友人から誘われてMOA美術館の「光琳 国宝『紅白梅図屏風』✖️重文『風神雷神図屏風』」を鑑賞してきました。行きたい展覧会だったので渡りに船と喜んで!
最初に行ったのは、光琳の「紅白梅図屏風」が毎年2月に展示されるというニュースを聞いたその翌年だったか長男次男ともにまだ小学生だった頃。もう40年以上も前になると思います。
当時住んでいた磐田から熱海まで東名高速を使って大体2時間でしょうか。
「運転が下手だから静かにしてね」と頼んだら本当に静かにしてくれたこと(下手だったんでしょうね)。入口が山の斜面の巨大なエスカレーターというところから度肝を抜かれ、登りきったところにあるホールはまるで異世界に足を踏み入れたよう。ムーア広場から見た相模灘。当時は今ほど整っていませんでしたが、それでも地形を生かしたシャープな設計は基本的には今と変わりません。そのセンスと先見の明には脱帽です。
そしてお目当ての紅白梅図屏風!モダンで大胆なデザインに「これが琳派」と感動しました。
もうひとつの国宝色絵藤花紋茶壺はその時に見たのでしょうか?
記憶は曖昧…でも多分その時は紅白梅図屏風だけだったと思います。ただご安心ください。最近は常設展示になっていますよ。
昔のホールはレーザー光線だったかな?
ムーア広場からの相模灘は何も変わらず、穏やかな秋の初島や大島。伊豆半島に目をやれば大室山、小室山がのぞめました。
MOA美術館訪問が初めての友人だったので、型通り秀吉の黄金の茶室から始めました。
私は、遠くから来る友人のために何度もMOA美術館にはきています。それでもいつも「ああ!そうなんだ」という気づきがあります。
今回の気づきは、風炉などの皆具は「金張」と思っていましたが、「純金」ですって!
「金には赤が似合う」と利休が決めたそうですが、障子紙ではなく、絹織物ということも教えていただきました。確かに組み立て式茶室ですから紙では不都合です。
ロビーを抜けて特別展の展示室に入って行きますが、このロビーも数年前の杉本博司監修のリニューアルで一新しました。よく気を付けてみると椅子の脚は杉本博司らしいガラスです。
さあ。本題。
実は今まで行った中で一番混んでいました。屏風のところは人だかり。なかなか写真が撮れません。11月に三男(自称)夫婦が帰省してくれたのですが、その時「ぜひMOA美術館に行くように」と勧めました。オッケーをもらってその時に送ってもらった写真を使いますね。
並列でないところがいいでしょう?
まるでカタログ写真のように撮れています。
風神雷神図。これは宗達の風神雷神図を模写したものですが、二神を画面内に収めるとか雲を黒く強く表現するとか光琳らしく工夫がなされているそうです。
光琳の落款。
宗達の風神雷神図屏風を、京都建仁寺で見ましたが、考えたらそれは
キャノンの高精密デジタル複製でした。複製なので、あるべきところに裸のままに置かれていて、美術館で見るのとはまた違う迫力がありました。
今回の展覧会で私が撮った写真はこんな感じです。どうしても人が入る…ビデオのところでこんな迫力ある画面に遭遇しました。
光琳の虎図屏風。可愛すぎる。デザインもおもしろい。
宗達の龍虎図。龍に比べてやっぱり虎は可愛い。
龍は最初から想像上のものですが、虎は見たことがないので、どうしても猫っぽく可愛くなるのでしょうね。
多分一番有名なのが、和歌山県串本町無量寺にある長沢蘆雪の虎図でしょう。伊豆高原で親しくしていたお坊さんが無量寺のご住職になられたのでお尋ねしました。ユーモア溢れた作品がたくさんあって心和みました。2021年訪問。
若い時には、その作品の世界だけ楽しむという見方をしていたように思いますが、歳をとってくるとその作品にまつわるあれこれの思い出がじわっと迫ってきて、脳がより活発に動き始めるような気がします。
琳派というと金箔銀箔などの派手やかな装飾性、個性的で現代にも通じそうなデザイン性というイメージが沸きますが、上の虎図のようなもの(デザインは秀逸)やむしろ素朴な水墨画もありました。
10日ほど前に小布施町に行きました。保健師さんが、おやつのお焼きの箱に、もみじを載せるというニクイ心遣いをしてくれました。
センスある女性は、昔からもみじを大切にしていたようですね!
それで思いついて、小布施町にこんな写真を送りました。見てない人も楽しませたくなります。
とにかく多くの人で賑わっていて、ランチを取るのが一苦労。お蕎麦屋さんは45人待ち。レストランは25人待ち!
そうそう、紅葉もまだまだ待ち時間が必要な色づき状態でした。下のお蕎麦屋さんの行列写真の奥の紅葉が一番はっきり色づいていたと思います。
一緒に行く人がいると、また新しい味わい方ができますね。「UKIYO-
E江戸の美人画」「北斎富嶽三十六景Digital Remix」に引き続き今年3回目のMOA美術館を堪能しました。
by 高槻絹子