脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

7月の右脳訓練④-港区立歴史資料館

2024年07月30日 | エイジングライフ研究所から
東京での歯科検診のついでに、首都圏在住の友人と一緒に一泊二日の旅程を組んでの東京プチ旅の報告記。
一日目は歌舞伎を見に行きました。「星合世十三團」。團十郎十三役、早替りや宙乗りその他にも新しい取り組みもあって大満足。
7月の右脳訓練③-七月大歌舞伎
さて二日目は、これこそメインの絶対外せない歯科検診。10時半に終了します。「二日目は、考えておくからね」という友人のことばに全面頼りっきりでお任せでした。一緒に日本橋の歯科まで行き一時間の検診を待ってくれた友人から
「港区立歴史資料館で、江戸時代の古地図と現在の比較というのをやってるけど、興味あるよね?」「はい、もちろん!仰せの通りにいたします」

東京に行っても、乗り物はだいたい同じようなものですが、この友人と一緒の時は初めての路線をよく使うことになります。最寄り駅は白金台駅。グーグルマップに頼り切りで到着!スムーズに行けますが、昔のように色々路線を調べたりしていく方が学習効果は上がると思います。

地下鉄の駅を出たら広くて交通量の多い目黒通り。そのクラクラするような暑い目黒通りから30mくらい引っ込んだところに、工事中でしょうか塀があって「正面は左」と掲げられていました。そして曲がって私たち二人とも唖然としてしまいました。





これが港区立歴史資料館。まったく想定外。こんな歴史的建造物とは思ってもいませんでした。
この建物は、内田祥三設計で昭和13年に竣工された旧公衆衛生院を改修して、歴史資料館、公民館、学童クラブその他の複合施設として活用されているのです。
とにかくまず熱中症予防のためにカフェに行って飲み物をいただきます。ここも室内に貼られたタイルが特徴的な旧食堂を生かしたものでした。ノートパソコンを持ち込んで仕事をしている人や、夏休み中の子どもと一緒に勉強している親子連れもいました。

一息入れて、特別展を楽しむことにしました。

歴史的に考えてみれば、港区は面白いエリアです。大名屋敷もあれば、庶民の生活場所もあります。寺社も多いらしいです。魚が上がる港もあるし、何より鉄道が通ってます。
そして考えると、長男の会社は南青山の根津美術館のそば、次男の家は西麻布で孫たちは笄小学校に通いました。目印があるので江戸の古地図と現在の比較は容易くできました。



2階が特別展、3〜4階が常設展。写真禁止が多くて、なかなか雰囲気が伝えきれませんが…せめて常設展会場の雰囲気を。

他所に住んでいる高齢者の私たちでも、結構ワクワクする時間を楽しんだのです。
大規模な貝塚を再現しているコーナーもあれば、明治以降の文化的変化を説明しているコーナーもありました。
例えば「雑魚場」という名前に「ちょっと酷くない?」と笑いながら説明を読み進めると
江戸前期より、本芝・金杉の漁民達は東海道で雑魚を中心とした市を立て鮮魚を商いました。芝の名を冠した「シバエビ」 漁が代表的漁業でしたが、幕末以降衰退して海苔の養殖場へ変わり、昭和37(1962)年、遂に漁業権を放棄しました」とっても納得!
港区在住の子どもたちなら、身近に惹きつけて港区の現在と歴史を感じることができるだろうと思いました。
建物も味合うべきものだと思いましたからゆっくり見学。設計者の内田祥三は東大建築学科の教授です。東大の安田講堂をはじめ本郷キャンパスや駒場キャンパスの建物は氏の代表作ということも初めて知りました。

改修時に多くの賞を受賞しています。多分残せるところを最大限残して、今の人たちが使える形にしたところが高く評価されたのだろうと思いました。
中央ホール





吹き抜けそのものが豪華なうえ、床は白黒の石材、手の込んだレリーフが素晴らしい。
旧講堂は340席の階段教室です。





ステージ横の柱を飾るレリーフは左側に羊紋様、右側に鴫紋様(多分)。
二人で見ていると「あれは何かしら?なぜ選ばれたの?」など、答えが出ない会話で盛り上がります。
一際目を惹かれたのはこの時計。レリーフともどもこの講堂ととてもマッチしているのです。

