脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

1月の右脳訓練②ーアプリで花名を探索

2021年01月31日 | 私の右脳ライフ
散歩のときには、どうしても花に目が行きます。そして名前を知らない花があると、とっても残念な気持ちになってしまいます。
この花を最初に見かけたのは、いつもお庭をきれいに手入れされているお宅の花壇の端でした。出会えた時だけ話を交わすという淡いお付き合いですから、玄関のベルを押すことをためらっていました。

友人が植物の名前を教えてくれるアプリを使っていることを知って、さっそく私も使うことにしました。ネットの評判がちょっと悪かったのでインストールをためらっていたのです。
写真を撮ると、数秒後にその名前を教えてくれる優れもの。
このピンクのお花はキルタンサス。覚えられませんが、いつでも調べられる安心感があります(笑)
この花の名も知りませんでした。キクザキリュウキンカ。

リュウキンカは上高地に行ったときに湿地帯に群生していました。どう違うのかはわかりませんが、アプリはキクザキリュウキンカと教えてくれました。帰宅後今度はパソコンでチェックしてみたら、外来種らしいです。リュウキンカとは別種という記載もありましたが、とにかく両方キンポウゲ科ではありました。深入りしてると訳がわからなくなりそうです。
黄色繋がりでこれは簡単。レモン。

また黄色繋がりで、ニオイアラセイトウ

アラセイトウはストックの和名ですが、ニオイアラセイトウもあるのですね。腰をかがめて匂いを嗅いでみました。天気や温度の関係もあるのでしょうが「ニオイ」とつけるほどには強い香りではなく、甘いやさしい香りがしました。毒草らしいです。
せっかくですから、アラセイトウ。ストックの方がなじんでます。

これはパンジーですね。

ストックとパンジーの寄せ植えを発見。遊び心があります。

こんなにかわいい寄せ植えも。色合いが上品です。

紫系統のお花が続きます。横にチューリップがたくさん咲いていました。冬咲きチューリップがあるのでしょうか。

マーガレット(ブリアンルージュ)。

これは灌木です。エリカの花。

だんだんピンクになってきました。ピンクといえば桜色。1月も終わりになると河津桜が咲き始めます。

実はこの花の名前も知りませんでした。撮影したらアプリがオトメアゼナと教えてくれたので、「なんとかわいい名前」と納得しました。
ここにアップしようとして、さあ困ったことが出来。例示されている花は5弁。右下に5弁が見えるもののこれはほとんどが4弁で花弁の数が違います。

たくさん調べてみました。外来植物でアゼナ(畔菜)の名前から分かるように水湿地の植物。でも、繁殖力が強く沖縄では定植してしまったらしく要注意外来植物だそうです。今度通ったときにはもう一度、違う角度から写真を撮らせてもらうことにします。また、オトメアゼナというでしょうか?
花を見ながら散歩をしても、結構脳はフル回転。


1月の右脳訓練①-散歩も楽しい

2021年01月30日 | 前頭葉の働き
右脳訓練のカテゴリーでは、小さな体験報告を続けてきましたが、さすがにこのコロナ自粛中に出歩くことははばかられます。
でも散歩は楽しみながらやれますね。今日は散歩の途中で見つけたものをあげてみましょう。
屋外でヤギを飼ってる!

手前にあったレタスを投げてやりましたが、喜びもせずフンといわれた感じ。実は散々食べてほんの少ししか残ってなかったのです。ごめんね。今度は葉っぱのあるのを持ってきてあげましょう。

小ボケの方の生活指導をしたときに、ある方は「同じ時間に同じところを歩く。そうすると、同じ人に出会って言葉を交わすことができる」といわれました。またある方は「人に会わない時間に、人のいないところ(この方の場合は河原でしたが)に行って夫婦二人で体操したり歌を歌ったりする。二人ならなら恥ずかしくないでしょ」と。「コースに必ず保育園を入れてます。いつも行ってると、この時間なら園庭に子供たちがいるという時間がわかるようになって、二人で眺めて帰るんです」といわれた方もいます。
今気づきましたが、このケースはすべて夫が小ボケ、計画を立てて牽引するのは妻でした。その逆の時、コースの設定を考えることができる夫ならいいのですが。
日本で初めてできたテディベア美術館。

