脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

熊谷和子さん/大船渡市「うさぎのしっぽ」代表

2011年10月16日 | かくしゃくヒント

「うさぎのしっぽ」???と思われたでしょう。大船渡市のパッチワーク教室の名前です。

今回の田野畑村から始まった、被災された方々への手芸用品を送る動きはまた新しい局面を迎えようとしています。今日はその報告です。

私が関わってきた岩手県と宮城県の市町村へのお見舞い電話は、8月からかけ始めました。
全く嬉しい誤算でしたが、田野畑村のように地域の高齢者が自主的に集まり、ごく自然に「何か作りたいね」というステップを迎えていたところもあれば(でも、道具も材料もない!というところから私たちの活動は始まりました)「なすべきことが山積して・・・」と高齢者に対する脳活性化の働きかけの重要性は十分に理解しながらも手付かずの町もありました。そのような町は、「今はちょっと、手芸用品を頂いても・・・」という返事が返ってきました。

大船渡市H保健師さんにも、今日また電話をしてみました。
「仮設の集会場をリストアップしてみました。数が多いんですよ。針箱もたりませんし」
ようやく仮設住宅の実態が、具体的につかめるところまできたのでしょうね。

2011_1009_104700p1000060 9月半ばごろ、一関市のO寺保健師さんから
「『うさぎのしっぽ』というパッチワーク教室の展覧会が地元(千厩)でありました。きっとここも材料が不足しているはずなので送ってあげてください」という連絡がありました。

友人の友人の・・・という全く善意のつながりの中で私たちの活動は動いていますから、私もお名前を知らない方が、「ウサギのしっぽ」の代表をなさっている熊谷さんに手持ちの材料を送ってくださいました。(今週の出来事です)

びっくりしたのは熊谷さん。心当たりのない人からの荷物ですから当然ですが。
一応流れを説明させていただこうと、電話を差し上げました。

そして今、私は一番適任の方にめぐり合うことができたという思いでいっぱいです。

以下は熊谷さんの話です。
「全国椿まつりというのがあって、今年の大会は3/16から大船渡の予定でした。私はもう20年以上もパッチワーク教室をやっているので、それに合わせて県民会館で『春の花々とキルト展』をやることになっていました。ところがあんなことが起きてしまったので全部中止になってしまいました。

実は、千厩からも教室に通ってきている人たちがいます。
ソニー関連会社が閉鎖され、退職を選択した地元の主婦グループでお弁当屋さん「まんまや」を立ち上げたのですが、そのグループの中の三人なのです。その人たちから『千厩で展覧会をやりたい』という希望が出てきました。
(この間の事情は、くみんずのブログに詳しく書かれていました)

そこで100点ほどで小規模にやった展覧会のことが、一関市の保健師さんから伝わったということですね」2011_1009_104800p1000062

「実は私、ほんとに昨日のことなのですが、役場に行って仮設住宅のリストをもらってきたのです。

これから、寒くなって仮設のように狭い所に閉じこもっていたら、しなくていい喧嘩をしたり、いろいろよくないでしょ。だから私にできることを何か始めようと思って。

(そうなのです!だいいち、そのような暮らしをしていたら脳は老化を加速させるにきまってますからね)

ところが仮設住宅が多すぎて、どのように手をつけていいのか、悩んでいたところだったのです」

そこで私はすかさず、大船市のH野保健師さんを紹介して、「H野保健師さんに相談しながら、効率的なボランティアをなさってください」とお伝えしました。

熊谷さんのお話はさらに続きました。
「私は、私にできることで皆さんの役に立ちたいと思ってるんです。
もともと気仙光陵支援学校へも教えに行っていたのです。仮設にも、弟子の誰かと一緒に行って教えてあげればいいと思っていたんですよ」

「町に行くと変な気持になるんです。被害にあったとかあわなかったとか。仮設が広いとか狭いとか。そのような話ばかり聞こえます。縫物どころではないということだって聞こえますけど、でも何かしてあげたい、何かしなくてはいけないと思ったから、役場に行って仮設のリストをもらってきたんです」2011_1009_104800p1000061

「私たちは、着物をうまく生かしていただけないかと思ってるのですが。それから余り毛糸を用意してくれた知人もいますけど、いかがでしょうか?」とお尋ねしてみました。

「材料も道具もないんです。店に行っても皆がほしいものが同じなので、すぐに品切れになるし。どんな材料でもそれを生かすことはできますから!」という力強い御返事でした。

熊谷さんなら、きっと上手に私たち仲間の気持ちを生かしてくださると思いました。ほんとにいい方にめぐり合いました。

私は今月28日に千厩で講演をします。
熊谷さんにも来ていただいて、エイジングライフ研究所の認知症予防の考え方をわかっていただこうと思います。
認知症予防のために、どんなに大切なことをなさろうとしているのか、きっと自信を持って帰られると思いますから。

熊谷さんをネット検索してみました。最近はすごい世の中になりましたね。まだお会いしてもいない熊谷さんのことがよ~く理解できましたよ。

風の布・パピヨン6月20日の記事中、下の方に熊谷さんのことが書かれています。

癒しのキルト熊谷さんの写真もありました!


ちょっと残念。ほんとに「うつ病」か???

