『ヒトは素潜りでどこまで潜れるか、ジャック・マイヨールのこと』
『「ジャック・マイヨールが愛した海」唐津市鎮西町の波戸岬周辺』
先日、『NHK-BS4K・プレミアムで「ジャック・マイヨールが愛した海」』を見ました。 番組では、映画「グラン・ブルー」で知られるダイバーのジャック・マイヨールが愛したとされる唐津の海を舞台に、海水の温度差や海流の影響で季節ごとに異なる生き物の様子を4Kカメラで撮影、紹介していました。
『番組を企画したのは、NHKの局内資格「潜水アナウンサー」を持つ7人の1人・小林将純アナウンサー。 小林さんは、2019年4月の佐賀放送局赴任後にプライベートで唐津市鎮西町の波戸岬周辺で潜った時、地元の人から唐津市の七ツ釜で初めてイルカと出会ったのがダイバーとしてのマイヨールの原点で、2001(平成13)年に亡くなる前の8年間に20回以上唐津を訪れたという話を聞き、「唐津の海とマイヨール」をテーマにした番組企画を提案。 昨年秋から冬にかけて行ったロケで小林さんは、マイヨールと親交が深かったベテランダイバー・高島篤志さんと唐津の海に潜り、今年3月、NHK総合(佐賀県域)とNHK-BS4K(全国放送)で約30分の番組を放送した。』
今回の番組では、今年春から夏にかけて再びロケを行った映像と、秋から冬の映像を再構成。 唐津の海の四季を改めて伝える番組放送のほか、今回撮影した映像を再構成し、佐賀市松原に来年開館予定の新放送会館内に設置する予定の4K・8Kモニターでも上映を予定している。
小林さんは「唐津の海をプライベート潜っていたときから『季節感ある不思議な海』と感じていた。ジャックは、この不思議な海に身を置くことに無上の喜びを見出し、晩年は、唐津の人々との交流を通して海の魅力を伝えていたと聞き、改めて潜ると、神秘的な風景が広がっていると再認識した。 3月の放送では地元の人から『唐津の海があんなにきれいだったとは知らなかった』という反応をもらった。 リサーチから約2年。 番組の完成で達成感というよりも何やら寂しさがあるが、BSでの全国放送を通じて、唐津の海の魅力が改めて伝わればうれしい」と話す。
波戸岬
日本本土最北西端のモニュメント(手前)と海中展望塔
ウキペデイア情報から引用
唐津市の七ツ釜
ウキペデイア情報から引用
佐賀県・松山寺住職 松岡宗鶴さんが『ジャック・マイヨールが愛した海~「自他一如」』の中で、次のように紹介しています。
ジャックは素潜り(閉息潜水)にヨガや禅の呼吸法を取り入れ、前人未到の記録を次々と打ち立てた。そして、さらには自己と海(自然)との融合を目指していた。 海へ入る際に行われる独特のルーチンは、ありのままの自己がゆっくりと海と融け合うかのようだ。 それは、仏教でいう「自他一如」、自分と周りのものとが一つになるということだろう。 いま地球環境と人類の平和は悪化の一途をたどっている。環境保護活動家としても知られるジャックはそのことを次のように語っている。
『人はみな、同じブルーの深海から生まれてきた。 人間は自然の一部であり、もっと謙虚にならなければならない。 我々人間の考え方と行動のいかんによっては、取り返しのつかないことになるだろう。 人間同士の信頼を再構築しなければ何も解決しない。』と。
ジャック・マイヨール
1927年4月1日—2001年12月22日は、フランスのフリーダイバー。 上海生まれ。 イタリアのエルバ島にて没。
4歳の時、母親に初めて水とのつき合い方を教わる。10歳の時に、佐賀県唐津市の屋形石の七ツ釜ではじめてイルカと出会い、その後の生活の原点となる。 1957年、マイアミ水族館時代に、イルカの調教を担当したことから水中での泳ぎ方などを体得。
1973年、イタリアに居を移し、10余りの潜水実験に参加。それにより数十メートルの深度でフリーダイビング中のマイヨールの脈拍が毎分26回になっていることや赤血球が著しく増加していることが、スキューバで潜った医師によって測定されたこともある。 1976年11月23日、エルバ島にて人類史上初めて素潜りで100mを超える記録をつくる。この時49歳であった。
マイヨールの潜水記録
- 1966年 : 60 ⅿ
- 1976年 : 100 ⅿ
- 1983年 : 105 ⅿ(55歳にて)
現在は重りとフィン有り無し等条件が異なりこの記録が破られたかどうか不明。
大の親日家であり、フリーダイビングにヨガや禅を取り入れていた。 千葉県館山市坂田に別荘を設けている。 1995年にはTBSテレビのドキュメンタリー番組『いのちの響』に出演したことがある。 1997年の秋には27HOUR SPECIAL CHALLENGE97内で放送された『イルカが海に帰る日~ユキよ、自由の海を泳げ~』のスペシャルゲストを担当した
海の中の水中散歩は、できるだけ多くの方々に、経験して頂きたいと思う傘寿爺です。 それには『素潜り』、『シュノーケリング』、『スキューバダイビング』とありますが、先ずは、『素潜り』からで、だんだんとレベルアップが楽しみでもあります。
半世紀も昔の『素潜り』の経験、酸素タンクなどの潜水器具を使用せずに、自分の息だけで潜水することです。 「スキンダイビング」とも言われています。
シュノーケリングを文字通りに解釈すればシュノーケルを使うことであるから、広い意味ではスキンダイビングもシュノーケリングに含まれることになり潜水か水面遊泳のみかという観点から、スキンダイビングとスノーケリングは区別されることがあります。
素潜りに不可欠の『耳抜き』
いろいろな方法とその組み合わせもありますが、最も簡単な方法は、
- バルサルバ法:指で鼻を軽くつまみ、テッシュで鼻をかむ容量で鼻に空気を送る方法
- 嚥下(えんげ)法:「つばを飲み込む方法」。つばを飲み込むことで耳抜きをする方法です。
自分の実体験からです。 素潜りで、深さ5ⅿぐらいに達すると鼓膜を針で突かれたようにキーンと痛みが来ます。 この痛みは外耳道の空気が水圧で押され、鼓膜が内側に押されるため、この時、鼻をつまみ、鼻から息を出そうと力むと鼻の中の空気が鼓膜の内側から押しますので、鼓膜が正常に戻ります。 この動作を、8ⅿと、10ⅿで繰り返しますと10ⅿ付近で20-30秒ぐらい、サザエやアワビを探して、採ることが出来ます。
アーティテックスイミング(シンクロナイズドスイミング)の小谷実可子さんが、海中でクジラに近づけた経験を『人生観が変わった…』と言ったことを思い出しました。 海は、凄くて不思議です。
(2022/05/01、#530)