ガザ支援船団をイスラエル軍が強襲、10人以上死亡
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この間、普天間問題や鳩山辞任以外にも、色々と取り上げるべきニュースがありましたが、なかなか取り上げる事が出来ませんでした。今後はそちらの話題についても、徐々に取り上げていこうと思います。それらのニュースを取り上げる事で、逆に普天間や、日本と沖縄や第三世界との間の問題点も、より一層見えて来るかも知れませんので。
まずは、下記の、イスラエルがNGOのガザ支援船を公海上で襲撃した、というニュースについて。この襲撃で多数の死傷者が出たトルコでは、官民そろってイスラエル糾弾の声が上がっています。このガザ問題に対するトルコ世論の高揚は、日本本土の沖縄に対する冷淡な反応と、正に好対照を為しています。
・支援船団急襲で安保理緊急会合 トルコ「国家犯罪」、イスラエルは正当性主張(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100601-00000514-san-int
・<ガザ支援船急襲>トルコ首相、イスラエルを厳しく批判(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/mideast/news/20100603k0000m030035000c.html
・民間人を少なくとも19人射殺。日本以外、世界中でガザ支援船攻撃に対してイスラエルへ抗議デモ(webDICE-骰子の眼)
http://www.webdice.jp/dice/detail/2477/
そのトルコですが、日本と似ている点が幾つかあります。
(1)共に長い歴史を持ち、西欧に範を取った近代化を推進した事(アタチュルクの改革と明治維新)、(2)またどちらも親西側路線を取り、軍事同盟にも加盟している事(NATOと日米安保条約)、(3)反ロシア感情が強い事(特にこれはトルコの方が歴史的な経過もあってより強い、トルコが親日国なのもロシアに対する当てつけからで、これと比べたら日本の反ロ感情なんて幕末以降の歴史しかない)、(4)共にアジアの後進国として封建社会が長く続いた(オスマン王朝と江戸時代)、(5)更に西欧への対抗上、国の統一や一体性を志向する世論が強く、それが時には排外主義として現れたりする(トルコのアルメニア・クルド人弾圧、日本の在日朝鮮人差別)、などが非常によく似ています。
その一方で、違う点も少なくありません。
それは、(1)トルコは前近代で大帝国を築いたのに対して、日本は明治以降に帝国主義化した、(2)トルコは近代化以降も帝国主義化しなかった為に、あくまでもイスラム教を仲立ちとした形ではあるが、他の第三世界の国々や人々との連帯感は、日本とは比べ物にならないほど強い、(3)日本の近代化(明治維新)が、19世紀に王政復古(絶対主義的天皇制の確立)という形をとったのに対して、トルコの方は、第一次大戦後に当時の日本よりも進歩的な価値観(共和制、世俗主義)に基づいて近代化が進められた、といった所に現れています。
その違いが、今回のトルコのガザ支援と、かつての日本のイラク人質バッシングという点に、如実に現れているのではないでしょうか。少なくともトルコにおいては、ガザ支援のNGOに対して、反政府的だの自己責任だのといって貶めるようなバッシングなどは、起こりようもありませんでした。それどころか、政府も国民も、ガザ支援を「イスラム教徒の、民族の神聖な義務」として捉えているようです。
先述したように、トルコ社会も、日本のそれと同様に、排外主義的な所も少なからず抱えていますが(例えば村八分や男尊女卑など)、それでも、日本のようなNGOバッシングは殆ど見られず、それどころか、被抑圧民族(パレスチナ人)への連帯が公然と表明された事を見るにつけても、日本社会の後進性を改めて思い知らされました。
その日本の後進性は、下記の自衛隊ジブチ派兵のニュースからも、窺い知る事が出来ます。
・ジブチへの日本の「軍事進出」にみる日本政府の法意識の崩壊 (大切な追記あり)(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1753.html
・アジアと第三世界に敵対する日米・新軍事基地建設 ――沖縄、ジブチ共和国(media debugger)
http://mdebugger.blog88.fc2.com/blog-entry-86.html
・ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文について(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pirate/djibouti.html
・ジブチ-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%81
東アフリカ・ソマリア近海の海賊退治の為に、ソマリアの隣のジブチに自衛隊基地を設けるとの事です。それでジブチ政府との間で、自衛隊の治外法権を保障した地位協定を締結し、外務省のウェブサイトにも、「現地のレストランに日本語のメニューを入れさせた」という逸話が、自慢話のように掲載されています。
しかし、そもそも「ソマリア海賊」は何故生まれたのか。これも、ごく大雑把に書くと、「アフリカの角」と呼ばれるこの地域に、冷戦時代に米ソ両超大国が、エチオピアとソマリアの国境紛争や、域内の革命・独立運動・内戦・部族対立に介入して、当該地域を戦場にしてしまった。その中で、生計を維持できなくなった農牧漁民が、やむなく武装を始めたというのが、「ソマリア海賊」の始まりでしょう。
何のことは無い、本来そのツケをまず負うべき米ソなどの大国が、自分たちの尻拭いを他の国にも押し付けているだけではないですか。アフガン内戦やイラク・イラン戦争に介入してきた米・英・旧ソ連が、イスラム・ゲリラや、タリバン・アルカイダ、イラクのフセインを散々甘やかしてきた末に、自分たちの手に負えなくなったからといって、尻拭いを他国にも押し付けてきたのと、全く同じ構図ではないですか。
それに対して、日本は、専守防衛の建前の下で、「海外派兵はしない」「ましてや、かつてのような海外侵略なぞは絶対に行わない」という事で、かろうじて憲法9条と自衛隊との間で、折り合いをつけてきた筈です。それがいつしか、時の政府によって、米国の世界戦略につき従う事が、恰も「国際貢献」であるかの如く言い包められて、最初は国連PKOの形で、やがて国連決議でも何でもない、ただの米国を中心とした幾つかの国々による多国籍軍にも、自動的に参戦させられるようになってしまいました。
その挙句に、大義無きイラク戦争のようなものにまで、参戦させられるようになってしまった。それに対し、専守防衛の観点からも疑義を呈した箕輪さんのような方は、保守系には殆どいませんでした。それどころか、「イラク派兵違憲判決そんなの関係ねぇ」の田母神某を筆頭に、「それが侵略戦争か否か」なんてどうでも良くて、「日本の国益(利権)さえ確保出来ればそれで良い」というような、自国エゴの権化としか言いようの無い似非「愛国者」まで現れる始末です。
しかし、本当の愛国者であるならば、自国への侵略が許せないのと同様に、他国への侵略も許せない筈です。それが「自国への侵略は許せないが他国への侵略は容認する」「それが自国によるものであっても別に構わない」というのは、そんな輩は愛国者でも何でも無い。ただの自国エゴの塊であり、唾棄すべき差別主義者でしかない。
しかし、実はこの日本でも、ほんの数十年前までは、トルコのガザ支援に相当する支援活動が、今よりも、もっと旺盛に取り組まれていました。それが、沖縄返還闘争や沖縄・アイヌの独立運動であり、「再び侵略の銃は取らない」と闘った内灘・砂川の基地反対闘争や60年安保闘争、ベトナム侵略の戦車輸送を阻止し、脱走兵や反戦兵士をかくまった「べ平連」の闘いなどでした。
かつては日本にも、今のトルコにおけるガザ支援に相当する闘いが、存在していたのです。かつての日本人も、現在のガザやトルコの人々と同様に、不正義・不平等・貧困・侵略・自由抑圧に対して、今よりももっと声を上げていたのです。
それが何故、日本では侵略抗議の声が小さくなり、代わって田母神やネオナチ「在特会」のようなエゴイスト・差別主義者が、大手を振って罷り通るようになってしまったのでしょうか。
その原因の一つに、対外環境の変化があると思います。ベトナム戦争が終結し、東西冷戦も基本的には幕を閉じた。その代わりに、今までは東西対決の陰に隠れて目立たなかった地域紛争が、目に見える形で現れてきた。それにつれて、戦争も、従来の様な東西冷戦型から、地域を拠点とした局地戦・ゲリラ攻撃の形を取るようになった。北朝鮮の軍拡も、東西冷戦の延長で捉えるよりも、寧ろアルカイダやフセインと同等に捉えるほうが、遥かに理解できる。