巨大なトトロの横で河津桜がほころんでいました。

ワークショップのための別館がオープンしました。

あまり人がいるわけでもありませんが、さすがに大きな声で歌うのもはばかられて、♫歩こう 歩こう 私は元気♫と鼻歌で青空の下歩いていくだけでも、いい気分です。
申し訳ないほどの青空。

高い梢をよくよく眺めると、新芽が大きく膨らんでいます。

大きな木はそれだけでも訴えかける力があると思っていますが、枝を払ってくれることで、木のためにもなり景色が一変することにもつながります。剪定してくれたおかげでこんなメルヘンチックな小屋を見つけました。

ふつうにいつも歩いている道ですが、この角度から、こんなふうに大室山が見えることに初めて気づき、大収穫でした。夏みかんも素敵でしょう。
「ご近所にパン屋さんが開店」のニュースを耳にして、ちょっとわかりにくいところでしたから、お天気に誘われて探検をしました。

「まねきねこ」こんな素敵なネーミングができるオーナーご夫妻です。パンも魅力的ですがお二人も魅力的。たくさん買わずにたびたび伺うことにします。そうするともっともっとその魅力を感じることができるでしょう。こういうことも私にとっては楽しみの種です。

少なめにと思ってもあれこれ食べたいのです。生地がどこかひと味違います。

家の周りの散歩でも、変化を見つけてびっくりしたり、きれいとかかわいいとかで心動かされたりするものです。
考えてみてください。まったく構えがない状態で歩いていても、あまりにも感動できるものに出会えば感動につながるでしょうが、それよりも「何かないかな」とか「あそこはどうなってるだろう」とか「感動」を見つけようとする姿勢がある方が、ずっと有利でしょう。
我が家の小鳥のえさ場

「認知症予防に歩いてる。歩くと足から脳に刺激が行くから」ということをよく聞きます。
脳からの指令があってこそ、手足を動かし歩くことができるのです。歩いているあいだ中、脳は指令を出し続けています。その意味では歩くことは間違いのない脳の活性化です。ただ、歩くことだけならば、それは動物でも可能なことです。
散歩の時間やコースを計画すること、途中でさまざまなものを見つけ喜んだり感動すること。歩数への関心。天気に合わせた服装。車の往来に気を付けること。脱水にも気を付けること。帰宅してから何をするか、またその手順…体重や血液検査の結果に思いを寄せている人もいるかもしれません。
そんなことを考えながら、散歩しているイヌやネコはいるでしょうか?これらはすべて前頭葉の働きですから、前頭葉がない彼らには無理なこと。
せっかく散歩するなら、人間らしく前頭葉を使ってほしいのです。
安心してください。前頭葉はその人らしさの源でもありますから、最初にあげた3例の散歩法の工夫からもわかるように、画一的にこれしかないということではありません。自分が満足できる「今日も散歩してよかった」という思いを感じようとする姿勢が大切だということが言いたいのです。











高齢者集いの場の喫茶店が閉店-認知症への落とし穴

2021年01月25日 | 正常から認知症への移り変わり
何を隠そう。私、友達と二人で学生時代に「〇〇〇の深情けグループ」を結成してたんです。困った人がいる(もしかしたら困ってないかもしれないのに)と、どうしてもおせっかいしたくなるタイプなんですね。
おせっかい屋さんとしたら見逃せない話を、また聞きで聞きました。
友だちの話です。
沼津市愛鷹運動公園。ナツツバキ

「知人のお父さんが毎朝、暇そうにしているのですって」
私が「そのお父さんはおいくつぐらいの方?」と尋ねると「知人が50歳くらいだから80歳位かなあ」という返事でした。
もうこれだけで「おっとこれは危ないな~」
私が何を恐れているかというと、アルツハイマー型認知症。
専門家といわれる人たちは、多い順に「アルツハイマー型認知症の原因はアミロイドβがたまること」「タウタンパクがたまること」「脳の萎縮」などがアルツハイマー型認知症の原因といわれます。
でもそれは違います!
トチノキ

詳しく聞いてみました。
「近所の喫茶店が閉店したんですって。ほとんど毎日通っていて、お仲間がいて席まで決まっていたそうよ。その仲間は職歴はさまざまで、だから日常生活上に起きる問題の解決場所でもあり、ニュースに対しても様々な意見が飛び交って会話がとにかく楽しかったそう。男の人って単なる世間話だと盛り上がらないってことあるでしょう?
こういう場所があると家族は安心よね。女の人は集いやすいのに、男の人は特別に趣味でもないと定年後外へ行かなくなる。ここだけの話、幼稚園のシルバーバージョン!
それなのに、このご時世のせいかどうか閉店。そうしたら行くところがなくなって毎朝暇そうにしてるっていう話なの」
カツラ

