文教育は、北ベトナムは1950年の暫定教育改革により廃止、南ベトナムは1975年のサイゴン陥落により漢字廃止

 

タイ;廃止時期不詳、中国語(主に潮州語などの南方方言)の影響、今でも子供が生まれると寺で漢字の名前を付けて、タイ語に変換

 

インドネシア;廃止時期不詳

 

マレーシア;廃止時期不詳

 

 

先ずはウキペデイアからの抜粋・引用です

漢字が生まれたのは、今から3300年前(約紀元前1300年)の中国、「殷王によって発明された甲骨文字です。 その漢字は、今とは全く異なる使い方をされていました。 「殷」では、穀物の豊穣を願う雨乞いから祭や戦の時期まで、あらゆることを文字で刻んだ亀の甲羅や獣の骨のヒビ割れで占いました

 

漢字は、中国古代の黄河文明で発祥した標語文字。 四大文明で使用された古代文字のうち、現用される唯一の文字体系。 また史上もっとも文字数が多い文字体系であり、その数は10万字を超え、ほかの文字体系を圧倒する。 古代から周辺諸国家や地域に伝播して漢字文化圏を形成し、言語のみならず文化上の大きな影響を与えた

 

現代では中国語、日本語、台湾、広西の東興市にいるジン族が使用のベトナム語の記述に使われる。 ただし、韓国語ではほとんど使用されなくなっている。 20世紀に入り、漢字文化圏内でも中国語と日本語以外は漢字表記をほとんど廃止したが、なお約15億人が使用し、約50億人が使うラテン文字(ローマ文字、ローマ字「伊:alfabeto Romano、英: Roman alphabet)についで、世界で2番目に使用者数が多い。

 

ただし、ここで大変気になる実態です。 ラテン文字(ローマ文字・ローマ字)は、表音文字、漢字は表意文字です。 中国は表意文字が、繁体文字から簡体文字に変わってきています。 この簡体文字は、本来の表意文字から表音文字に変化していくように思います。

 

日本と漢字文化圏の国々の事情をウエブ情報からの抜粋・引用です。

 

漢民族を主な住民としない国で漢字を使っているのは日本だけであり、朝鮮半島およびベトナムではすでに漢字の使用は事実上消滅している。 その理由としては、活版印刷で決定的な障害となっていたことが挙げられる。

1980年代以降、日本はワープロ・パソコンといった情報機器の普及によりタイプ印字がたやすくなったが、そこにいたるまでの長い活字文化で印刷技術の活用に漢字が大きな障害となっていた。 それに比べてアメリカやヨーロッパは活字印刷のさらなる技術革命として登場したタイプライターの発明によって文書の即席印刷が可能となり、ほとんどすべての書類が迅速に活字印刷され、

 

その結果報告も活字の報告書として迅速に生産されたため組織管理の透明化に役立った。

 

漢字は通信技術の活用と発展にも大きな妨げとなっていた。 また、日本を含む漢字文化圏で謄写版印刷が多く使われたのは、漢字の存在により、全ての種類の活字を活版印刷用にそろえることが難しかったためである。

 

漢字により生じる非効率性の問題はアメリカやヨーロッパの事情を知る者には特に強く認められていた。 結果として、日本は漢字使用を減らす政策がとられ、当用漢字が制定され、表音主義に基づく表記の改変などが国家規模の言語政策として行われている。 

 

中国でも共通語が「国語」として定められ、注音符号ができ中国語の表音化が可能になった段階で短期間ながらも漢字廃止論が魯迅や銭玄同らによって主張された。

 

現在は情報機器の普及とともに漢字で活字印刷する際に妨げがほとんどなくなり、漢字を用いた文章を読むときの効率性が認められている。日本では漢字廃止論も下火となっている。

 