その様な現代戦争に対抗出来るのは、東西冷戦思考ではありません。テロや人権侵害の大本にある貧困や民族対立を解消する中で、軍拡やテロ・人権抑圧に固執する勢力を封じ込めていくしかありません。しかし、田母神や西村眞吾・安倍晋三などに代表されるような軍拡論者は、逆に「目には目を、歯には歯を」という形で、「日本の北朝鮮化、イスラエル化、アパルトヘイト時代の南アフリカ化」を目論んでいるのです。そんな「イスラエル日本」にとっては、沖縄なぞは「パレスチナ・ガザ」でしかないのでしょう。
だが、それでは日本はますます、テロ勢力だけでなく第三世界全体からも恨まれる存在になってしまいます。ガザやパレスチナ、トルコやジブチからも。自衛隊派兵先のジブチ一つとって見ても、あそこは単にソマリアの隣国というだけはありません。ジブチ国内では、エチオピア系のアファル族とソマリア系のイッサ族という二大部族が、長年に渡って互いに対立してきました。ジブチの独立が1970年代にまでずれ込んだのも、その原因の一つには、この民族対立があったからなのです。つまり、ジブチもソマリア内戦とは完全に無縁ではありえないのです。
そんな国に、自衛隊がのこのこ乗り込んでいって、治外法権や日本語メニューを見せ付けたら、一体どうなりますか。それでなくても、かつてはフランスの旧植民地として、散々辛酸を舐めさせられてきた土地であり人々です。被抑圧民族が植民地主義者に向けた憎しみを、今度は日本にも向けてくるに決まっているではないですか。
そんなものは「国際貢献」でも何でもない。そうではなく、かつての日本や今のトルコが、沖縄・ベトナムやガザを支援したのと、同じ事をすれば良いのです。そして、域内の戦争・貧困・差別を解消する中で、テロや戦争に固執する勢力を封じ込めていくしかないのです。それこそが「真の国際貢献」だと、私は思います。
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この間、普天間問題や鳩山辞任以外にも、色々と取り上げるべきニュースがありましたが、なかなか取り上げる事が出来ませんでした。今後はそちらの話題についても、徐々に取り上げていこうと思います。それらのニュースを取り上げる事で、逆に普天間や、日本と沖縄や第三世界との間の問題点も、より一層見えて来るかも知れませんので。
まずは、下記の、イスラエルがNGOのガザ支援船を公海上で襲撃した、というニュースについて。この襲撃で多数の死傷者が出たトルコでは、官民そろってイスラエル糾弾の声が上がっています。このガザ問題に対するトルコ世論の高揚は、日本本土の沖縄に対する冷淡な反応と、正に好対照を為しています。
・支援船団急襲で安保理緊急会合 トルコ「国家犯罪」、イスラエルは正当性主張(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100601-00000514-san-int
・<ガザ支援船急襲>トルコ首相、イスラエルを厳しく批判(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/mideast/news/20100603k0000m030035000c.html
・民間人を少なくとも19人射殺。日本以外、世界中でガザ支援船攻撃に対してイスラエルへ抗議デモ(webDICE-骰子の眼)
http://www.webdice.jp/dice/detail/2477/
そのトルコですが、日本と似ている点が幾つかあります。
(1)共に長い歴史を持ち、西欧に範を取った近代化を推進した事(アタチュルクの改革と明治維新)、(2)またどちらも親西側路線を取り、軍事同盟にも加盟している事(NATOと日米安保条約)、(3)反ロシア感情が強い事(特にこれはトルコの方が歴史的な経過もあってより強い、トルコが親日国なのもロシアに対する当てつけからで、これと比べたら日本の反ロ感情なんて幕末以降の歴史しかない)、(4)共にアジアの後進国として封建社会が長く続いた(オスマン王朝と江戸時代)、(5)更に西欧への対抗上、国の統一や一体性を志向する世論が強く、それが時には排外主義として現れたりする(トルコのアルメニア・クルド人弾圧、日本の在日朝鮮人差別)、などが非常によく似ています。
その一方で、違う点も少なくありません。