満足感に浸りながらそろそろ帰途につくことにしました。暑さも覚悟して目黒通りへ出たところにこの看板が。行く途中にも気づいていたのですが、館内の説明で内田祥三がこの建物も設計したことを知りました。医学と並ぶものとして公衆衛生が考えられていたということでしょう?この看板だけはどうしても撮らなくっちゃあ!
わたしのブログは、友人たちと認知症予防活度に携わっている保健師さんたちに読んでいただきたくて書いています。
保健師さんから「時間ができた時の、遊び方の参考になります」と言われるとちょっとうれしい…
情報のアンテナを立てて、自分のできることを逃さないように、人生を楽しんでいってほしいのです。
そのことが認知症予防に直結することを、二段階方式を使っている保健師さんなら実感できるでしょう?高齢になってもイキイキとしている人たちは、人から何と言われようとも自分が認めることができるイキイキとした生活を必ずしています。
それができなくなる時が、認知症への第一歩。前頭葉の活躍の場がなくなって老化が加速され始める…

「自分がイキイキできるのはどういう時なのか」これは生き方の総決算と言えることでもあります。認知症の究極の予防は、生まれ落ちてからどのように「脳」を育ててきたかにかかっていると、私は思っています。

by 高槻絹子








7月の右脳訓練③-七月大歌舞伎

2024年07月27日 | 私の右脳ライフ
歌舞伎を見に行くということになると、鑑賞したい演目が先にあるものでしょう。高校の後輩T田T子さんは、ちゃんとファンの歌舞伎俳優がいて、北九州在住ですから博多座、小倉城での特別公演、もちろん上京して東京公演も楽しむという歌舞伎通の王道を行ってます。いわゆる追っかけ(笑)
北九州と東京で歌舞伎鑑賞
私は違います。
だいたい歯科検診の空き時間に、歌舞伎や文楽を楽しんでいました。歌舞伎は一幕見から始めましたが、数年前からは歯科の予約が決まった時点で公演情報をネット検索するようになりました。
直近の歯科検診は7月22日9時30分。歌舞伎座だと團十郎七月大歌舞伎。新橋演舞場は七夕喜劇。
喜劇より歌舞伎を楽しむとすれば、歌舞伎座の前日11時開演一択しかない。

まあ、だいたいこんな調子で観劇プランは出来上がるのです。
そんないい加減なスケジュールでも、喜んで乗ってくれる友人に恵まれているのがラッキーですよね!
「ちょっと早く行って、歌舞伎が始まる前につれて行きたいところがあるの」と早めの待ち合わせをして歌舞伎座ツアー開始。
これが晴海通りに面している、普通の歌舞伎座の顔。

視点を変えると、歌舞伎座は高層ビルの一部なのです。

晴海通りから見える歌舞伎座の屋根の奥に屋上庭園があることを知っている人は少ないようですが、カフェも併設してあって結構穴場です。
実は新しい歌舞伎座になった時には、歌舞伎座探検もやってみました。



早すぎてカフェはまだ開店前でした。前回行った時の店内からの景色。

この写真から庭園の場所がわかりますか?庭園の階から歌舞伎座の屋根がこういうふうに見えます。

さて肝心の團十郎の7月歌舞伎。圧巻の早替わり迫力の宙乗り「星合世十三團」

緞帳のデザイン、大観の富士は見事でした。

事前情報で、團十郎の早替わりと十三役が見どころと承知していました。
最初は早替わりを承知していてもその素早さに、思わず声が出てしまいます。見る方は勝手なもので、早替わりが続くと「もう少しゆっくり筋を楽しみたくない?」と囁いてしまいました。
でも、色鮮やかな舞台装置やその転換。宙乗り、立ち回りのような伝統的な見せ場以外にも新しい取り組みが随所に見られて、最終的には「すごいね!ラスベガスのスペクタルショーみたい」
「それなのに、戦いで亡くなった人への弔いの気持ちが迫ってくるよね」と二人とも大満足。
團十郎のファンではなくとも、これだけの舞台を一人でこなしていく体力、精神力には脱帽でした。プロデュースもしたでしょうからその力量も評価してあげたいと思いました。
前回鑑賞した寺島しのぶ主演の「文七元結物語」はしんみりと心情を伝える舞台でした。それもよし。
感想としては「歌舞伎は奥深いけど、楽しい」と言ったところでしょうか。

by 高槻絹子


7月の右脳訓練②-諏訪市佛法紹隆寺 

2024年07月26日 | 私の右脳ライフ
蓼科聖光寺に連れて行ってくださった友人が「諏訪の佛法紹隆寺にも行きませんか?素敵な普賢菩薩様に会いに行きましょう」と誘ってくださいました。

