『「マイナンバー制度」を使いこなして、新型コロナ感染症対策を』
ー国まかせではなく、制度をうまく活用できるように勉強していくことが大切―
先日、PRESIDENT Online 黒坂 健夫氏2020/06/03 11:15付けの『米外交誌が「日本のコロナ対策は奇妙に成功」と大困惑する理由』を読みました。 ズブの素人には、その内容から新たな心配が出てきましたので抜粋と備忘録に残します。
●日本人が感染症に「強い」のか?
「日本の新型コロナへの感染拡大防止策はことごとく間違っているように思える」と指摘しています。 しかし、この記事はそのあと、こう続けます。「それなのに、死者数が欧米に比べて圧倒的に少ない“奇妙な成功(“weirdly right”)を収めた”」
●米国から見た日本におけるコロナ対策の問題点
・人口比わずか0.185%しか実施されていないテスト
・強制力がない中途半端な外出自粛
●日本が強い都市封鎖を敢行できないワケ
「日本では国家緊急事態の宣言があっても、政府は人々に家にとどまるよう強制したり、企業に閉鎖を命じたりすることはできない。
●日本の死者数が少ないのは数字のマジック?
被害の大きい米国、欧州と比較すると日本の被害は抑えられていることがデータで明らかになっています。しかし、手放しに喜びの声を上げるのは早いかもしれません。 この数字をアジア太平洋地域で比較すると、日本の数値は決して「断トツ優秀」とは言えないからです。
環太平洋国で最悪の日本の記録
(PRESIDENT Online 黒坂 岳央2020/06/03 11:15から引用)
100万人あたり死者数 100万人あたりのPCR検査数(ウエブ情報引用から追加)
日本 6.78人 81人
インドネシア 5.39人 NA
韓国 5.25人 4,831人
オーストラリア 4.04人 NA
シンガポール 3.93人 2,532人
マレーシア 3.55人 127人
インド 3.28人 NA
中国 3.22 人 2,820人(広東)
台湾 0.29人 677人
上記のように、『人口100万人当たりのPCR検査数が、外国に比較、極端に少ない』ことです。 これにはいくつかの理由・制限条件(ヒト・モノ・カネの全部または一部と思いますが)による『目詰まりがあった』ともいわれます。 徐々に、ほんとにゆっくり緩和されつつあります。
この状況下での、大きな心配ですが、①『不顕性感染者』が市中で知らず、知らずに『三密』状態で行動してしまう可能性があります。 ②個人向け・中小企業向けの給付金(真水)の給付のスピードがなさそうです。 この二点ともに、問題先送りで、個人は、生活保護者になる可能性もあり、これは税収源と生活保護者への給付金でダブルで効いてきます。 中小企業倒産の場合も同様で、将来に。より費用が膨らむようになります。
最近の新コロナ感染症対策で、分かってきたことですが、一見経済最優先にも、見えますが、とにかく急ぐのは『不顕性感染の検出と隔離』と給付金の給付スピードアップでしょう。 そのために、長文ですが、総務省のマイナンバー制度」の発表内容を抜粋、引用しました。 IT後進国のわが国では、発表内容通りに機能するには、どれだけの金と時間がかかるのか、心配ばかりですので…。 縦割りで多機能不全気味の制度には、なんとしても、一日も早い『マイナンバー制度』の徹底利用に期待してます。
マイナンバー制度は❶行政の効率化、❷国民の利便性の向上、❸公平・公正な社会の実現のための社会基盤です。
❶行政の効率化
国や地方公共団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。 これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。
❷国民の利便性の向上
社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続が簡単になります。
❸公平・公正な社会の実現
国民の所得状況等が把握しやすくなり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。
海外のマイナンバー制度の事例から、本制度の良い点や課題点などを見ていければと思います。 マイナンバーによって便利になった国。
スウェーデン