それは、(1)トルコは前近代で大帝国を築いたのに対して、日本は明治以降に帝国主義化した、(2)トルコは近代化以降も帝国主義化しなかった為に、あくまでもイスラム教を仲立ちとした形ではあるが、他の第三世界の国々や人々との連帯感は、日本とは比べ物にならないほど強い、(3)日本の近代化(明治維新)が、19世紀に王政復古(絶対主義的天皇制の確立)という形をとったのに対して、トルコの方は、第一次大戦後に当時の日本よりも進歩的な価値観(共和制、世俗主義)に基づいて近代化が進められた、といった所に現れています。
その違いが、今回のトルコのガザ支援と、かつての日本のイラク人質バッシングという点に、如実に現れているのではないでしょうか。少なくともトルコにおいては、ガザ支援のNGOに対して、反政府的だの自己責任だのといって貶めるようなバッシングなどは、起こりようもありませんでした。それどころか、政府も国民も、ガザ支援を「イスラム教徒の、民族の神聖な義務」として捉えているようです。
先述したように、トルコ社会も、日本のそれと同様に、排外主義的な所も少なからず抱えていますが(例えば村八分や男尊女卑など)、それでも、日本のようなNGOバッシングは殆ど見られず、それどころか、被抑圧民族(パレスチナ人)への連帯が公然と表明された事を見るにつけても、日本社会の後進性を改めて思い知らされました。
その日本の後進性は、下記の自衛隊ジブチ派兵のニュースからも、窺い知る事が出来ます。
・ジブチへの日本の「軍事進出」にみる日本政府の法意識の崩壊 (大切な追記あり)(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1753.html
・アジアと第三世界に敵対する日米・新軍事基地建設 ――沖縄、ジブチ共和国(media debugger)
http://mdebugger.blog88.fc2.com/blog-entry-86.html
・ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文について(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pirate/djibouti.html
・ジブチ-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%81
東アフリカ・ソマリア近海の海賊退治の為に、ソマリアの隣のジブチに自衛隊基地を設けるとの事です。それでジブチ政府との間で、自衛隊の治外法権を保障した地位協定を締結し、外務省のウェブサイトにも、「現地のレストランに日本語のメニューを入れさせた」という逸話が、自慢話のように掲載されています。
しかし、そもそも「ソマリア海賊」は何故生まれたのか。これも、ごく大雑把に書くと、「アフリカの角」と呼ばれるこの地域に、冷戦時代に米ソ両超大国が、エチオピアとソマリアの国境紛争や、域内の革命・独立運動・内戦・部族対立に介入して、当該地域を戦場にしてしまった。その中で、生計を維持できなくなった農牧漁民が、やむなく武装を始めたというのが、「ソマリア海賊」の始まりでしょう。
何のことは無い、本来そのツケをまず負うべき米ソなどの大国が、自分たちの尻拭いを他の国にも押し付けているだけではないですか。アフガン内戦やイラク・イラン戦争に介入してきた米・英・旧ソ連が、イスラム・ゲリラや、タリバン・アルカイダ、イラクのフセインを散々甘やかしてきた末に、自分たちの手に負えなくなったからといって、尻拭いを他国にも押し付けてきたのと、全く同じ構図ではないですか。
それに対して、日本は、専守防衛の建前の下で、「海外派兵はしない」「ましてや、かつてのような海外侵略なぞは絶対に行わない」という事で、かろうじて憲法9条と自衛隊との間で、折り合いをつけてきた筈です。それがいつしか、時の政府によって、米国の世界戦略につき従う事が、恰も「国際貢献」であるかの如く言い包められて、最初は国連PKOの形で、やがて国連決議でも何でもない、ただの米国を中心とした幾つかの国々による多国籍軍にも、自動的に参戦させられるようになってしまいました。
その挙句に、大義無きイラク戦争のようなものにまで、参戦させられるようになってしまった。それに対し、専守防衛の観点からも疑義を呈した箕輪さんのような方は、保守系には殆どいませんでした。それどころか、「イラク派兵違憲判決そんなの関係ねぇ」の田母神某を筆頭に、「それが侵略戦争か否か」なんてどうでも良くて、「日本の国益(利権)さえ確保出来ればそれで良い」というような、自国エゴの権化としか言いようの無い似非「愛国者」まで現れる始末です。