太平洋戦争終結後、1948年(昭和23年)に「日本語は漢字が多いために覚えるのが難しく、識字率が上がりにくいために民主化を遅らせている」という偏見から、識字率調査実施されたが、その結果は漢字の読み書きができない者は2.1%にとどまり、日本人の識字率が非常に高いことが証明、日本語のローマ字化は撤回された。

 

1946年(昭和21年)4月、志賀直哉雑誌『改造』に「国語問題」を発表し、その中で「日本語を廃止して、世界中で一番うつくしい言語であるフランス語を採用せよ」と提案した。 同年3月、連合軍最高司令官総司令部に招かれた第一次アメリカ教育使節団が3月31日に凱一次報告書を提出し、学校教育の漢字の弊害とローマ字の利便性を指摘した。を当用漢字と現代かなづかい、教育漢字が制定された。 その後当用漢字は常用漢字に改められた。

 

ローマ字派

現在は公益社団法人国際日本語学会日本ローマ字会が組織されており、梅棹忠夫会長を務めていた。 同会は独自の「99式ローマ字」を提唱している。 

 

日本以外の漢字圏の状況

中国

中華民国期、音標文字である注音文字でき、魯迅が「漢字が滅びなければ中国が滅びる」と述べるなど新文化運動を担った知識人が漢字廃止を主張した。

中華人民共和国の成立後、拼音というラテン文字による表記法を作り、漢字の簡体字化を進めるなど文字改革政策を進めた。1970年代の第二次簡素化方案の失敗により、正書法のラテン文字化は頓挫し、簡体字が維持されている。

現在は、注音符号も拼音も補助的な使用にとどまり、中国大陸の中華人民共和国政府も台湾の中華民国政府も、漢字を廃止する政策はとっていない。

 

大韓民国

ハングル専用法の制定や、一時期漢字教育を全廃する教育政策により、現在の韓国の若年層はほとんど漢字を解さないほどとなっているが、国民はハングル専用分と漢字ハングル混じり文で2分されるなど決着がついていない。

 

朝鮮民主主義人民共和国

北朝鮮は、漢字は法律上廃止されており、韓国語用の文字であるハングルだけが用いられている。

 

ベトナム

1945年のベトナム独立時に、漢字に代わる公用文字としてクォック・グーが正式に採用された。 義務教育における漢文教育は、北ベトナムは1950年の暫定教育改革により廃止、南ベトナム1975年のサイゴン陥落により廃止されている。 一般生活の中でも、冠婚葬祭や仏事や旧正月など、伝統行事の場で漢字がよく用いられる。

 

IT後進国・縦割り行政組織の中で、カタカナ語・カタカナ英語が大氾濫している現状です。 表題『地球上で一番難しい言語・日本語(表意文字と表音文字の混合)』、表意文字の漢字と、表音文字の平仮名+片仮名+ローマ字―に、さらには、カタカナ英語と英語略語の氾濫と、どう対応してゆくか難しい局面にあると思っていますが、半世紀前よりはIT技術面、デジタル技術面の環境は良くなっていますので関係者には頑張っていただきたいと切望しております。

(記事投稿日:2020/12/30、 #265-3)

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日経新聞文化欄『東北方言「ジンジョコ」の謎』と接尾語のこと ―名前の呼びかけ方、多種多様で興味は尽きない接頭語と接尾語―

2020-10-30 16:40:43 | 読書・文学・文字・漢字

日経新聞文化欄『東北方言「ジンジョコ」の謎』と接尾語のこと

―名前の呼びかけ方、多種多様で興味は尽きない接頭語と接尾語―

 

この方言の、南部と津軽で思い出すのは秀麗な姿の『津軽富士・岩木山』です。

 

先ずは、表題の記事の抜粋です。 

『「肩車」という言葉の方言は日本各地で様々なバリエーションがある。 民俗学者の柳田国男も「肩車考」といった論考を残している。 私が45年以上にわたって調べている「ジンジョコ」という言葉もそうした方言の一つだ。 

