『日本が渇望する「天才デジタル大臣」と「指名ができるリーダー」』
―どちらも可成り難しい、日本の不思議な島国風土・侵略されなかった歴史と—
台湾の『天才デジタル大臣・唐鳳』と『その指名ができたリーダー・蔡英文』ですが、このリーダーは総統に着任後、数か月後以内には、この世界的な天才を閣僚に向かい入れています。 その後の台湾の大発展は中国も羨むほどです。
この天才は、名前から印象深い方です。 『唐鳳(タァン・ファン)(オードリー・タン)』です。 この方の英語名『オードリー』は、日本ひいきで、鳳の日本語読みからか? またはファンである高名な女優のオードリー・ヘップバーンからとったか? 凡人の想像を豊かにさせてくれます。
先日20200722付け日経新聞の『Game Changer 挑戦者たち「天才デジタル大臣 行政を革新」』に、以下のようにありました。 抜粋と感想です。
『生後八カ月で言葉を話し始め、IQ(知能指数)は測定限界を超えた。 心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」である神童に、型どおりの人生は用意されていなかった。 集団生活にはなじめず、小学校までに9回の転園と転校を繰り返した。 徐々に学校から足が遠のき、自宅で哲学やプログラミングなどのあらゆる本を読みあさる日々を送った。 11歳で古書の電子化・公開にのめりこんだ。』
知能指数ですが、小中学校での検査結果はおしえてもらえません。 しかし先生によっては、数値が異常に高い(数値は言わない)子の場合は『オタクのお子様は知能指数がかなり高いのでそれを覚えておいていただき、普段からお気をつけてください』というものでした。 11歳で古書の電子化には驚きました。
この当時に、繁体文字の台湾の古書のテキストデータでデジタル化ができたのか興味があります。日本の国会図書館でもこれからの課題です。
昔、電子・電気機器のサービスマニュアルのオンライン検索可能な電子化をやったことがあります。 結局、写真・図面が多く、過去のものは、本格的なデジタル化などはできず、単純な映像コピーの取り込み・公開になりました。
本題に戻ります。 カタカナによる英語混じり文は、解りやすいと考える人々が多く居るのも事実、なぜか、年配者には解りにくい、カタカナの英語を頻繁に混ぜて使うリーダーも居ます。 中には適切な日本語があるにも拘わらずです。
文字なしの『大和言葉』時代に、中国からはいってきた、表意文字の漢字に、創意工夫した『ひらがな・カタカナ』を混合して素晴らしいコミュニカ―ションツールとした。 それなりに、この便利なツールと勤勉さで、日本は繁栄を築いてきました。 このツールは、アナログデータ時代には有効でした。
昨今はビックデータを分析して、優れた意思決定や戦略的なビジネス行動へとつなげる時代に、さらに、事象も現象も、人の心も複雑化しているときに、日本人自身も、昔と変わってきています。 『俺・私は関係ない』とか、『リーダーたちのやることがよくわからないし、改めてもらうにも「術」がない』といった具合です。 ここで、IT後進国に重要になるのは『日本が渇望する「天才デジタル大臣」と、「指名ができるリーダー」』だと思います。
『新型コロナウイルスによって店頭からマスクが消えうせた2月初め。 台湾南部・台南で、住人の誰かが近隣店舗の在庫状況を調べて地図アプリで公開した。 チャットアプリ「スラック」上のハッカーコミュニティーで共有されたこの小さな動きを、異能の天才閣僚は見逃さなかった。「これは社会イノベーションになる」。』
『当局は1月下旬にマスクの流通統制を表明していた。 デジタル総括担当の政務委員(閣僚)である唐鳳(オードリー・タン、30)は統制と同時に当局が握る流通データを一般に公開し、全土の店舗の在庫数がリアルタイムで分かる地図アプリ開発環境を整えた。 このデータを活用して民間で、100種類以上のアプリが誕生。 マスクが効率的に購入できるようになった台湾を世界が称賛した。』
これは中央のデジタル総括担当が、地方の小さな動きに『ひらめき』的に、気が付いたという単純なことではなく、マスク品切れがいつも念頭にあって、対応は、いつも考えていた『ビックデータ時代の、デジタル対応が解決のキーと』、その実践だったと想像しています。 日本の『アベノマスク』の『何とも言いようがないコロナ禍対策』と対照的です。
『政府の情報公開やデジタル化を推進するスラック上のチャネルには7,842人の市民ハッカーが参加し、コロナ対策に571人いる。 協力して問題を解決する。 世界的なプログラマーであるタンは、ネットとリアルを自在に行き来し、部門を超えて政策のデジタル化を推進する振付師の役割を果たす。』
唐鳳は、中華民国 (台湾) の政治家、プログラマー、『2016年10月』に台湾の蔡英文政権において35歳の若さで行政院に入閣し、無任所閣僚の政務委員(デジタル担当)を務めている 。 一部では疾病管制署(略称:疾管署、Taiwan CDC)のトップの女性・女傑大臣のように報道されているが、中華民国(台湾)の行政院衛生福利部(日本厚生省に相当)に属する機関です。
疾病管制署(Taiwan CDC)の責任者は別人で、唐鳳ではありません。 日本の第二波を目前にして『組織変更をするとか、議事録をこれからは作る』とかとは対照的です。 唐鳳は、まだまだ凄いです。
『プログラミングの腕を見込まれて14歳で台湾IT大手にスカウトされ、その後は起業家や米アップル社の顧問などで活躍。 2016年10月に蔡英文政権がデジタル政策を狙う閣僚として白羽の矢を立てた。
ここにもキーワードがありました。
『「欠点や欠陥は新たな光が差し込む入り口だ。 ネットを使えば多くの人が一瞬でつながり、ともに問題を解決できる。 閣僚は、最初は興味本位だったけど、行政の革新は楽しさ以上のやりがいがある」と話す。』
この国のリーダーたちとその取り巻きは、これを見過ごしているのか、夫々の実質収入の守り・保身でいっぱい・いっぱいなのでしょうか、または両方か。 唐鳳氏はここまで言っています。
『コロナ後の景気対策として、6月に行政院(内閣府)が打ち出したクーポン『三倍券』の制度設計にも参加した。 3,000台湾ドル(10,800円)分の買い物ができる商品券を1,000台湾ドルで購入できる。
経済対策に真水の注入を素早くやっている。
台北市の行政院にある執務室には『宏達国際電子』の仮想現実(VR)ゴーグルがあり、VRを通じてシンポジウムに参加することがある。
「一つの中国」原則を掲げる中国との関係上、台湾は国際社会から締め出されてきた。 唐鳳は「どこにいようと、私はネット上でみんなとともにある。日本などにも貢献できる」と力を込める。
コロナは制度など社会システムの欠陥をあぶり出し、日本も硬直化した旧体制の刷新を迫られる。
2005年に自らの性認識が体と異なる女性だと公表し、同時に名前を「唐宗漢」から「唐鳳」と改名した。 鳳凰のようにすべてを飛び越えたいという願いを込めた。 新型コロナでリアルの世界が未曾有の変化に直面するなか、デジタルの申し子がその翼を大きく羽ばたかせている。』
日本の場合ですが、せめて、ニューヨークに学び、PCR検査拡大・GPSで感染ルート追跡・陽性者隔離等の制度改善を早急にお願いします。 陽性患者の隔離はハンセン病対策の経験からその「人権侵害」がトラウマになっているような情報もあるが諸外国の状況と対応を早急に調査参考にしていただきたいものです。
(20200724纏め #195)