アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

ピンチは再生のチャンスでもあるのだが

2010年06月03日 14時58分42秒 | 沖縄の犠牲の上に胡坐をかくな
 

 支持率急降下に喘ぎながらも、強気に出ていた鳩山首相と民主党の小沢幹事長でしたが、昨日、一転して共に辞意表明するに至りました。「普天間問題の迷走」と「自身の政治とカネの問題」で、とうとう引責辞任に追い込まれた格好ですが、一説には「首の挿げ替え」との批判もあります。いずれにしても、4日の両院議員総会と首班指名投票で、次の党代表と首相が決まります。時期代表・首相に誰がなろうと、私は大して関心はありません。肝心なのは「誰がなるか」ではなく「何をするか」なのですから。
 「もはや民主党もこれまでか」というのが、今の世論の大勢の受け止め方です。「これでやっと自民党の悪政に終止符が打てる」と思って折角民主党に一票を託したのに、蓋を開ければ何のことは無い、「やっぱり民主党も自民党と同じだったのか」という失望感が、じわじわと広がりつつあります。一部には「マスコミの政権叩きにしてやられた」との意見もあるようですが、これは本末転倒でしょう。悪いのはマスコミではなく、国民を裏切った民主党自身なのですから。次期首相に誰がなろうとも、国民を裏切り続ける限り、今後も同じ事がずっと起こり続けるでしょう。

 しかし、これは逆に言えば、民主党が今一度、前述の政権交代の初心に立ち返る事が出来たならば、この結党以来の一大ピンチを逆にチャンスに転化する事も、あながち不可能ではないのです。
 その理由は、一つはこの後に控える国政選挙が、衆院選ではなく参院選であるという事にあります。選挙の帰趨が直接政権交代に直結する衆院選とは違い、参院選では仮に大敗しても政権の維持は可能です。つまり「最悪やり直しが効く」という事です。勿論、大敗すれば「ねじれ、片肺」国会の不安定な政局運営を迫られる事になりますが、それは自業自得というもの。そこで真に反省して、今までの裏切りを全て総括出来れば、最後には国民は分かってくれるでしょう。しかし、そこでも懲りずに今までと同じ様な事を繰り返すなら、更に手強いしっぺ返しに遭うに違いありません。
 もう一つは、前与党にして最大野党の自民党も、共に脛に傷を持つ身であるという事です。今回の政権・職責投げ出し劇にしても、ついこの間までは、自分たちも同じ事を二度も繰り返していたのです。嵩に掛かって追及した所で、下手すれば自分たちも薮蛇と為りかねないのだから、本気で追及なぞ出来る訳がありません。

 ならば、民主党がここで本気で立ち直る気があるのなら、取り得る選択肢は一つしかありません。今回の辞任を鳩山・小沢の二人に止める事無く、現執行部の総退陣と、自民党亜流路線との完全決別で、党の再生を図るしか無い。「普天間」と「政治とカネ」の問題も、全て一から初心に帰って出直しすべきです。あくまでも「初心」、つまり「政権交代のそもそもの原点に立ち返る」というのが肝要です。ここでまた同じ過ちを繰り返すなら、今までと何ら変わりません。
 「ダメモト」でも「破れかぶれ」でも良いから、刷新された新執行部の下で、全国を行脚して、「今までの裏切りは全て撤回し、また一から初心に帰って出直します」と、懺悔して回るしかありません。特に、普天間・辺野古の沖縄と、口蹄疫で無策を曝け出した宮崎には、いの一番にかけつけるべきでしょう。そして最悪卵をぶつけられるのも厭わぬ覚悟で、再生を地道に訴えていくしかないでしょう。