よほど断る理由がない限り、お誘いには乗るのが私の生き方です。特に初めてのところだとワクワク感が湧き上がってきます。
聖光寺から車で30分も行ったでしょうか、諏訪湖畔、旧甲州街道沿いの小高い丘の上に紹隆寺はありました。




山門まで進むと、諏訪の街並みが眼下に広がります。明治の神仏分離の際には諏訪大社のお守りをしたというのも納得のロケーション。
拝観のためのパンフレットに目をやると、806年坂上田村麻呂開山!という歴史にまず驚きました。
檀林所(僧の学問所)であった時代には、信州4ケ寺中筆頭と言われたことや、江戸時代には諏訪高松藩主の祈願寺であったことなど由緒ある大きなお寺であることがすぐに納得できました。
境内には天然記念物でもある夫婦イチョウの巨木やいかにも樹齢を重ねた感のある欅が、寺の長い歴史を語っていました。



山門のそばの菩提樹が花盛りで、初めて菩提樹の花を見ることができました。

境内案内図に従って見学します。

まず普賢堂から。

私たち以外誰もいないお堂で普賢菩薩はお約束の象に乗っていらっしゃる。真面目にご挨拶をすませた後、ムクムクと「教えてもらいたいこと」が湧き上がってきます。同行者たちは、お経をあげたり「一休みします」と横になる人もいて、ほんとにゆったりとしたお参りでした。尋ねることはちょっと憚られる雰囲気です。

話がちょっとそれます。
「携帯があればどこでも検索ができる」実感を持っている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
年若い人たちが検索するスピードの素早いこと。
私たちの世代だと、話の最中に携帯を開くことにはちょっと抵抗がありましたが、最近はあまり抵抗がなくなった人が増えてきているようです。
普賢堂横にウバユリが。

若い人が、生のコミュニケーションではなくラインなどを使う方を好むと聞くと、それはちょっと危ない方向に進んでいるような気がしますし、絵文字の多用を「おじさんorおばさん」「昭和(古くさい)」と鼻であしらうような若者の弁を目にすると不安は募ります。
スタンプや絵文字は、どう考えても嬉しいとか困ってるとかの右脳情報を加味したい気分の表れだと思うのです。それは、コミュニケーションは左脳が分担する論理や言葉と、右脳が分担する感情や気分の両方を前頭葉がコントロールすることで成り立っているという前提が共有されているからでしょう。言葉のやり取りだけでは日常生活で行われる生のコミュニケーションは成立しないことを肝に銘じて欲しいと思います。

TPOのわきまえは必要ですが、携帯の検索機能は便利です。今回も「教えて欲しいこと」を自力で解決できました。
釈迦三尊をいろいろなところで拝観(美術館だと拝見でしょうか)しました。それを整理したかったのです。
釈迦如来の左右の脇侍は、多くは右脇侍(向かって左)普賢菩薩と左脇侍(向かって右)文殊菩薩。あくまで釈迦如来の左右に基づいている。
普賢菩薩は象に乗り、慈悲を説く。
文殊菩薩は獅子に乗り、智恵を代表する。
その検索中に「勉学による智識の『智』だけでなく、生活をしていくために必要な全般的『智』」という表現に出会い、膝を打ちました。前の『智』は左脳の働き、後の『智』は前頭葉機能を意味しています。
おもしろい!
お堂の正面には、こういう案内が。とにかく世の中が大きく変わっていっているその只中に、私たちは生きています。美術展でもQRコードで解説する方式が増えてきています。とても便利ですから上手に取り入れて生活技術をあげて行きたいと思います。


それから宝物殿で運慶作かと言われている不動明王像を見ました。伊豆には願成就院に運慶作の仏像が5体(すべて国宝)あって友人をよく連れて行くので、不動明王像は何度も拝見しています。像の大小だけではない印象の違いがあるような気がしましたが、何の確信もありません。
それから安土桃山、江戸、明治大正の庭園を巡りました。ちょうど庭木の手入れ中で、庭園の維持にも大変な努力が必要だと感心しました。