 当時、国立国語研究所から「日本言語地図」が出され、方言の研究が注目されていた。 江戸時代の南部藩と津軽藩の対立や違いもあり、方言の調査を通じて両地域の関係を極めたいと考えた。 33個の語彙、51項目のアクセントを対象に現地調査を行い、方言の分布図を作っていた。 その中に「ジンジョコ」も含まれていた。

 「ジンジョコ」という言葉には2つの部分がある。「ジンジョ」は「人形」と「地蔵」を指し、「コ」は親愛の情を表す接尾語だ。 東北人になじみ深い響きを持つ。 語源を調べるにふさわしい言葉だった。』

 親愛の情を表す接尾語ですが、半世紀も前に駐在で住んでいた香港で気がついたのですが、日本では『〇〇ちゃん』と『△△君』と呼び、接尾語の『ちゃん・君』を付けます。 香港では代理店の社長は、若手スタッフの「〇希文(〇・ヘイ・マン)」に、接頭語『阿』を付けて「阿文(ア・マン)」と、「〇樹佳(〇・シュウ・カイ)」は、「阿佳(ア・カイ)」と呼んでいました。

 

 西欧では、親愛の情を込めて、単純にファーストネームを呼び捨てにしているだけかと、当初は思っていましたが、英国のクラウンコロニーの香港には、当然ですが、英国人が大勢住んでおりましたので、近所付き合いを始めてすぐ気が付きました。 単純に、呼び捨てではなく『ファーストネーム』と接尾語に工夫がありました。

 

 厳密にいうと、日本語の「ちゃん」、「くん」、「さん」に当たる言葉は英語にはないようですが、ファーストネームで呼び捨てにするとか、人名の短縮形(例:Elizabeth→Beth, Michael→Mike)を使って親しみを評しています。 それでも、日本語の「ちゃん」、「くん」、「さん」とはかなり違います。

 

 さて接頭語での工夫ですが、日本語は不思議なことに、結論を表明する動詞を最後に言いますし、さらに動詞の最後部につけた接尾語で、やっと結論になります。 これは、奥ゆかしさを超えて、コミュニケ―ションとか意思伝達の方法としては、ずっと不思議に思っています。

 

 愛称に接頭語で工夫があった中国ですが、接尾語も流石、表意文字『漢字』の元祖で、名前の後につける接尾語にも工夫があります。 日本語の『さん』、『様』、『君』は、『先生』、『小姐』、『女士』、更に『先生』に対する敬称は『老師』となります。

 

 儒教の国・中国、地位の高い人の呼び方にもいろいろあります。 先ず『総』は社長、『科長』は課長、『校長』は校長、『頭!』はボス・親方です。 名前がわからない相手に対する中国語の呼びかけの言葉は男性の場合は、『大哥!』、『叔叔!』、女性の場合は、『大姐!』、『姐姐!』です。

 

 さて、表題の『日経新聞文化欄「東北方言ジンジョコの謎」と接尾語のこと

―名前の呼び方は、多種多様で興味は尽きない接頭語と接尾語―』に戻ります。

 

 『肩車は、「ジンジョコ」とは言わず、響きの似た、人形を意味する「ニンニョコ」という。 東北に残る蚕の守護神「オシラサマ」の祭りでは、「ご神体の人形を木で作り、馬や女性の顔を描く場合が多い。 おんぶの姿は「肩車」を連想させ、オシラサマを表す方言には「ジンジョコ」が付く場合が多い。

 

 今年は取材の結果をまとめた「ジンジョコの森」という本も出し調査に区切りをつけた。 都市化が進み、方言は若い人と話しても本来の姿を知ることは難しくなった。 東日本大震災によって建物や街並みが流されただけでなく、言葉も消失の危機にある。

 

 方言の大元には、多分文字の無かった『大和言葉』があり、中国からはいってきた漢字・表意文字に置き換え、更にひらがな、カタカナを併用した日本語の凄さと、最近のカタカナ語満載の日経新聞と比較して感慨無量です。

                             (20201030纏め ♯238)

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