しかし、本当の愛国者であるならば、自国への侵略が許せないのと同様に、他国への侵略も許せない筈です。それが「自国への侵略は許せないが他国への侵略は容認する」「それが自国によるものであっても別に構わない」というのは、そんな輩は愛国者でも何でも無い。ただの自国エゴの塊であり、唾棄すべき差別主義者でしかない。
しかし、実はこの日本でも、ほんの数十年前までは、トルコのガザ支援に相当する支援活動が、今よりも、もっと旺盛に取り組まれていました。それが、沖縄返還闘争や沖縄・アイヌの独立運動であり、「再び侵略の銃は取らない」と闘った内灘・砂川の基地反対闘争や60年安保闘争、ベトナム侵略の戦車輸送を阻止し、脱走兵や反戦兵士をかくまった「べ平連」の闘いなどでした。
かつては日本にも、今のトルコにおけるガザ支援に相当する闘いが、存在していたのです。かつての日本人も、現在のガザやトルコの人々と同様に、不正義・不平等・貧困・侵略・自由抑圧に対して、今よりももっと声を上げていたのです。
それが何故、日本では侵略抗議の声が小さくなり、代わって田母神やネオナチ「在特会」のようなエゴイスト・差別主義者が、大手を振って罷り通るようになってしまったのでしょうか。
その原因の一つに、対外環境の変化があると思います。ベトナム戦争が終結し、東西冷戦も基本的には幕を閉じた。その代わりに、今までは東西対決の陰に隠れて目立たなかった地域紛争が、目に見える形で現れてきた。それにつれて、戦争も、従来の様な東西冷戦型から、地域を拠点とした局地戦・ゲリラ攻撃の形を取るようになった。北朝鮮の軍拡も、東西冷戦の延長で捉えるよりも、寧ろアルカイダやフセインと同等に捉えるほうが、遥かに理解できる。
その様な現代戦争に対抗出来るのは、東西冷戦思考ではありません。テロや人権侵害の大本にある貧困や民族対立を解消する中で、軍拡やテロ・人権抑圧に固執する勢力を封じ込めていくしかありません。しかし、田母神や西村眞吾・安倍晋三などに代表されるような軍拡論者は、逆に「目には目を、歯には歯を」という形で、「日本の北朝鮮化、イスラエル化、アパルトヘイト時代の南アフリカ化」を目論んでいるのです。そんな「イスラエル日本」にとっては、沖縄なぞは「パレスチナ・ガザ」でしかないのでしょう。
だが、それでは日本はますます、テロ勢力だけでなく第三世界全体からも恨まれる存在になってしまいます。ガザやパレスチナ、トルコやジブチからも。自衛隊派兵先のジブチ一つとって見ても、あそこは単にソマリアの隣国というだけはありません。ジブチ国内では、エチオピア系のアファル族とソマリア系のイッサ族という二大部族が、長年に渡って互いに対立してきました。ジブチの独立が1970年代にまでずれ込んだのも、その原因の一つには、この民族対立があったからなのです。つまり、ジブチもソマリア内戦とは完全に無縁ではありえないのです。
そんな国に、自衛隊がのこのこ乗り込んでいって、治外法権や日本語メニューを見せ付けたら、一体どうなりますか。それでなくても、かつてはフランスの旧植民地として、散々辛酸を舐めさせられてきた土地であり人々です。被抑圧民族が植民地主義者に向けた憎しみを、今度は日本にも向けてくるに決まっているではないですか。
そんなものは「国際貢献」でも何でもない。そうではなく、かつての日本や今のトルコが、沖縄・ベトナムやガザを支援したのと、同じ事をすれば良いのです。そして、域内の戦争・貧困・差別を解消する中で、テロや戦争に固執する勢力を封じ込めていくしかないのです。それこそが「真の国際貢献」だと、私は思います。
日本人がジブチでフランス人と同一視されるという根拠はどこにもありません。わがイラク派遣軍は現地への貢献によりイラク人の敬愛を勝ち得ました。
もし海賊達に同情すべき事情があったとて、彼らの行動が国際法にも国内法にも反する犯罪であるということにかわりはありません。これは単なる警察行動であり、これに組みすることは正しいことです。赤貧の境涯に生まれ育ったせいで殺人を犯した犯罪者がいたとして、彼の存在を野放しにしていい道理はどこにもないはずです。同情すべき事情があったとしても、それは司法の場で汲まれるべきです。
>何が何でも日本を貶めたい日本左翼特有の偏向した事実の認識、解釈
イラク戦争に反対し、日本の米軍イラク侵略加担を批判したら、何故「何が何でも日本を貶めたい日本左翼特有の偏向」となるのですか?イラク戦争に賛成なら「愛国」で、反対なら「反日」ですか?