思いがけない、豊かな時間を過ごし辞去するときに誘ってくださった友人が「いい言葉がありますよ」と声をかけてくださいました。

ほんとに!
蓼科諏訪って、自然も歴史も食べ物も心惹かれる素敵なエリアでした。

by高槻絹子






7月の右脳訓練①ー蓼科山聖光寺護摩焚き

2024年07月24日 | 私の右脳ライフ
蓼科聖光寺。去年に引き続き柴燈大護摩供に参拝し、火渡りに参加させていただきました。
重ねて参拝していろいろなことがわかりました。どうして去年は分からなかったのかと不思議なほどです。
奈良薬師寺の別院ですから「まだまだ新しいお寺です」とご挨拶の時におっしゃいましたが、大きな社会問題であった交通事故撲滅のためにとトヨタが聖光寺を創建したのが1970年。なんと私たちが結婚した年ですから、人間の尺度で言えば十分な年月です。
護摩焚きが行われる区域はしめ縄が張られていました。御幣は五色。白、赤、黄、緑、紫…きっと何か意味があるのでしょうが、お聞きできませんでした。去年は全然目に入らなかったのです。その気になると御幣が見つかると思います(笑)。









お経や祝詞や皆さんが心を込めた法要が始まります。






法要が始まる前に、護摩木に願いを書いて名前と年齢(数え)を書きます。去年は年齢を書くことを知らないままでした。気持ちとして、300円供えます。
山伏の方々が、一枚ずつ持ち上げて祈念してくださって、護摩焚きの火が燃え盛った後に火の中に投じられます。
そして、十分に水を含ませた大きな材木を使って火を沈めて、いよいよ火渡り。

御歳96歳の松久保秀胤長老が「恐れを感じる人は渡らないように」とお話しされました。参拝された方はほとんど渡られたのではないでしょうか?
護摩焚きはあっても、火渡りまでさせていただけるところはほんとに少ないらしいですから。
僧侶の皆さんの後、トヨタの豊田会長、佐藤社長をはじめとするトヨタ関係者。
「下を見ずにまっすぐ前を見て。ちゃんと祈念するのですよ」この注意も去年はなかったような。
護摩を焚いた幅は結構広いので、足元はほんのり暖かく、作られた道の左右端はもう少し暖かい程度で、決して「心頭滅却すれば火もまた涼し」というようなものではありません。
渡り終えると、お餅とどら焼きのお下がりをいただきました。去年のことは全く記憶にないのです。
その後に破魔矢を5本射ります。多分東西南北に鬼門でしょう。
今年は、その破魔矢をいただけることになりました。とってもラッキー!という気持ちになるものですよ。

護摩焚きに引き続き、萬燈供養会が行われます。境内の萬燈のゆらめきの中、廻向功徳観音を前に声明が上がり、参拝者が焼香して交通事故で亡くなった方々に回向を手向ける。50年以上も繰り返されてきた法要です。

天気予報はそんなに良いものではなかったのですが、松久保老師がお出ましになる時には雨は降らないと言われている通り、お天気に恵まれた法要でした。敬虔な気持ちになりました。

by 高槻絹子


料理をしながら脳の活性化

2024年07月17日 | 前頭葉の働き
ことの発端は「うちの畑で取れました」と空芯菜が届いたことです。空芯菜は夫の大好物。スーパーの棚で発見しても、お店のメニューで見つけても、ゲットの方向に突き進みます。もちろん大喜び。
友人のご好意、夫の期待に応じることにして「ちょっと丁寧に作ってあげましょう」と普段は省略している空芯菜の下拵えをする道具を引っ張り出しました。
ほんとに久しぶりだったので、ここで大失敗。
最初の一本「こんなに使いにくかったはずはないのに…」と戸惑ってしまい、試行錯誤。
実は、それほどあれこれはしませんでした。差し込む方向が間違っていただけという単純すぎる間違いで、一人だけで笑うのはもったいないですよね。
葉を取り避けた茎の中に金属棒を差し込めばいいのです。まるで空芯菜麺です。

それからニンニクスライスで香りをつけた油で炒めます。普通はオイスターソースや塩味でまとめるのですが、ちょっとこだわってみました。
ハラール認証はちみつ醤油。

これは立命館アシアパシフィック大学に在学していたイスラム圏からの留学生と地元フンドーキン醤油株式会社とのコラボでできた醤油です。
長男の会社では、日本の優れたものづくりの力を生かして、東南アジアのムスリム人口が求めている食品その他を、供給する仕組みを構築してきました。その一環としてのハラール醤油ですから大切に使っています。

最近は空港や一般のお店でも、この日本ハラール協会のハラール認証マークを目にすることが増えてきました。
丁寧な空芯菜炒め、完成!