この話を聞いて、皆さんはどう思われますか?
少なくともこれからの生活が、お父さんにとって以前ほど楽しい充実した生活でないこと、それだけでなくどうもボケに近づいていくのではないかというような不安感には同感してくださると思います。
「寂しいだろう」
「楽しみがなくなってお気の毒」
「一日が長いだろうな」
「これから先どんな楽しみを見つけられるか」
「大丈夫?ボケないでいられるだろうか」等々。

一般の方々は、「よくよく周りを見てみると認知症の発症には学歴も職歴も関係ない。むしろ偉い人は危ない」というふうに言われます。「ああいう生活をしていたら、危ない」とか「あんなに楽しみごとがある人はボケない」というような認識を持っています。これは生活ぶりこそが、認知症予防の鍵と思っているということですよね。
高齢者を、研究対象として見るのではなく、一人の人間としてみた時に学歴や職歴ではなく、「今どう生活しているか」に「ボケるかボケないか」の決定的な要因があると感覚的にキャッチしているのだと思います。
まさに正答。
クヌギ

皆さんに納得していただくには「脳の機能」を持ち出すことが必要です。今年二度目の画像ですが。
年齢とともに脳機能が低下していくこと(誰にでもある正常老化)に加え、生活上に起きてきた大きな出来事や大きな変化をきっかけに、それまでの生活とは様変わりの、趣味も生きがいも交遊も楽しまず、散歩すらしないというような「ナイナイ尽くしの生活」になる人たちがいます。三頭立ての馬車を走らせて生活していくのが人生ですが、脳を使っていない、馬車が動いていない状態になるのです。

そうすると、脳の機能は「廃用性機能低下」を起こすのです。脳機能の衰え方が正常老化を超えて生じてしまう。
そして、小ボケ、中ボケと進み、最終的に世間で言われる「ボケてしまった」大ボケ段階に至ります。

この「大き出来ごとや大きな変化」を具体的に言うと、
「退職してからボケちゃった」
「趣味が続けられなくなっておかしくなっていった」
「配偶者との死別」
「孫が家を出ていった」
「病気やけがで安静にした」等々。
この喫茶店のお仲間の方々には、皆さん高齢だからこそ、ことの軽重はあっても、それぞれこのようなことがいろいろな形で起きたと思います。
なのに、なぜ誰一人としてボケていなかったのでしょう(これはもちろん推測。また聞きですからはっきりとしたことは言えないのですが)。でも、このお父さんのように、皆さんがその喫茶店に自分の場があって、おしゃべりやコーヒーを楽しむことができる状態そのものが認知症を発症していない証拠といえます。

本来ならば、三頭立ての馬車が動かなくなるような人生の大きな変化が起きても、ここに集った皆さんにはこの喫茶店での楽しい充実した時間がそれを補って余りある脳機能発揮の場所を提供してくれていたのです。
繰り返しますが、その喫茶店にあったのは、楽しい会話、交遊。
馬車は、仕事をするとき(左脳)にだけ動くのではありません。体を動かす(運動の脳)ときも仲間と遊ぶとき(右脳)も、動きます。
そのような時、つねにその状況を判断し、どうふるまえば自分らしいのか判断しながら進んでゆく前頭葉も活性化しています。
その場がなくなることは、廃用性の機能低下を起こしやすいのですよ。一日も早く馬車がイキイキと走ることができる場所や状況が必要なのです。



































介護費用10兆円突破ー毎年、毎年10兆円

2021年01月18日 | エイジングライフ研究所から
コロナ絡みで「兆」単位の金額をよく目にするようになりました。
例えば去年4月、国民一人当たり一律10万円の給付という未曽有のことが行われましたね。あの時の予算規模は12兆円といわれました。
総額が余りにも途方もない金額になるので、国民は案外気にせず「10万円」ばかりが強調されたような気がします。
2019年11月に発表されたグラフです。介護保険の給付金と1割負担とされている自己負担金の総額が10兆円を超えたという厚労省発表をもとにした新聞記事です。