2011年10月11日 | これって認知症?特殊なタイプ

久しぶりに、N保健師さんから電話がありました。

N:「ちょっと気になることがあります。『最近どうしても意欲が出ないんです。畑仕事をしていても途中から帰ってしまうんです』という訴えで相談にみえた方がいるのですが・・・」

私:「意欲低下は、脳の老化が加速されていくときに一番最初に自覚される症状ですよね?」
(つまりボケはじめは物忘れではなく意欲低下です)

N:「はい・・・。それが・・・。」

私:「テスト結果は?」

N「:「MMSは合格。想起はマイナス2点でした。前頭葉テストは、かなひろいはすれすれ合格。立方体模写は描けていましたが、動物名想起が5個だけだったんです」

私:「それで、30項目問診票の結果は?」

N:「それが1~10に2個だけ・・・」

私たちの右脳訓練に東京へ行きました。まずはお台場2011_0925_130500p1000032 2011_0925_144100p1000036        メキシコフェア開催中

私:「そうすると、脳機能検査も生活実態も正常ということになりますね。でも、なんとなく違うと思ったんですよね?」

N:「はい。どうしても小ボケのようでしたから、生活歴を聞いたんです。そうしたら去年の春、お姑さんを亡くされていて・・・」

私:「それで生活がどう変わったのかがカギですねえ。楽しめるようになったの?」

レインボーブリッジの間から見える東京タワー2011_0925_134400p1000033 2011_0925_134400p1000034             スカイツリー

N:「それが、もともとこの方はまじめでがんばり屋で世の中のお手本みたいな人なんです。

当然、お姑さんには尽くすべきだから、後ろ指さされることがないようにしっかりやってきて無事に見送ったわけです。
そうしたら、することがない!
趣味とか遊ぶとかはこの人の辞書にはないのです。することが思いつかないので何もしなかったとご自分で言っていました。
ご主人の話だと、暇があれば寝ている。家事はできるんだけど自分が代わりにやっている。多分あまりにも手際が悪いんだと思います」

私:「生活歴から言うと、ボケ始めてもおかしくないと思ったのですね」

N:「それと、なんとなく全体的な印象もちょっと覇気がないというか、しゃっきりしていないというか。聞かれたことには答えてくれますが、打てば響くような感じがないというか。もとがしっかりした人だっただけに違うんです」

夕映えのお台場2011_0925_174500p1000039_3
私:「こういう風には考えられませんか?

脳機能検査結果が正常(下限)と安心するよりも、もっと高いレベルからそこまで落ちてきた。

30項目問診票には、防衛的な傾向がある。
普通は、意欲低下で自主的に受診してきたのですから正直に申告しそうなものですが、いざとなるとなかなか赤裸々にできない人もいるでしょうね。
動物名想起が一分間に5個だったら、30項目問診票の「発想がわかない」にはチェックが入らなくては変ですね。発想がわかなければ、自由自在には計画が立てられません。それで1~10に4個丸がつくことになります。

脳機能検査結果と生活実態は限りなく小ボケレベル。生活歴にも納得できるナイナイ尽くしの期間があるとなると、ごく普通の認知症の最早期、生活改善指導の対象と考えるのでいいんじゃないですか?」

N:「そう思ったんですが、念のためにと思って専門医に受診を勧めてしまいました」

私:「あら!病名がついてしまうと生活指導がしにくくなりますよ」

N:「そうなんです。『うつ病』の診断で、薬と何もさせないようにと言われてしまったんです」

私:「夜眠れるかどうか確かめてみましたか?」  

N:「はい、よく眠れるそうです。日内変動(朝の方が具合が悪く、夕方の方が少しは気分がよい)もないし・・・」                   再度、スカイツリー2011_0925_174500p1000040

私:「そこまで確認しているのなら、Nさんは『うつ病ではない』と思ってたということですね。

脳機能検査結果と30項目問診票による生活実態と生活歴の意味するところが一致する場合には、受診を勧める必要はありません。

その理由は、
①生活改善指導の実をあげる
②医療費の削減
③生活改善指導ができる小ボケレベルの患者さんを送って、ドクターを煩わせないなどがあげられます。

もう少し自分の手技や判断に自信を持っていいのですよ」


台風一過の城ヶ崎海岸

2011年10月06日 | 私の右脳ライフ

もう半月ほど前のことになりますが、迷走台風15号が浜松に上陸しましたね。
当地でも、これほどの風は初めてとみんなが口をそろえて言うほどの強風が吹き荒れました。

その3日後に、市民火山教室「城ヶ崎海岸自然研究路ダイジェスト」が開催されましたから、参加しました。
台風一過の伊豆の海をご覧ください。

研究路には台風の影響がそこかしこに見られました。
ユーカリの実がたくさん落ちていました。この石のような固さを見れば、オーストラリアでは山火事の後にユーカリが発芽するということも納得できました。
すべすべのユーカリの幹(10メートル以上の高さです)2011_0924_094800p1000004 2011_0924_095100p1000006

大木が無残にも折れていました。2011_0924_134200p1000030_22011_0924_142300p1000031

見事な柱状節理です。じょうせんが根2011_0924_131000p1000028     おおばい・こばい2011_0924_125100p1000027_2        

これも柱状節理(上部が無くなったもの)2011_0924_131600p1000029    天然プール大よど 小よど        2011_0924_111700p1000020       

さまざまな柱状節理2011_0924_101100p1000014 2011_0924_103400p1000015

対島の滝も勇壮でした。2011_0924_112400p10000212011_0924_123100p1000023_2          滝の右下の岩が崩落していました。

台風の落し物、海綿2011_0924_110000p1000019             

海面から10メートルもありそうな研究路に、塩が白くふいていました。
風で折れるだけでなく、塩で枯れてしまうこともありそうです。

台風で、研究路まで海水が来たということは津波だったらどうなるのでしょうか?
自然の力は本当に強大ですね。

澄んだきれいな海も見てください。2011_0924_123900p10000262011_0924_100900p1000012   


ブログ村

http://health.blogmura.com/bokeboshi/ranking_out.html