肝心の夫の感想ですが、残念なことに「普通の方がいいなあ」ザクザク切って炒めるだけの手間要らずなんですが。
残念な結果に終わったのですが、作っている最中はあれこれ思い浮かべて楽しかったので、格別のダメージは受けませんでした。
考えてみると、食事作りは脳の活性化には有効ですね。
脳の活性化のために有効だと勧められているデュアルタスクの例として、料理作りがあげられています。その内容は「歌を歌いながら料理をする」と言うものです。
実際に料理をする人はわかると思いますが、外から見ると料理をしているとしか見えない場合でも、脳の働きから言えば、デュアルどころではなくいくつもの条件を立てては、選択を繰り返していくと言う作業が含まれています。歌は歌わなくてもいいのです。
ただし料理をすることに意義を認め、楽しみも感じながらという条件。が必要になります。喜びもなくイヤイヤやらされているというような状況では、歌を歌ってもとても脳は活性化されません。

石窯焙煎コーヒーを飲ませてくれる伊豆市戸倉グリーンポケット。ランチも美味しく最近はよく行くのです。
グリーンポケットのディル

先日行った時に「ディルの花は美味しいんです」とサラダに飾ってありました。我が家にはディルはないけど、フェンネルならある。ディルを真似てフェンネルの花をジャガイモ料理に使ってみました。ウインナの上にちょこんと乗っています。

模倣とちょっとした応用編。ジャガイモ料理を作る時、私の前頭葉は活性化していたと思います。

友人が桜島の芽ヒジキを送ってくれました。この珍しい食材を前に、私の前頭葉はちょっとふざけたがりました。

この小鉢を作ってすぐに友人に写メールを送りました。「芽ヒジキの上に、オカヒジキ」
さっそく返信。「あれれ〜ダブルヒジキだね~。
美味しそう。海が近いと少しは涼しいですか?」と会話が広がりました。

こういう姿勢は大切だと思います。自分なりの喜びや楽しみを、いつでも見つけようとする姿勢は、イヤイヤ歌いながらイヤイヤ料理するよりも、何倍も脳をイキイキさせてくれるのですよ。
もちろん料理に限りません!前回記事で紹介した好子さんのように居心地の良い居場所作りだって同じこと。人生をいかに肯定的に楽しめるかということだと思います。

by 高槻絹子





生きがいとしての「自分らしい居場所作り」

2024年07月12日 | かくしゃくヒント
87歳になる友人宅を約束もせず訪問しました。山と水田に囲まれた田舎です。
奥が母屋手前が友人の家です。
かれこれ10回くらいはお邪魔したことがあると思いますが、伺うたびにそのセンスの良さに最初は感嘆、続いて心が洗われるような居心地の良さに浸ります。
母屋の玄関と向かい合わせに玄関があります。

玄関からすぐの客間。

一つ一つの飾り物から目が離せません。しかもそのほとんどが自作のさまざまな刺繍の作品なのです。

右の方向に目をやると、刺繍作品をタンスにしあげてる
アンテークの人形をお茶帽子に。人物写真のような刺繍作品。

角度を変えて見るとこういう感じです。

客間の奥には台所や居間があります。
台所も季節感あふれる自作の作品を生かしたインテリアが。

女子会を楽しんでいるところをパチリ。

トイレでも素敵なしつらえを発見しました。

紫陽花が何ヶ所にもいけられていましたが、そのセンスの良さに脱帽。

高齢者にとって「認知症になりたくない」という願いは切実なものがあると思います。
実はその答えはごく簡単。私たちは以下のように言います。
「認知症になるかならないかは、生活ぶりで決まります。生活ぶりは脳の使い方という意味ですよ」
「生きがいや趣味や交遊を楽しみ、運動も欠かさない」
「変化のある楽しい生活」
「自分らしくイキイキと生きているという実感が必須」
このような生活を目指しましょう。

