知る喜びと、撮る喜びのつぶやき通信  (読める限り読み文章にする。 歩ける限り撮り続ける『花鳥風月から犬猫太陽』まで)

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『南禅寺蹴上インクライン(傾斜鉄道式)とパナマ運河(閘門式)』―『廃仏希釈から免れる為』に南禅寺と別院南禅院に分断される疎水建設を― 

2021-06-19 07:48:50 | 交通

      『南禅寺蹴上インクライン(傾斜鉄道式)とパナマ運河(閘門式)』 

―『廃仏希釈から免れる為』に南禅寺と別院南禅院に分断される疎水建設を― 

最近の日本、『世界に冠たる…』が広範囲の分野で減少、最後の砦が『漫画』のように思えている『アラ傘寿』です。 昔はありました。

 

琵琶湖疎水・運河(琵琶湖の水を京都に、同時に物資輸送)には千石船(およそ積載150トン、総排水量200トン)を標高差36ⅿに引っ張り上げた、南禅寺蹴上インクライン(傾斜鉄道式)がありました。 当時、世界にこれほどの大規模なインクライン(傾斜鉄道式)ありませんでした。 パナマ運河は標高差26mの閘門式ですが、水平鉄道式です。

 

冒頭から、長い余談で恐縮です。

『海抜60ⅿ丘を越えた艦隊の話』

大要塞都市コンスタンティーノープルを攻めたオスマン帝国側は膠着状態を打開すべく、金角湾の北側の陸地(ジェノヴァ人居住区があったガラタの外側)に油を塗った木の道を造り、それを使って陸を越え70隻もの船を金角湾に移す作戦に出た。 「オスマン艦隊の山越え」と呼ばれるこの奇策は成功し、これによりジェノヴァ船による援助物資の供給は阻止され、東ローマ帝国軍の士気をくじくことになった。 しかし、陸上の城壁を破る助けとはならなかった。

丘を上りつめるとあとは下りになる。そうなればわずかに押すだけで滑っていく。 そして、これまでラテン人の強固な守りで一隻も侵入できなかった金角湾の奥に、次々と70隻の船がすべり進水していった。 この作戦を有言『わたしがあなたからほしいものは、ただ一つ。 あの街をください』と言って、実行したオスマン帝国の若き皇帝メフスト2世です。

表題に戻ります。

先日、南禅寺インクラインの放映特番がありました。 南禅寺は数回行ったことがあり、琵琶湖疎水水路閣は見聞きしていましたが、インクライン(傾斜鉄道式)の存在は初めてで、パナマ運河を想い出しながら夢中で見ました。 

運河とは水利(水運・給水、排水、灌漑)などのために陸地を掘って造られた人工的な水路のことあり、この疎水(一般的に給水・灌漑)には、発電所もあり、更にインクライン(傾斜鉄道式)で、十石船で物資を運ぶ水運の機能もありました。

 

琵琶湖疎水水路閣は名刹・南禅寺を、南禅寺と別院南禅院に分断しています。

明治時代の、この建設(分断)計画には、大勢の反対がありましたが;

(1)京都盆地の上水不足と上水供給不安定への対策、

(2)『廃仏希釈から免れる為』に、この琵琶湖疎水建設を受け入れています。

 

第一疎水縦断面図

ウエブ情報から引用

 

南禅寺の蹴上インクライン

 ウエブ情報から引用

 

運河には、

❶標高差のない2点を結ぶ水平式運河(スエズ運河)と

➋標高差のある地点を結ぶ(南禅寺インクライン:592ⅿ、標高差36ⅿ、

中国三峡ダム閘門式:1.500ⅿ、標高差113ⅿ、五段)あるいは、

途中で標高の高い地点を超える運河閘門式(パナマ運河:80㎞、標高差26ⅿ、三段)の大別二つの種類がある。

 

パナマ運河断面図

 ウエブ情報から引用

 

閘門式パナマ運河(熱帯雨林中のガツン湖の豊富な水を「航行」と「閘門に流し込んで」利用)

 ウエブ情報から引用

閘門及び海峡の配列を示すパナマ運河の全体図。南の太平洋岸からパナマ市を右手に見て25kmほど北西に運河を進むとハトウン湖に入り、北カリブ海側に到達する。

 

現存する国際運河は,パナマ運河とスエズ運河です。 パナマ運河についてのウェブ情報です。 

スエズ運河を拓いたフェルナンド・ド・レセップスの手で開発に着手したものの、難工事とマラリアの蔓延により放棄。 その後パナマ運河地帯としてアメリカ合衆国によって建設が進められ、10年の歳月をかけて1914年に開通した。 長らくアメリカによる管理が続いてきたが、1999年12月31日正午をもってパナマに完全返還された。(アフリカ系の労働者でも工事は困難を極め、最終的には中国系労働者で工事を完成させたと言われている。)

 

中米パナマ運河で2016年6月に拡張工事が完了、新しい運河では従来の3倍近い貨物量の大型船の通航が可能になった。

 

余談です。 パナマ第二運河を水平式で掘るアイデアに反対した意見は; 

❶太平洋とカリブ海では、海洋生物の生態系に大差があり、生態系破壊になる。

➋太平洋とカリブ海の潮の干満の差が大きく、運河に潮流が起こる。

であったが、➋は防波堤で解の目途がついたが水平式第二運河は没になった。パナマ運河は拡張され、パナマックス(運河をは通行できる最大サイズ)は、全長294ⅿ全幅32ⅿから、全長366ⅿ全幅49ⅿになった。

 

さらに余談ですが、この水平式パナマ第二運河建設は、日米ゼネコン対抗となり、日本は超大型専用掘削機、米国はダイナマイトに代えて小型核爆弾を、使うと言う話題まで、でました。

 

ニカラグアに建設中の中国期待の『第二のパナマ運河』と呼ばれる、パナマ運河同様の閘門式で、2016年6月完成予定ですが、この『ニカラグア運河』も進捗状況がよく見えていません。 

 

最近のウェブ情報です。

『中米ニカラグアで"第2パナマ運河"とも目される巨大運河構想が頓挫している。 当初計画では2020年の完成予定だったが、いまだ本格着工できていない状態だ。 工事を請け負う中国系企業の資金不足が指摘されているほか、土地を接収される農民などの反対運動も根強い。 カリブ海とニカラグアを結ぶ運河をテコに経済成長を図るというオルテガ大統領のシナリオはかすみつつある。』

 

第二スエズ運河さえも噂がありますが、巨大運河時代は、パナマ運河拡張で終わり大型コンテナ船から二段積みコンテナ鉄道の海陸一貫輸送に代わるのかもしれません。 良き時代にパナマに住めました。

(20210617纏め #347)

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