>パレスチナ人がイスラエル人を血祭りに上げれば拍手喝采を上がる連中ですよ。
裏返せば、それだけイスラエル人(正確にはイスラエル国内のシオニスト)が、周辺諸国から反感を買う行為を続けてきたからでしょうが。イスラエル建国時のパレスチナ人虐殺(ナクバ)、スエズ戦争でのエジプト侵略、80年代のレバノン侵略、現代のパレスチナ分離壁・入植地の建設やガザ封鎖、等々。
>(トルコの)クルド人等少数民族への非道な弾圧も、日本の在日朝鮮人政策の比ではありません。
私も別にトルコ国家の全てを肯定的に評価している訳ではありません。それは、この記事の中でも、クルド人・アルメニア人虐殺の歴史に触れている事からも明らかですが。
>わがイラク派遣軍は現地への貢献によりイラク人の敬愛を勝ち得ました。
私はそうは思いませんが、百歩譲って、何がしかの「敬愛を勝ち得」た事実もあったとしましょう。しかし、その事で米国のイラク侵略が正当化される訳ではないでしょう。
あの戦争は、素直に見れば、誰が見ても侵略です。如何にフセインが独裁者でも、だから帝国主義戦争を仕掛けて良いという理屈にはならない。それでは独裁者がフセインから米帝に摩り替わるだけです。
その中で、自衛隊がいくばくかの「敬愛を勝ち得」たとしても、その事でイラク侵略の本質を覆い隠す「イチジクの葉」の役割を果たすなら、寧ろ逆に米国のイラク侵略に積極的に加担するものと言わざるを得ませんね。
>もし海賊達に同情すべき事情があったとて、彼らの行動が国際法にも国内法にも反する犯罪であるということにかわりはありません。これは単なる警察行動であり、これに組みすることは正しいことです。
だったら尚更、国際法や国連憲章に則って、警察行動によって取り締まれば良いだけの話でしょう。例えば、マラッカ海峡で周辺国が行っているように。それが何故、警察行動に「多国籍軍」がしゃしゃり出てくるのですか。
仮に、当事国のソマリアが無政府状態で、周辺国のイエメンやエチオピアも政情不安定で、ともに地域の治安が保てないとしても、それならそれで、まずはアラブ連盟やAU(アフリカ連合)などの地域協力機構に、警察行動を委任するのが筋ではないですか。域外国はそれに協力し、必要に応じて支援すれば、それで済む話です。
「んああ」さん曰く「親米保守の米国追従、エゴイスト振りには私も腹が立ちますが、何が何でも日本を貶めたい日本左翼特有の偏向した事実の認識、解釈には賛同しかねます」との事ですが、私からすれば、自衛隊のイラク戦争加担を支持する「んああ」さんの方が、よっぽど「米国追従」で「エゴイスト」の「親米保守」なのですが。
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/6aa343d77517d1ec7838655438dc08af
米国はイラクから撤退するのではない、占領のブランドをはり替えているのだ
シューマス・マイルン ガーディアン紙 (英国) 2010年8月4日 水曜日
オバマは撤退は予定通り進んでいると言っているが、残存するか外部委託した戦闘部隊はイラク人に国を返しはしないだろう
http://www.uslaboragainstwar.org/article.php?id=22765
英国と米国の大部分の国民にとってイラクはすでに歴史と化している。NATO軍の戦死者が容赦なく増加するにつれて、すでにずっと前からアフガニスタンがメディアの関心の一番大きい部分を奪ってしまっている。
イラクに関する議論は今ではほぼ全部イラク侵攻をした元々の決定に集中している。2010年にイラクで起こっていることはほとんど印象に残っていないのだ。
それはバラク・オバマが今週、米国の戦闘部隊は「公約に従い予定通りに」今月末にイラクから撤退する、と宣言したことでさらに強められることになるだろう。
英国と米国の多くの報道機関にとっては、これが実際に起こったことなのであった。すなわち、見出しは戦争の「終結」を祝い、「米軍はイラクから撤退へ」と報道したのである。
しかしこれほど事実から遠ざかったものはない。
米国はイラクから撤退など全くしていないのである―占領に新しいブランドをはり変えているだけである。
オバマが大統領になった時にジョージ・ブッシュの対テロ戦争が「海外の偶発事件の作戦」に名称を変えられたのとちょうど同じように、
米国の「戦闘作戦」は来月から「安定化作戦」へとブランドをはり替えられるだろう。
しかしイラクの米軍スポークスマンであるスティーブン・ランザ少将がニューヨークタイム紙に言ったように、
「実際問題としては何も変わらないだろう」。
今月の撤退後にも94ヶ所の軍事基地になお5万人の米軍が残り、イラク軍に「助言」をしたり訓練をしたり「治安を提供」したりして「テロ対策」任務を遂行するだろう。
米軍用語ではそれは米軍のやりたいこと全部を優におさえているのである。
5万人は1年前のイラクにおける兵力の大幅な削減ではある。しかし、オバマがかつて「ばかげた戦争」と呼んだものは執拗に続いているのである。
事実、イラクの政治諸勢力がグリーン・ゾーンの町の中で暗礁に乗り上げて5ヶ月目になっている間に、暴力が増加しているのである。
市民の殺害はアフガニスタンよりもイラクの方が多くなっている。