皆さんとお話ししていると、介護保険でも健康保険でも「自分の財布から出た金額」だけにしか関心がありません。実際はかかった金額の1割とか2割、3割しか個人は負担していませんから、その差額は必ず施設や病院に保険者(市町村)や健康保険組合から支払われているのです。
上のグラフはその両方を足して、2018年に10兆円を超えたという説明をしています。財務省の元データをチェックしてみました。『社会保障について (医療・介護) 2019年11月14日 』
介護保険スタートの2000年は3.6兆円だったそうです。2016年10.0兆円。2017年10.2兆円。以上は実績ということですから10兆円を超えたのは2016年ということになります。予算規模で2018年11.2兆円。2019年11.7兆円という資料までしか見つかりませんでした。
目もくらむような数字ですが、くらみすぎてどのくらいすごいか実感できません。
私は高齢の方にお話しすることが多いので、ゆっくり説明していきます。

「10兆円がどのくらいの金額か考えてみましょう。百万円の新札の束。一つの厚みが1センチですって。日本で一番高いところは?」
「そうです。富士山の頂上ですね。3776m。100万円の札束を一つずつ重ねていって、10兆円は日本一高い富士山の頂上を超えると思いますか?」
会場はざわざわし始めます。
暗算ではとても無理ですから。次のスライドをお見せします。

「一、十、百、千、万、十万、百万。百万円で1センチです。左端を上からみていきましょう。数の単位は百万、千万、一億、十億、百億、千億と進み、千億の次はそうです一兆、そして十兆になります」
「厚さが1センチの百万円の束を重ねていくのですから、千万で10センチ、一億で1メートル」と続けていきます。
「千億で1キロですから、3776メートル約4キロの富士山は千億の単位。一兆は10キロ。大体10キロを超すと成層圏。つまり雲の上。ジェット機が飛ぶ高さ」説明している私も10兆円の途方もなさに、息が詰まります。
「さあ十兆円は、百万円の札束を重ねていったらどのくらいの高さになるのですか?」
毎年、一万円札を積み上げていって雲を通り抜けて100キロ上空まで!その一万円札が風に吹かれて消えていってる…
介護保険の仕組みそのものを否定しているわけではありません。どうしようもない条件が重なって手厚い介護を受けなければいけない高齢者もいるでしょう。「介護の社会化」でどれほどの人が助かったかもわかっています。ただ認知症の大部分を占めるのはアルツハイマー型認知症。脳の使い方が足りない、生活習慣病ともいえるこのタイプは一夜にして重度になる訳ではありません。昼夜がわからず、食事もとれず寝たきりの状態になるまでには何年もかかります。それならば予防でしょう!

何度か取り上げたこのテーマを再掲することになった経過を付け加えます。高校時代の同級生とメールでおしゃべりをしていました。テーマがコロナ・ワクチンになって
「イアン・ブレマー氏が率いる調査会社『ユーラシア・グループ』のリポートによると、中低所得国を含め世界にワクチンが公平に行き渡ることによって、富裕な10カ国が受ける経済的な恩恵は、2025年までの5年間で4660億ドル(約48兆円)にのぼる。日本は5年間で1.4兆円の恩恵がある」という記事を送ってくれました。
それで、私からは介護費用10兆円のデータを添付しました。即、返信がありました。
「一日100万円ずつ使って、10兆円はさて、何年使えるか?何百年も何千年もかかると知れば、びっくりですよね!」

もちろんさっそく挑戦しました。10000000000000/365≒27397。
最初は筆算でやりました。「えっ3万年?」正答の自信がなく計算器で再試行。あっていました。
10兆円は、毎日100万円使うと約3万年も使える金額でした。
認知症予防がどんなに大切な喫緊のテーマか、高齢者は特に心してほしいと思います。
医療費43兆円(2017年)。これは高齢者だけではありませんが、ここも国民全体が知って対処を考えないといけませんね。



ビデオレターでご挨拶ー小布施町脳のリフレッシュ教室交流会

2021年01月12日 | エイジングライフ研究所から
長野県小布施町には2002年から、認知症予防活動の指導のために毎年2回は伺ってます。もう第二の故郷のようなものです。
その小布施町に行けません。小布施町には各地区に、原則自主活動による認知症予防のための「脳のリフレッシュ教室」があるのです。その交流会を去年の2月には実施できましたが、令和2年度の事業は取り掛かることすらできませんでした。私の講演会も延期が2度あって最終的には中止。