私たちが生きているということは、デジタル情報を担当する左脳、アナログ情報を担当する右脳、そして体を動かす運動脳からなる三頭建ての馬車が動いているということです。
三頭建ての馬車が動くためには御者が必須。状況を判断し、決断を下し、行動を起こさせる。状況変化に応じて行動を抑制するのも御者の役割です。
脳の場合だと御者の役割を担うのは前頭葉です。
時を経ると馬車が古びてくるように、私たちの脳の働きも加齢とともに低下は否めません。物忘れしたり、テキパキことが進まなかったり。これは誰にでも起きることで正常老化です。
認知症は、この道筋とは違います。日々の暮らしに生きている実感や生きたい気持ちもなくなってただただ生きている。前頭葉の出番がない日々が続くところから始まります。御者が命令を出さないなら三頭建て馬車は動きません。使わなければ馬車はだんだんと朽ちていきます。脳だと正常老化を超えて働きが悪くなっていく。それを廃用性機能低下といいます。

廃用性機能低下を起こさないようにと、上記赤字で書いたことをお話ししてあげても
「生活に追われて趣味等するゆとりがなかった」
「もともと友人はいない」
「付き合いして問題が起きたら嫌だから」
「運動は苦手または嫌い」
「もう歳だから、普通に過ごしていれば上等」
「もう歳だから、わざわざ新しいことなんかする気もない」
「もう歳だから、一通り家のことがすんだら、テレビか居眠り」
「もう歳だから、転んでも困るしなるべく外には行かない」
「もう歳だから、おしゃれも面倒くさいし外へは行かない」

まあ次々と理由が出てくること。
馬車の状態を思い浮かべてみましょう。御者の出る幕をわざわざ引いてしまっています。こういう生活を続けていると脳の老化が加速されて6年もたつと、だいたい世の中で言われる認知症になります…

確かに趣味がない人もいる。人づきあいが苦手な人もいる。運動音痴の人もいる…
でも、体がとにかく持つようになった現在、体がもつ限り脳も持たせる必要があるのです。幼い時に知育に偏るのではなく脳全体を上手に育てるということが、将来の認知症予防につながるという壮大な提言を皆さんはどう聞いてくださるでしょうか?
高齢期は喪失の時代。仕事との別れ、友人や肉親との別れ、抗いようもない能力低下。視覚や聴覚だけでなく体力や運動能力の低下。それ以上に正常老化の範疇に入るとはいえ、たまに愕然とさせられる脳の能力の衰えなど。
まず、どうしても必要なことは自己肯定力を持つということですが、それこそ乳幼児期からの育みで生まれるものです。

ところで、老年期を生きるときに、「生きがい」があることは認知症にならないための大きな力となってくれます。
そしておもしろいことに「生きがい」は、自分で決めるものですね。
他者の評価とは関係なく、自分が肯定できる自分なりの生きがい。それを持てるかどうか。ここから認知症と正常老化の決定的な差が生まれます。
高齢になって、なお家族の食事作りをしている時、「この歳になってまだ食事作りに追われるなんて」と思う人もいれば「家族の喜ぶ顔を励みにがんばる」と生きがいにできる人もいる。
自治会の清掃活動に文句がある人もいれば、道のごみ拾いを喜びにする人もいる。
皆からあきれられるほどボランティア活動に励む人もいる。
もちろん趣味やそれを通じた交遊こそ生きがいと公言する人もいる。
健康で長生きをすることに目的を絞っている人も、孫の成長が楽しみな人もいる。

話は最初に戻ります。
私の87歳の友人が、彼女の感性に彩られた居心地のいい空間に生活をしていました。この彼女らしい彼女でないと実現できない生活ぶりを続けていくことそのものが生きがいになるかもという思いはお茶をいただきながら、どんどん確信にまで高まっていきました。
そこで、言いました。
「好子さんはほんとに素敵に生てる。自分らしいこの空間。思い出の作品たち。季節感を取り入れたインテリア。これを実現するためにたくさんの心配りがいるでしょう?それが脳をイキイキさせる。ただ高いところとか重いものとか難しくなったら、工夫してご家族に甘えてね。楽しくやり続けることができれば脳は持つ!」
「あら。認知症にならずに済むのにたったそれっぽち?それでいいのなら、できると思う!」
「あのね。好子さんにはできることでも、別の人にとってはとってもハードルが高いことよ。自分
が納得のできる生きる喜びは人によって違うから」楽しい会話が続きました。
「リハビリ教室に行きはじめたので、ちょっと気を使うようになったんです」とコーディネートされた洋服やポシェットを見せてくれました。


「同じ図案を使ってしまってボケちゃったのかと気にしてました」
いえいえ。糸も生地も変えてあって全く別作品でしたよ。前頭葉全開です。



お話も楽しかったですね。豊かなひとときでした…またお邪魔させてください。
by 高槻絹子






「アルツハーマー型認知症はアミロイドベータが原因」なのですか?