イラク政府によると先月だけでも535人である。これは過去2年で最悪の数字である。
そしてたとえ米軍が町中ではほとんど姿が見えないとしても、毎月6人の割合でなお死んでいるのであり、米軍基地はレジスタンス・グループによって何度も砲撃を受けているが、その一方でイラク軍と米国が支援する宗派の私兵ははるかに多くの人数が殺され続けていて、アルカイダ―すなわちブッシュのイラクへの贈り物―はイラクの長い帯を横断して活動に戻ってきている。
英国ではほとんど知られていないが、今なお150人のイラク国内の英国軍が米軍を支援し続けている。
その一方で、米国政府は占領のブランドのはり替えをするだけではなく、占領の民営化も進めている。占領軍のために約10万人の民間契約雇用者が働いていて、そのうち1万1000人以上が武装した傭兵であり、その大部分は発展途上国出身者を典型例とする「第三国の国民」である。ペルー人1人ととウガンダ人2人の警備会社契約社員がグリーンゾーンへのロケット攻撃で殺されたのはほんの2週間前のことである。
米国は今や、悪名高い米国の警備会社のブラックウォーター社の役割を暴く助けをしたジェレミー・スカヒルがイラクにおける軍契約者が「押し寄せつつある」と呼んでいるものの数を急増させたいのである。
ヒラリー・クリントンはイラク全土の5ヶ所の「恒久的駐屯地」に配備するために国務省で働く軍契約者の数だけでも2700人から7000人に増やしたがっている。
外部委託をした占領の利点は、米国兵士以外の誰かがイラクの統治を維持するために死ぬことができるのだから明確である。
それはブッシュが政権を去る直前になされた、2011年末までに全ての米軍兵士を撤退させるという公約の抜け道をつくる助けにもなる。
別の撤退とは、あらゆるところで広く予想されていることであるが、適切な政府がつなぎ合わせてできてそれが可能となったらすかさず、イラク側が米軍に駐留を続けてほしいと新たに要望することである。
今やバチカン市の大きさを持つ駐イラク大使館を持つ米国がいつでもすぐにイラクを手放すなどと言った意図は持っていないことは明々白々である。
その一つの理由は、1958年以前の英国による統治の下のイラクの石油を開発していた3社の英米石油メジャーなどの外国企業に昨年分け与えられたイラク最大の油田を稼働する1ダースもの20年間契約が結ばれたことに見いだすことができる。
これらの契約の合法性があいまいなために動きを抑えた米国企業もあったが、この問題について今度出版する本の著者であるグレッグ・マティットが論じているように、アメリカ側の獲得物は、イラクの石油埋蔵量の60%を長期間の外国企業の支配の下にした契約そのものより大きいのである。
もしも石油産出量が計画通りに急速に押し上げられたら、世界の石油価格は大幅に下落し頑固なOPEC[石油輸出国機構]諸国の支配は崩壊するかも知れないのである。
その一方で、戦争がイラク民衆かけた恐るべき犠牲と日常生活で続く恐怖と窮状は、2007年の米軍の増派が「役に立った」とかイラクは結局はうまくいっている、という主張をあざ笑っているのである。
何十万人もが死に400万人が難民になっただけではない。米国(及び英国)による占領が7年を過ぎても、何万人もの人たちが裁判も受けずに拷問され投獄され、医療や教育は劇的なまでに悪化し、女性の地位は恐ろしいほど後退し、労働組合は実質的に禁止され、バグダッドは1500ヶ所の検問所と爆弾防止壁で分断され、電力供給はほとんど止まってしまい、人々は言いたいことを言うのにも命がけである。
3月の国民議会選挙の茶番劇と、立候補者や活動家の禁止や殺害と、それに続く政治の崩壊というものがたとえなくとも、本日のタイムズ紙がやったように、「イラクは民主主義国である」と主張するのは奇怪なことである。
グリーンゾーンの政権は米軍と警備会社の契約社員の保護がなければすぐに崩壊するであろう。
イラク人と米国当局者の間では最終的に軍事力による乗っ取りが行われるのではないかと予想していることは疑いない。
イラク戦争は米国にとって歴史的な政治上、戦略上の失敗であった。
米国はイラクを西欧的価値の灯台か中東地域の警察官に変えるどころか、軍事的解決策を押しつけることができなかった。
しかし宗派主義と民族主義のカードを切って、国民的なレジスタンス運動が台頭して屈辱的なベトナム戦争型の撤退することを防ぎもしたのである。
イラクと中東地域の支配権を維持するために、米国は新たな形態の外部委託式の半植民地的政権をつくりたがっているという兆候が現れている。
イラクの独立を取り戻す闘いはまさに始まったばかりである。
清末さんからのパレスチナのヨルダン渓谷に関する緊急要請のメールを転送します。
ヨルダン渓谷の状況に関する詳細は以下のウェブサイトを参考にしてください、とのことです。
ヨルダン渓谷連帯委員会の日本語サイト
http://jvsj.wordpress.com/
重複して受信された方には大変申し訳ありません。
御手数をお掛けしますが削除してくださることでお許しください。
転送・転載歓迎。
~~~~~~~~~~~~ 以下転送 ~~~~~~~~~~~~
Subject: [wam_ml:04173] 緊急要請◎民族浄化に抵抗し続けるパレスチナ人に連帯を!