保健師さんから「各教室に伺って皆勤賞をお渡しするので、その時にビデオレターを見せてあげたい。それと色紙も渡したい」という申し出がありました。
「動画を撮って、ユーチューブにあげてそちらで見てもらうのは?」といってみましたが、「普通の動画でいいです」ですって。
アバター作ってみたのですが(笑)

もう10年以上も小布施町では「認知症予防」をテーマにした話を続けてきました。どういう形で保健師さんの希望をかなえてあげようかと思案しました。私にできる範囲で、ですが。
スクリーンにパワーポイントを映して話してみることも考えましたが、それではいつもと同じことになります。パワーポイントの画面をもう少し整理して、フリップを作ってフリップと一緒に写ってみるのはどうだろうと思いつきました。
とにかくこの想定外のコロナ騒ぎで、高齢者や持病がある人がが罹患したら大変ということが言われていますよね。それと同じほど、三密回避が認知症を招くということを知ってもらわなくてはいけません。

最初のコロナ騒ぎから1年近くたちました。最近「フレイル」ということが言われてきています。使い方が足りないと足腰の筋肉が衰えてロコモティブシンドロームを起こしてしまう。口腔の筋肉が衰えてオーラルフレイルになると飲み込みに支障が出るので栄養不良を起こしてしまうというようなことに対する警鐘です。
よくチェックしてみると、社会的参加が減ることにも注意が必要とされていますが、大体は足腰と口腔の筋肉のことと思われているようです。
脳も同じです。使い方が足りないと、もともとある老化にさらなる老化がかぶさってしまうのです。その先に認知症が・・・

小布施町では、このスライドも何度も使って説明してきました。
「突然ボケることはない。世の中でいわれるボケた状態(大ボケ)の前に、中ボケがあり、さらにその前には小ボケがある。もちろんその前には普通にその人らしく暮らしていたのです」
「人生の大きなできごとや大きな変化に負けて、それまでのその人らしく暮らしてきた生活から一変して、趣味も生きがいも交遊も運動もしないような、つまり脳の使い方が足りないナイナイ尽くしの生活になると、使わないことによる脳の老化の加速が起きてしまう。小ボケ中ボケの期間を過ぎて6年もたつと回復できない大ボケ(世の中ではこれをボケたというわけです)になります」
そして
「脳を使うということは、三頭立ての馬車を動かすようなもの」という説明とともに使ったのがこの図です。

「どんなに立派な馬を持っていても、馬車を動かすカギは、御者である前頭葉の働き方如何にかかってます」
「前頭葉は自分らしさの源。イキイキとした楽しい生活は自分で工夫して(工夫も前頭葉機能)見つけるしかない。自分が『よし!自分らしく生きている』と思えるような生活をしなくては、それは認知症への道を選んで進むようなもの」

こういう話をしようと思います。そしてもうひとつ。

ただ長生きさえすればいいのかどうかも、じっくりと考えていただきたいと思っています。日本一、体も脳も元気な小布施人であってほしいと思います。


おめでとうございます。

2021年01月02日 | エイジングライフ研究所から
ここ静岡は申し訳ないほど、晴れ渡った新年を迎えました。

今年の初もうでは、十足にある引手力男(ひきたじからお)神社にお参りしました。とても珍しい神様だそうで、そのうえ文武天皇や役小角の名前がご由緒に書かれているという歴史ある神社です。昨今隠れたパワースポットとして人気があるそうです。

あけ放たれた拝殿にはお神酒が用意されていました。ここでは頂かないで、家にもどって、夫婦二人でお屠蘇を酌み交わせば、ほら一応お正月らしい気分になってきます。

余りにも手抜きでお重箱の中は見せられないというのが、正直なところ。
友人宅のロウバイ

子どものころのお正月(を迎える準備)は一大イベントでした。家族それぞれがお正月を迎えるために気忙しく立ち働き、掃除料理に励み、春着だけでなく食器や箸、歯ブラシまで新しくなりました。
町も店も全部お休みになるのですから、準備も必要だったのはいつくらいまでだったでしょうか。昨今は元旦から開いている店があるのですから、準備も簡単になって当然です。
逆にコンビニ店主が休めるようになったというニュースもありましたね。少しの不便をみんなで分け合うことも大切です。
我が家の水仙

