「うさぎのしっぽ」???と思われたでしょう。大船渡市のパッチワーク教室の名前です。
今回の田野畑村から始まった、被災された方々への手芸用品を送る動きはまた新しい局面を迎えようとしています。今日はその報告です。
私が関わってきた岩手県と宮城県の市町村へのお見舞い電話は、8月からかけ始めました。
全く嬉しい誤算でしたが、田野畑村のように地域の高齢者が自主的に集まり、ごく自然に「何か作りたいね」というステップを迎えていたところもあれば(でも、道具も材料もない!というところから私たちの活動は始まりました)「なすべきことが山積して・・・」と高齢者に対する脳活性化の働きかけの重要性は十分に理解しながらも手付かずの町もありました。そのような町は、「今はちょっと、手芸用品を頂いても・・・」という返事が返ってきました。
大船渡市H保健師さんにも、今日また電話をしてみました。
「仮設の集会場をリストアップしてみました。数が多いんですよ。針箱もたりませんし」
ようやく仮設住宅の実態が、具体的につかめるところまできたのでしょうね。
9月半ばごろ、一関市のO寺保健師さんから
「『うさぎのしっぽ』というパッチワーク教室の展覧会が地元(千厩)でありました。きっとここも材料が不足しているはずなので送ってあげてください」という連絡がありました。
友人の友人の・・・という全く善意のつながりの中で私たちの活動は動いていますから、私もお名前を知らない方が、「ウサギのしっぽ」の代表をなさっている熊谷さんに手持ちの材料を送ってくださいました。(今週の出来事です)
びっくりしたのは熊谷さん。心当たりのない人からの荷物ですから当然ですが。
一応流れを説明させていただこうと、電話を差し上げました。
そして今、私は一番適任の方にめぐり合うことができたという思いでいっぱいです。
以下は熊谷さんの話です。
「全国椿まつりというのがあって、今年の大会は3/16から大船渡の予定でした。私はもう20年以上もパッチワーク教室をやっているので、それに合わせて県民会館で『春の花々とキルト展』をやることになっていました。ところがあんなことが起きてしまったので全部中止になってしまいました。
実は、千厩からも教室に通ってきている人たちがいます。
ソニー関連会社が閉鎖され、退職を選択した地元の主婦グループでお弁当屋さん「まんまや」を立ち上げたのですが、そのグループの中の三人なのです。その人たちから『千厩で展覧会をやりたい』という希望が出てきました。
(この間の事情は、くみんずのブログに詳しく書かれていました)
そこで100点ほどで小規模にやった展覧会のことが、一関市の保健師さんから伝わったということですね」
「実は私、ほんとに昨日のことなのですが、役場に行って仮設住宅のリストをもらってきたのです。
これから、寒くなって仮設のように狭い所に閉じこもっていたら、しなくていい喧嘩をしたり、いろいろよくないでしょ。だから私にできることを何か始めようと思って。
(そうなのです!だいいち、そのような暮らしをしていたら脳は老化を加速させるにきまってますからね)
ところが仮設住宅が多すぎて、どのように手をつけていいのか、悩んでいたところだったのです」
そこで私はすかさず、大船市のH野保健師さんを紹介して、「H野保健師さんに相談しながら、効率的なボランティアをなさってください」とお伝えしました。
熊谷さんのお話はさらに続きました。
「私は、私にできることで皆さんの役に立ちたいと思ってるんです。
もともと気仙光陵支援学校へも教えに行っていたのです。仮設にも、弟子の誰かと一緒に行って教えてあげればいいと思っていたんですよ」
「町に行くと変な気持になるんです。被害にあったとかあわなかったとか。仮設が広いとか狭いとか。そのような話ばかり聞こえます。縫物どころではないということだって聞こえますけど、でも何かしてあげたい、何かしなくてはいけないと思ったから、役場に行って仮設のリストをもらってきたんです」
「私たちは、着物をうまく生かしていただけないかと思ってるのですが。それから余り毛糸を用意してくれた知人もいますけど、いかがでしょうか?」とお尋ねしてみました。
「材料も道具もないんです。店に行っても皆がほしいものが同じなので、すぐに品切れになるし。どんな材料でもそれを生かすことはできますから!」という力強い御返事でした。
熊谷さんなら、きっと上手に私たち仲間の気持ちを生かしてくださると思いました。ほんとにいい方にめぐり合いました。
私は今月28日に千厩で講演をします。
熊谷さんにも来ていただいて、エイジングライフ研究所の認知症予防の考え方をわかっていただこうと思います。
認知症予防のために、どんなに大切なことをなさろうとしているのか、きっと自信を持って帰られると思いますから。
熊谷さんをネット検索してみました。最近はすごい世の中になりましたね。まだお会いしてもいない熊谷さんのことがよ~く理解できましたよ。
風の布・パピヨン6月20日の記事中、下の方に熊谷さんのことが書かれています。
癒しのキルト熊谷さんの写真もありました!