風吹く豆腐屋

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「言葉が愛情をうすめる」

2010-08-19 15:21:07 | Weblog
星新一の小説に、言葉を使わずに少女を育てる話があります。
ボッコちゃんに収録されている「月の光」というショートショートです。

ある男が捨てられていた少女を自分の家に軟禁し、言葉を一切使わずに育てます。
なぜ言葉を使わなかったかというと、その男は言葉を害悪だと考えていたから。

その男は言います。

「言葉が愛情をうすめる」

言葉を知らないその少女には「世の中の醜いことは何一つしみ込んでいない」と。


一応断っておきますが、あくまでも寓話です。
現実的にはそんな非人道的なことが許されるはずがありません。

あまりに非現実的な設定ではありますが、
そこに込められたメッセージにはなかなか興味深いものがあると思うんです。


言語がなければ文化などの発展はありえないし、
そもそも考えることすらできなくなります。

だけど、言葉を使うことの弊害も間違いなくあります。
普段それを意識することがないだけで。


言葉を使うとき、その裏に隠されたメッセージも読まなければいけないし、
含みがある場合、それにきづかなければトラブルになりかねません。
 

言葉を使う生活に疲れた時、ふとこの話を思い出します。


言葉がない生活。
それはもちろん実現不可能なものだけど、ちょっと憧れます。
よくわからなかったんだけど、ルルーシュの両親が望んだのはそういう世界?


ちなみにこの話の結末は…あえて伏せておきます(笑
興味をもたれた方は調べてみてください。