 普天間問題についても、「もともと普天間基地は、戦時中に米軍が、国際法も無視して強盗同然に奪って作ったものだろう、四の五の言わずに無条件で返還せよ」と迫れば良いだけの話だったのです。政権が変われば政策も変わるのが当たり前なのですから。現に、南米エクアドルの新政権は国内の米軍基地を撤去し、米国自身もオバマ新政権になってチェコ・ポーランドからミサイルを撤去しました。それを「前政権からの合意だから変えられない」と思考停止し、最初からへりくだって下手に出るから、米国に舐められるのです。
 その際、「日米同盟」「抑止力」を返還交渉サボタージュの言い訳にしては、絶対になりません。このグローバル経済の時代に、かつての様な東西冷戦型の戦争なんて、まず在り得ません。中国・北朝鮮脅威論なんて悪質なデマです。戦争が起こるとすれば、寧ろ911テロの様な形をとるでしょう。テロの根本原因は、第三世界での先進国による差別・搾取・貧困にあります。そこを改めずして、小手先のテロ対策に走っても、何の解決にもなりません。中国・北朝鮮に関しても、彼の国の一党独裁や少数民族抑圧を表向きは非難しつつ、製品輸出・低賃金労働力供給市場として裏で支えているのが、実は日米などの先進国なのです。これも、大国が第三世界の独裁政権を陰で支えている前記の構図と、全く同じです。この構図の上に胡坐をかきながら、脅威論で国民を脅しつけようとしても無駄です。

 その他の国内問題への対処にしても、鳩山政権は一体どこまで本気で取り組もうとしたのか、甚だ疑問です。「いのちを守る」「コンクリートから人へ」と、お題目は立派なものの、実態が全然伴っていないのですから。本当にそう思うなら、「子ども手当」支給よりも、保育所待機児童や生保・介護難民の解消を、まず優先すべきではないでしょうか。その流れの中で「子ども手当」支給ならまだ分かりますが、より肝心な問題を放置してそこだけを強調されても、そんなものはただの選挙対策でしかありません。
 だから、一見それっぽい事を言っていても、話が抽象論の域を出ず、いざ具体的に実施する段になると、当初の公約とは似ても似つかない、寧ろ逆行でしかない政策を平気で出してくるのです。派遣労働法・後期高齢者医療制度・障害者自立支援法などの見直し骨抜きや、アスベスト被害国賠訴訟での居直り(控訴)が、その何よりの証です。

 今回の鳩山・小沢辞任は、民主党にとっては、これまでのそんなピンチを、逆にチャンスに変え得る絶好の機会なのです。これが、後に控えるのが衆院選であったり、民主党政権二期目の危機であったりするならば、全然話は違って来ます。下馬評によれば、次期代表・首相は副総理の菅直人が最有力だそうですが、そんな手垢のついた旧守派では話になりません。また、5・27普天間問題緊急宣言の呼びかけ人・賛同人の中から党代表選に出馬しようという動きもありません。あれはやはり選挙前のアリバイ工作でしか無かったのでしょうか。このままでは、やはり民主党は、本気で出直しを図り、政権交代に託した国民の思いに応える気は、さらさら無いようだと言わざるを得ません。
 ならば、党外から民主党に圧力をかけ続けるしかありません。それが民主党内の良識派を励ます事にも繋がります。そして、それは自民・公明両党はおろか、普天間や貧困・格差の問題では似たり寄ったりの、「みんなの党」や「立ち上がれ」「創新」「改革」ナンチャラにも、絶対に出来ない事です。
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1 コメント

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nishihansen@goo/jp (GO@あるみさん)
2010-06-03 23:02:41
TBありがとうございます。
のみ会の前に街をウロウロしていたら、「鳩山辞任」号外が張ってあったので写真を撮ろうとしたのですが、3K新聞だったので止めときました(^^よってブログ写真はのみ会の写真)
それはともかく「民主党」の「反省」が無いようであれば、これまで民主党から選挙に出てきたリベラル系の人たちは、政策実現のためと称して民主党に擦り寄るよりも、民主党と決別して選挙にのぞんでもらいたいものです。(比例代表の参議院選挙だと難しいですが)沿い有意味で、社民党の「反省」も問われていると思います。
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