頂いた多くの年賀状に「コロナが収束しますように」との文章が添えられていました。私は「三密回避は認知症の温床」ということばを入れた年賀状を作りました。

(住所など省略させていただいてます)
今年は年賀状をネットで送ってみようと思い立ち、挑戦してみました。あくまでも自作の年賀状を添付して送りたかったのです。
ワードで作って、ペイントで画像にして添付する。もっと簡単な方法があるのかもしれませんが、それぞれの段階で試行錯誤の繰り返し。実は大変でした。でも目的を達することができた満足感はひとしおでした。
ネットでつながっていない人も多くいます。高齢者にとってはネットは不可欠のものなのですが。
富士山がきれいといってくださった方がいます。上の年賀状の富士山は11月の山中湖。
12月25日というのに富士山に雪が全然ない!

年末には、木星と土星の超接近のニュースもありました。日没ごろの南西の低い空という情報を頼りに、探してみたら発見できました。真ん中に縦線を引いて、そのうえから2/5くらいのところに白い点が見えます。

大きくしてみたら、なんと二星見えるのです。ごく普通にiPhoneで取った写真です。上が土星。毎日見ていると土星がだんだん木星の右に移ってきました。
約400年ぶりというのは置いておきましょう。この次は60年後…今しか見ることはかなわないという圧倒的な事実は、宇宙の大きさや神秘とともに深く心に染み入りました。

コロナ下ですから、子どもも孫たちも帰省はありません。
「寂しいですね」といわれて、もちろん会いたいのは当たり前ですが、そんなに寂しくないことに気づきました。
そして思いつきました。ネットでつながっているのでした。
働き盛りの息子二人。電話でおしゃべりすることは稀ですが、ネットのレスポンスは早い!ここに鍵がありそうです。

たまたま、長男の投稿を見ていたら、自分がかかわっている関連企業のトピックスに対し「一歩一歩」との一言コメントを付けて紹介しているのを見つけました。1か月に4回も。
そこで、私はスモールプレゼントと書いてこの写真を送りました。

2007年三重県尾鷲市に行ったときにバスの中から撮った写真。丸山千枚田というところのバス停です。
最初の「一歩一歩」で、このバス停のことを思い出しましたがいつ投稿したかわからず、あきらめてしまいました。あまりにも「一歩一歩」が続くので探すことにして、2005年の初投稿からチェックしてみました。2007年7月にありました。
こんな便利なネット社会。その世界を実にアナログな方法で探すというのも面白いでしょ。内容も面白いものでしたから興味ある人はどうぞ。
器質と機能-形と働き(続)
葉ボタン

この1年、仕事でもZoomの会議をし、学校でもネットを介した授業をすることを余儀なくされて、多くの工夫がなされたことでしょう。そして便利なツールに育ったことは否めません。
だからこそ、生身の人間関係の大切さにも思いを馳せておきたいと思います。
メールを便利に使いながら、情報のやり取りが単純化してしまうことに気づいてきました。例えば文章でもできるだけ簡潔にというか簡便に書いてしまいます。そしてハタと気づく、左脳のことばだけでは情報不足だということに。
もちろん私だけではありません。その結果、顔文字やスタンプが多用されるようになりました。それを加味することで、簡単な文であってもくすっと笑ったり軽く受け流したりできることは皆さん実感されているでしょう。顔文字、スタンプは当然右脳を中心にした情報処理が行われます。
つまり、私たちは右脳情報である感情を伝えたいのです。
伊豆大島の朝焼け

「ありがとうございます」と書くだけでは、おざなりのお礼なのか、心からのお礼なのか。軽く挨拶してるだけなのか、恐縮した気持ちが流れているのか。びっくりしているのか、当然ととらえているのか。何もわかりません。
生で対応している時を想像してみてください。その場に湧き上がってくる感情を、声の調子や高低や大小、それに身振りを加えて当たり前のように相手に伝えます。
この右脳がらみの情報を、言葉の解釈とともに前頭葉が判断し、その場その場で刻々と変わる状況判断をし続けていくのです。そこには、必要条件として血の通った人間関係が求められます。
省略できるのですよね、ネットでは。その危険性に配慮しながら、ネットの力を利用したいものだと思いました。

by 高槻絹子

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