社会保障世界一と呼ばれています。氏名や住所といった基本的な個人情報の他にもクレジットカード情報や家族の所得・資産といった様々なことが管理されているにも関わらず、適切に機能している点は注目に値します。
スウェーデンの個人番号制は、PIN(Personal Identification Number) と呼ばれています。児童手当が親の申請がなくても自動的に支給されるというような具合です。
日本では申請しない限り、給付されないようなものでも、自動的に行政がプッシュ型で行政サービスを提供することができるわけです。 また税金に関しても、個人の収入に関するデータをすべて国が把握しているために、国が作成した確定申告の書類が届き、サインをするだけで確定申告が済んでしまいます。この方式をプレプリント方式と思います。
デンマーク
デンマークが電子政府を進めていったのは1996年ですが、それ以前の1968年に、徴税のために用意された個人番号の導入が、そもそもの原型として存在していました。
福祉制度のすべてがマイナンバーで管理されています。 その他に税金や病気、通院の履歴、その他、個人の売買契約の際にも個人番号が提示されます。
その他、民間の利用だと金融関係のやり取りにもマイナンバーが義務づけられています。 現在では国民がマイナンバーによる行政サービスの恩恵を受けています。
エストニア
資源が少なく、人口も少ない少子高齢化の危機を迎えた国でした1990年代に国がICTでエストニアを強くしていくという戦略を立て、その時期から電子政府の構想がスタートしました。現在では3000に近いサービスを官民両方合わせて、すべてIDに紐付けて提供されています。
その他に、店舗で購入した商品に対するポイントなども、IDカードに統合されるため、それぞれの店舗ごとのポイントカードを持つ必要がありません。ネットバンキングの利用も可能ですし、同じヨーロッパ内ではパスポートの役割も果たします。 それだけ国が情報管理しているので信用のあるカードということですね。
マイナンバーによって問題が起こっている国
アメリカ
マイナンバーの利用で最も悪用されやすいのが、IDのなりすまし詐欺です。アメリカの事例では、社会保障証番号を口頭で伝えることだけで、本人確認を済ませるという習慣があります。
これは逆に言うと他人の番号でも口頭で伝えてしまえば、本人確認されることはなく、他人になりすますことができてしまうということです。
その他、悪用の例としては、死亡した家族の年金の不正受給に使われたり、IDの売買の問題なども起こっています。
日本ではこのアメリカの社会保障証制度の反省を活かして、口頭の番号提示だけで本人確認を行わない予定です。本人確認の際には、写真を含めた厳格な確認が行われるとのことです。
そもそもアメリカではこの制度の始まり当初は社会保障証の利用に関して、個人を特定する用途には使わないという一文がありました。それが年月の経過とともに、順次利用範囲が拡大していった結果、今では全ての個人に関する情報は、社会保障証に紐付いているという現状があります。
韓国
クレジットカードの番号から、住民登録番号まですべてが一つの個人番号で管理されています。そして民間企業でも住民登録番号を利用することができます。このようにすべてが一元管理されているからこそ、その情報が流出したときの被害は甚大なものになります。
2014年にはクレジットカードと、預金関連の情報が1億4,000万件ほど流出した事件がありました。この事件ではクレジットカード会社の社員が、顧客情報をUSBにコピーして持ち出し、それを業者に販売したことから起こりました。そこからマーケティング会社などに情報が転売されていきました。 それだけ企業にとってはマイナンバーに紐づけられている情報は貴重なマーケティング材料という事になります。
まとめ
ここまでマイナンバーがうまく機能している事例と、そうでは無い事例を見てきました。国民のあらゆる情報を1つの番号で管理することは、使い方によっては非常に我々の日常に便利さというメリットをもたらします。 逆に使い方を誤ると、犯罪の温床にもなりかねません。私たちは、国まかせではなく、制度をうまく活用できるように努力していくことが大切でしょう。
(20200605 纏め、20210131追補、#174)
これはその制度なり、システムなり国民、利用者の評価無しで一方的なものですから。
今のマイナンバー使ってみればわかります。使えるものになっておりません。
なので、国民は文句を言い続けないといけません。