From: "Aisa KIYOSUE"
Date: 2010/09/10 14:03
To: [wam_ml:04173]
以下、転送・転載大歓迎
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緊急要請◎民族浄化に抵抗し続けるパレスチナ人に連帯を!
―加速するパレスチナ・ヨルダン渓谷における家屋破壊―
この2、3ヶ月ほどの間に、パレスチナ西岸・ヨルダン渓谷における家屋破壊が劇的に加速化しています。アル・ファリシーヤ村では、7月19日に23軒の家屋がイスラエル軍によって破壊され、さらに8月5日、主に前回の破壊で家を失った人々が住んでいた27張のテントが再び破壊されました。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、この2回の破壊によって135人のパレスチナ人が住居を失ったとされています。
また、破壊されたのは住居だけでなく、家畜用の小屋なども含まれ、人々は生計の手段までも奪われています。以前にも、アル・ファリシーヤ村では、農業用水用の給水ポンプ4台を接収されるなど、繰り返しイスラエル軍や入植者による被害を受けています。8月15日には、新たな家屋破壊命令が出されており、いつ、イスラエル軍がもどってくるか分からない状況が続いています。
こうしたイスラエルの犯罪行為に対し、現地住民組織「ヨルダン渓谷連帯委員会」は、独自に近くの村からゴム製の水道管を引いたり、破壊された家を再建するなど、地域の人々と共同で、彼らがこの地に留まるための非暴力抵抗を実践し続けています。
現在、ヨルダン渓谷連帯委員会から、緊急カンパなどの支援要請が呼びかけられています。パレスチナの平和を考える会では、以下の2点について、多くの皆さんの協力をお願いしたいと思います。
1.破壊された水道管や家屋の修復・再建等のためのカンパ協力をお願いします。振込用紙に「ヨルダン渓谷連帯カンパ」と明記の上、下記口座までよろしくお願いします。
郵便振替口座:00920-3-97161
加入者名:パレスチナの平和を考える会
2.日本政府およびイスラエル当局に対し、ヨルダン渓谷における人権侵害・国際人道法違反を止めるための具体的な措置を取るよう、要請してください。
≪抗議・要望先≫
●岡田克也外務大臣
ご意見・ご感想コーナー:
https://www3.mofa.go.jp/mofaj/mail/qa.html
Fax:03-5501-8430 Tel: 03-3580-3311
●エフード・バラク(Ehud Barak)イスラエル防衛相
Fax: +972-3-691-6940 Tel: +972-3-569-2010
Email: info at mail.idf.il or sar at mod.gov.il
≪岡田外相宛要請文・例文≫
外務大臣 岡田克也 様
日本政府が「回廊構想」と銘打ち、数年来、開発援助を投入しているパレスチナ・ヨルダン渓谷地域において、最近、イスラエル軍が執拗に家屋破壊や車両・家畜等の財産没収を続けています。国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、アル・ファリシーヤ村で行われた二度の家屋破壊によって135人のパレスチナ人が住居を失ったとされています。
これらの住民追放政策は、同地域におけるパレスチナ人の生存基盤を脅かすものであり、「パレスチナの経済的自立」「パレスチナ・イスラエル間の信頼醸成」といった「回廊構想」が掲げてきた理念を根底から破壊する行為です。
もし、日本政府が「中東和平」に関与し続け、「回廊構想」を継続するのであれば、ただちに、イスラエル政府に対し、ヨルダン渓谷住民に対する人権侵害を止めるよう、厳重に要求してください。
≪Ehud Barak イスラエル国防相宛要請文・例文≫
Dear Minister,
I am writing to you to express my deep concern that 19 people of Al-Farisiya in Jordan Valley again face forced eviction from their homes, damage and destruction to
their properties, and to urge the authorities to immediately cancel the eviction and demolition orders.
I would like to remind you of the 2010 UN Human Rights Committee’s recommendations to the Israel government that it should “review its housing policy and issuance
of construction permits”.
As a citizen in Japan, I sincerely call for
an immediate end to house demolitions and forced evictions in the West Bank.
Respectfully yours,