2024年07月02日 | エイジングライフ研究所から
ネットニュースを見ていたら、以下に青字で書いた記事を見つけました。
6/30に投稿したばかりですが、もう一度。
「アミロイドβが認知症犯人説はどう消えていくのか」

The Japan Times Alphaの記事(英文を和訳)
「アルツハイマー病、血液検査で予測可能」
日本の研究者たちは、アルツハイマー病を引き起こす異常なタンパク質の有無を血液検査で調べることで、アルツハイマー病の発症を高い確率で予測する方法を確認した。東京大学の研究者たちのグループは、この発見を医学誌『アルツハイマーズ・リサーチ&セラピー』で5月23日に発表した。類似する発見はすでに発表されてきたが、最新の研究結果は、人種や民族にかかわらず、この方法が機能することを示していると研究グループは述べた。
タイニーマイス

この記事の前提は、「アミロイドベータを除去する創薬開発に世界中で60兆円も掛けた結果、すべて失敗に終わった。実はアミロイドベータは発症の何十年も前から溜まり始めていることがわかった。溜まってしまったアミロイドベータを除去しても効果がない。ならばできるだけ早期にアミロイドベータがたまらないように手を打てば、発症しない(はず)」というものです。
だから早く見つけることができれば効果が見込めるうえに、この研究によって世界中の人たちを対象にできることになって、救える対象者も膨大になるし大きな利益にもつながるだろうということです。


はて?
「認知症を発症させるのはアミロイドベータ」説は万全なのですか?文頭にあげた二日前の記事で書いたようにこれはもともとあくまでも仮説。しかも根拠となる論文に改ざんが見つかってしまっている状態ですよ。


日経新聞web版
「エーザイ、認知症の「本丸」狙う新薬 米で30年度にも」
エーザイはアルツハイマー病の症状を引き起こす「タウ」と呼ぶたんぱく質を標的とした新薬を開発する方針だ。新薬候補物質について安全性を確かめる小規模な臨床試験(治験)を進めており、米国で2030年度をメドに実用化する。タウを標的にする新薬開発は難しい一方で高い効果が期待されている。
以下、アルツハイマー型認知症発症の機序、アミロイドベータとタウ蛋白の関係、タウ研究の経過の解説は省略。
世界の大手製薬会社がタウを標的にした新薬開発に入っていること。エーザイは世界で唯一、承認されている治療薬レカネマブを持つため、レカネマブと今回開発を目指す新薬の組み合わせに商機を見込み、「アミロイドに続き、タウを標的とした治療薬を実用化できればアルツハイマー病の治癒も視野に入ってくる」と期待を寄せる。
アルツハイマー病を中心とした認知症の患者数は23年時点で世界に5500万人以上いる。エーザイは既存の治療薬レカネマブについて販売地域の拡大を進め、レカネマブだけで32年度に売上高1兆3000億円とする目標を掲げる。タウを標的とした新薬が実用化できればアルツハイマー病治療薬の売上高のさらなる上積みにつながりそうだ。

日経新聞ですから経済に軸足を置いた記事ではありますが、なんとなくこれで認知症の治療薬がどんどん開発されていくだろう。一歩先んじたエーザイも安泰だろう。などなどと明るい未来が見えるような気になってきます。

はて?もう一度繰り返させていただきます。
「認知症を発症させるのはアミロイドベータ」説は万全なのですか?文頭にあげた二日前の記事で書いたようにこれはもともとあくまでも仮説。しかも根拠となる論文に改ざんが見つかってしまっている状態ですよ。

なぜこのような展開になるのか、私にはさっぱりわかりません。
それより、皆さんがなんとなくではあっても確信している「生活ぶりにこそ認知症になるかならないかのカギがある。イキイキと自分らしく楽しく生きている高齢者はみんな元気」ということを正しいと保証する「権威」は出てこないのでしょうか?
by 高槻絹子



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