新潟県十日町市とエイジングライフ研究所 とのご縁は、平成12年だったでしょうか、国保中央会主催の「老年期痴呆予防活動指導者養成講座」に波形保健師さんが参加されたときから始まりました。
大きな町ですから、予防活動に対してもいろいろな考え方や立場もあるようで歩みとしては遅々としたものでしたが、それでも着実にボケ予防活動を積み重ねてきていました。
具体的には、講演にも何回かお邪魔し、そのたびに高齢者の方をお呼びしての保健師さん対象の個別生活改善指導の実技訓錬を行いました。(いまだに印象深い方たちがいますよ)
実務研修会にも次々に保健師さんたちが参加され、その後の実践の中から二段階方式を用いた生活指導にはっきりとした手ごたえを感じる人たちも育ってきていました。
さらには、その中で民間との連携を含めた十日町独自のシステムも出来上がりました。
ユリ(越後湯沢アルプの里にて)
そこまで到達したところで、合併!
平成18年に、十日町市もご多分に漏れず、川西町・中里村・松代町・松之山町と合併しました。
二段階方式のように特別のノウハウを導入している場合に合併があると、なかなか難しい状況が起きてきます。それぞれの町独自に活動している(活動していない場合も含めて)わけですから、「一本化しなくてはいけない」「一本化は難しい」の間で揺れ動くことになります。
十日町の場合は、旧十日町市の保健師さんがはっきりとした手ごたえを感じるところまできていましたから、新市としても取り組みたいというところまでは割合早く到達しました。
けれども各地区には地区の特徴や歴史や自然環境や人情、そして行政の取り組み方まで含めて大きな差があるのです。 フウロソウ(越後湯沢アルプの里にて)
上の合併をクリックしてみてください。簡単に各地区の説明を読むことができます。
私はこの秋の講演で松代地区に伺えば、全部の地区を回ったことになりますが、越後妻有(つまり)地方、日本一の豪雪地帯と一くくりに言っても、確かに各地区の持つ違いを感じることができました。
広い水田地帯もあれば、頭の下がりそうな棚田もあります。
ぶな林も地区で違いがありました。日本3大渓谷といわれる清津峡、日本三大薬湯の松之山温泉、河岸段丘や高原地帯、縄文時代の火焔式土器、多くの現代芸術作品群・・・
出会う方たちからは、見るからにシャイな人柄を感じたり、積極性にびっくりしたり。
共通するものとしては、地区の方々から、自分の町を愛して守ろうとする気概を感じました。
それから独自の文化を大切にしたうえで、この地区全体としての文化を発信したいという意欲は格別のものがありました。
越後妻有大地の祭りこういう取り組みもあるのです。ほんとに人々は多様に生きています!
ナデシコ(越後湯沢アルプの里にて)
これは、十日町市のことだけをいっているのではありません。
メリットももちろんあるのでしょうが、多くの合併で、現場の保健師さんたちがどんなに苦労されたかを、私はたくさん見聞きしました。
これだけの差があるのですから当然ですね。
さて、十日町市は、旧十日町市の保健師さんたちが二段階方式導入のためにかなりがんばりましたよね?
講演会後、教室を立ち上げると各地区に出向いて、個別指導を一緒にやってくれました。
教室の立ち上げが最終目的ではなく、あくまでも個別指導ができなくてはいけません。そこが不安な保健師さんがたくさんいるはずですが、先輩が手伝ってくれるとしたら、ラッキーですよね。
今回の勉強会でのうれしい出来事をひとつ報告します。
松之山地区のT橋保健師さんとO塚保健師さんが教室参加者の全データを持ってきてくれました。
教室の前後で実施できた方が20数名。
その資料を読みながら解説しました。 エーデルワイス(越後湯沢アルプの里) (読み方はマニュアルAの122p以降に詳説してあります。
ついでに。
管理ソフトエイジングに入力すると、個別の成績推移も教室全体の成績推移も自動計算されますよ)
「見違えるように改善した方はこの人とこの人」と解説していくと、保健師さんの顔が「やっぱり!」という感じにぱっと輝きます。
「この人とこの人は、はっきり低下傾向だけど・・・」
「ハイ、ご主人をなくされました。それからこの人は心臓発作を起こしました。むしろ、教室があったからこの程度で持ちこたえられたんだと思います」
同席の保健師さんたちから、「ホゥー」という声が上がります。
お二人はテストをするということに、なんとないためらいを感じていたのではないかと思うのです。家族のように知り合っている、それほど密な人間関係の中で長年お仕事をしてこられていたのですから、わかる気もします。
コマクサ(越後湯沢アルプの里)
でも、二段階方式を導入するということは、あくまでも脳機能検査が必須です。
なぜならば、それをベースにして生活改善をする必要があるかどうか、生活改善の効果はあったかどうかを見るからですが、多分T橋保健師さんとO塚保健師さんは実感してくださったことと思います。
もちろん、そのお二人の様子を見ることで参加された他の保健師さんも、二段階方式の有用性を再認識されたのではないかと思います。\(~o~)/